第76号 わが国の財政赤字を考える-私たちの暮らしと日本のあり方

予算編成ゲーム 「財務大臣になって予算を作ろう」
(財務省ホームページ http://www.mof.go.jp/)より

◆ 消費税が上がる?

 10月24日、自民党財政改革研究会が財政再建に向けた報告書の中間取りまとめを発表し、膨れ上がる社会保障費の財源として消費税を充てる考えを示しま
した。具体的な税率には触れていませんが、社会保障費の伸びが経済成長並みに押さえられたとしても税率が10%台になるという試算もあります。
 私たちの毎日の消費生活に直結する問題ですから諸手を挙げて賛成という人はいないでしょうが、そもそも何故こうしたことが言われるようになったのでしょうか?
 近頃、メディア等では「国家破綻」「あなたの預金がゼロになる」…などといった刺激的な文句も見受けられます。わが国の財政はそれ程危機的な状態なのでしょうか?
 これは、今後のわが国のあり方を考える重要な問題です。現在の日本の財政状況を簡単に触れながら、皆様とともに考えてみたいと思います。


◆ 莫大な財政赤字に頭を抱える日本

 まず、平成17年度のわが国の財政(一般会計)を見てみましょう。約82兆円の歳出に対し、税収は5割強の44兆円。不足分は借金(国債)で賄っている状況です。しかも歳出のうちの2割以上が国債の返済や利払いに充てられています。
 わが国の財政状況は、バブル経済崩壊後、景気の低迷による税収の落ち込みや経済対策に伴う財政支出の拡大・減税措置により急速に悪化しました。歳入と歳
出には毎年大きなギャップ(財政赤字)が生じており、そのギャップを借金で埋めていることにより、毎年新たな借金が積み重なっているのです。

 平成17年度末には国と地方をあわせた借金残高は774兆円にものぼる(GDP比151%)と見込まれています。
 現在のわが国の財政は、第2次大戦当時に迫る勢いで悪化しており、他の主要先進国と比べても最悪の水準にあります。
 一口に774兆円といっても額が膨大すぎてピンときませんが、一万円札で積み上げると富士山の2,050倍、総人口で割ると国民一人あたり600万円の借金をしていることになるのです。

平成2年は歳入が60兆円、歳出が69兆円。ところが平成17年には収入と支出の差は38兆円にものぼっています。平成10年以降は、毎年30兆円以上の借金を重ねています。

◆ 財務大臣になって予算をつくろう

 財務省のホームページにおもしろいゲームが掲載されています。「予算編成ゲーム~財務大臣になって予算を作ろう」(表紙参照)です。
 「医療」や「公共事業」などの歳出項目について「○%減額」または「○%増額」と打ち込むと、国の一般会計の基礎的財政収支(プライマリーバランス)がどうなるかが示され、「赤字拡大」「赤字縮小」「黒字化」などの結果が表示されます。
 政府は、2010年代初頭の基礎的財政収支の黒字化を目指しています。つまり、その年の収入でその年の政策を賄っていこうということです。一般の家計なら当たり前のことですが、現在のわが国は新しく借金をしながら政策を展開していると言う状況なのです。

 超高齢社会と人口減少に直面している私たちは、どのような経済社会を目指すべきでしょうか。北欧型の高福祉・高負担を目指すべきなのか、米国型の低福
祉・低負担を目指すのか、或いは、その中間の中福祉・注負担を目指すのかは、国民の皆様の考えに寄ることです。それだけに、どのような社会を目指し、どの
ような負担を皆様にお願いするのかを明確に示すことは政治の重要な責任だと思っています。
 皆さんも是非、上記のゲームを財務大臣になったつもりでチャレンジして、わが国の財政と今後のあり方について考えてみませんか?

新 藤 義 孝