第53号 気づかないと損する! 「請求もれ年金」


年金、請求し忘れていませんか?

受給年齢に達したとき、自分から請求しなければ年金は支給されません。しかし社会保険庁の保有するデータの内、自分の記録がひとつにまとまっていなかったり、記録がもれていたりすると、請求し忘れることがあります。


◆ 請求もれ年金とは? ◆

 請求もれ年金・・・聞きなれない言葉ですが、本来支給されるべきなのに、本人が請求していないために、給付されない年金のことです。現在、年金を受け
取っている人の中には、年金を請求し忘れている人が数多くいます。川口市の老人会へ行って請求もれ年金を見つける確率は約5人に1人ぐらいありました。

 こんなに多くあることにビックリしています。どうしてこんなことが起きてしまったのか。国民年金法と厚生年金法の条文には国民にとって重要な規定があります。

▽国民年金法 第三章 給付
 第一節通則(裁定)第十六条
 給付を受ける権利は、その権利を有する者(以下「受給権者」という)の請求に基づいて、社会保険庁長官が裁定する。
▽厚生年金保険法 第三章 保険給付
 第一節通則(裁定)第三十三条
 保険給付を受ける権利は、その権利を有する者(以下「受給権者」という)の請求に基づいて、社会保険庁長官が裁定する。

 以上のように、年金は皆さんが請求をしないと支給されないという仕組みになっているのです。年金受給者が少なかった昭和50年代以前には、自分の勤めて
いる会社が厚生年金に加入していることを知らされていなかった人も多く、そのことを政府から国民に伝えきれていないのが現状です。

 この機会にもう一度、ご自身の年金と、若い人はご両親の年金期間を見直してみてはいかがでしょうか。思ってもいなかった年金を見つけられる人が、まだま
だ多くいらっしゃると思います。現在、川口市内に在住の60歳以上の人の中でも、500人を越える人たちの請求もれ年金が見つかっています。


◆ 請求もれ年金の例 ◆

・戦時中、軍需工場に徴用されたことがある。
・挺身隊に勤めたことがある。
・兵役になる前に会社に勤めていた。
・配給品を扱う商店、組合に勤めたことがある。
・米軍キャンプで働いたことがある。
・昭和34年1月以前に農業会(農協)に勤めたことがある。
・結婚前に会社に勤めていた(女性)。
・転職が多かった。
・公務員になる前や後に会社に勤めたことがある。
・勤めていた会社が閉鎖、倒産、合併、社名変更した。
・国民年金だけ受給しているが、会社で働いたことがある。
・パートやアルバイトをしたことがある。
・夏だけや冬だけの職場で働いたことがある。
・自営業を始める前に会社に勤めていた。
・親や親戚の会社の手伝いをしていたことがある。
・夫を亡くしたが、遺族年金は支給されていない。
・亡くなった夫が、戦前戦後に会社に勤めていた。

 上記に当てはまる人は、請求し忘れている年金があるかもしれません。年金証書の被保険者期間と照らし合わせて、請求もれがないかどうか思い出してみて下さい。


◆ 請求もれをなくすには ◆

 国民年金保険料が引き上げられるなど、昨年決まった年金制度改革の多くが今月から実施されました。しかし、国民が納得できるビジョンの欠如、社会保険庁による度重なる基金のずさんな運用など、年金への国民の不信感は増大し続けています。

 「自分が納付した保険料を受け取るのは当然のこと。社会保険庁は、加入者の保険料納付期間を責任を持ってきちんと調べ、受給資格者に告知する義務がある。そうした条文を年金法に盛り込むべき」と私は考えています。

 残念ながら、議席のない今の私には直接政府に申し入れをすることはできませんが、仲間の議員を通じて強力に訴えていきたいと思います。

新 藤 義 孝