第32号 新潟県中越地震~対岸の火事としないために~

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月23日に発生した新潟県中越地震は、震度6強の強い揺れののち余震が続き、3日後には避難民が10万人を超えました。この震災によって亡くなられた方の
無念、そしてそのご遺族のご心情を察すると、私も胸が締め付けられる思いがいたします。また、家屋の倒壊や避難勧告によって、いまだに自宅に帰れず避難生
活を余儀なくされている方々のご苦労を思うと、一日も早い復旧・復興を願わずにはいられません。一方、現地に於て献身的に救援活動を続けられているボラン
ティアの方々に、心より敬意を表したいと思います。  
震災から5日後、私のところに一通のメールが届きました。その内容は...

10月28日、現地でボランティア活動をされている方が発信元となった一通のチェーンメールが、私の手元に届きました。一体何人の手を経たのでしょうか?そのメールには次のような内容が記されてありました。

10月26日15:00、私は今、小千谷市役所や小学校での救援物資の配給や炊き出しなどを手伝っています。現場はまだまだ
混乱しているし、人手も足りていません。そんな状況下で、マスコミの取材陣が50人近く現場付近を陣取っています。小千谷市役所の正面に取材の車を止めて
いるため、救援物資を運ぶトラックは遠くに止めることしかできず、ボランティアの人たちがせっせと現場に物資を運んでいますが、報道陣はそれを手伝う気配
すらありません。心労と肉体疲労が積もっている被災者の方々に、当然のようにマイクを向け、24時間カメラを回し続ける神経もさっぱり理解できません。現
地では今、「大人用の紙おむつ」が不足しています。トイレが使えなかったり、下着を替えられなかったりするので重宝しますが、こちらではもう品切れで手に
入りません。また夜の寒さが厳しいです。お年寄りは使い捨てカイロをもむことすらできないので、「貼るカイロ」が必要です。マスコミの仕事は、こういった
現状や情報を伝えることだと私は思うのですが?

このメールを読んで私は、確かに報道の義務・権利は大切ですが、例えば被災者の心情や現地の状況を配慮し、当面はマスコミが協力し合っての代表取材とした
り、数多くの取材車・中継車の中にたとえ少しでも救援物資を積んで現地に行くなどといった「知恵」や「思いやり」がなかったのかと強く感じました。と同時
に、「大人用の紙おむつ」や「貼るカイロ」が必要だという現状に対し、「私が今、議員だったらすぐに政府や自民党内の対策本部で発言し、公式な提案をし
て、本当に必要な物資の緊急手配ができたのに」という思いが込み上げ、心底悔やまれて仕方ありませんでした。
はいうものの「せめて今の私にできることをさせてもらおう」と考え、自民党の川口市議団の皆さんとともに被災者支援緊急街頭募金を10月29日にJR川口
駅東口で行いました。老若男女を問わず、本当に大勢の方が募金に協力して下さり、「困っている人、苦しんでいる人をなんとか助けてあげたい」という市民の
皆さまの熱意が私の持つ募金箱を通してヒシヒシと伝わってきました。おかげ様で2日間で111万円を超える義援金を頂戴し、さっそく市議団から川口市を通
して被災地へ届けることになりました。

天災は忘れた頃にやってくる・・・・・地震で有名な東大の寺田寅彦博士の言葉ですが、あの「阪神淡路大震災」(平成
7年1月17日)から早10年の歳月が経ち、私たちの意識から地震の恐しさが薄れつつあったことも事実です。しかし、日本は地震列島です。いつ起きてもお
かしくないといわれる東海地震や東南海・南海地震、そして首都圏における直下型大地震に対し、今回の地震を契機に我が家の防災対策を見直してみてはいかが
でしょうか?例えば大きな地震があった時にもタンスや書棚は倒れてこないか、非常用の食糧や水の蓄えがあるかどうか、家族全員で話し合い、再点検する機会
にするべきです。また、市や町会・企業などの自主防災体制の再確認と強化を急がねばなりません。

私も政治の道を歩む一人として、この「新潟県中越地震」によって犠牲になられた多くの方々に報いるためにも、災害に対する様々な情報に耳を傾けつつ防災意識を高め、国・県・市各々に強く働きかけ、皆様の防災のお役に立てるよう努力していきたいと思います。

新 藤 義 孝

《地震に備えるミニ知識》

◆災害用伝言ダイヤル171◆

災害時に安否確認等が集中し電話がつながりにくくなった場合に、家族や知人等とお互いに連絡をとれるよう設けられたもの。一般加入電話、公衆電話、また携
帯電話やPHSからも利用可能で、局番なしの「171」をダイヤルすれば、ガイダンスに従って伝言の録音や再生ができます。
(参考:http://coden.ntt.com/service/dengon/disaster.html
◆メールは便利◆
大規模災害時には通常の数十倍もの電話が殺到し、緊急電話が使用できなくなる恐れがあるため、携帯電話を含め一般電話の通話が大幅に制限されてしまいま
す。一番つながり易いのは携帯のメール、次が固定電話、最もかかりにくくなるのが携帯の音声と言われています。携帯のメールと音声を別の系統で中継し、連
絡しやすくするシステム構築が進められています。
◆iモード災害用伝言板◆
iモードサービスを利用して自分の安否情報等を登録することがができます。大規模災害が発生した場合、「iMenu」のトップに「災害用伝言板」が追加され利用可能となり、登録されたメッセージはiモードサービスまたはインターネットを利用して全国から確認が可能です。
◆乾電池タイプの携帯用充電器◆
携帯電話の電池切れを防ぐため、乾電池で使用できる携帯電話用充電器を備えておくとよいでしょう。
◆非常食・飲料水◆
被災直後、救援の手が届くまで3日程度かかる場合を覚悟しておいたほうが良いです。そのため備蓄用の食料品・飲料水を3日分は室内のわかりやすいところに保管しておくようにしましょう。
◆ラジオ◆
被災直後、外部からの情報伝達は携帯ラジオと防災無線だけになる可能性が高いです。不正確な口コミに惑わされないためにも、携帯ラジオをいつでも使える状態にして手の届くところへ置いて置きましょう。
◆懐中電灯◆
深夜に被災した場合はもちろん、昼間の被災であっても夜の暗闇に活動がしにくくなることは避けられません。懐中電灯はラジオと同様、取り出しやすい場所にいつでも使える状態で保管しておきましょう。
◆寝袋(シュラフ)◆
折畳んだ状態では非常にコンパクトになる緊急用の寝袋が市販されています。災害時に低体温症となるのを防ぎます。アルミ繊維を使用したタイプは、身体から放出される体温の90%以上を保持することができるそうです。