第14号 参議院選挙への私の視点




月11日投票の第20回参議院通常選挙が24日に公示され、現在、各党・各候補が激しい選挙戦を展開中です。ご存知のように、日本の国会には「衆議院」と
「参議院」があり、「二院制」が採用されています。世界でも日本を含む世界主要8か国(G8)はいずれも二院制を採用していますが、なぜ日本も二院制を
とっているのでしょうか?その最大の理由として、「解散のない参議院が存在することによって、衆議院の独走を防ぎ、国政のセーフティネットの役割を果た
す」ということが挙げられます。
これは、単一民族で「熱しやすく冷めやすい」国民性を持つといわれるわが国においては、とても重要なことと私は考えています。

そのような意味で、このたびの参院選で私たちの代表を選挙、すなわち投票によって国政に送り出すことは、私たちと私たちの住む日本の安定と、より良き未来を構築する上で、非常に大切なことといえます。

日本では一般に「選挙権イコール投票権」のように思われており、実際に選挙の時に自動的に投票通知が郵送されてきます。ところがアメリカの大統領選挙で
は、選挙権を持つ有権者は選挙の前に自ら投票人登録を行うことによって投票権を得ます。投票の意志を示さない限り、投票用紙は送られてこないのです。

一方、フセイン時代のイラク大統領選挙の投票率100%という発表はどうかと思いますが、イタリアでは憲法によって「投票権の行使は、市民的義務であ
る」(第48条)と定められております。オーストラリアでは全ての有権者に投票が義務付けられており、投票を怠った場合は100ドル以下の罰金が課せられ
ているのです。

日本では選挙の度に投票率の低下が問題となっています。日本も登録制にするなど投票制度の改革が必要な時ではないでしょうか。

ここで私たちの住む埼玉県の過去の国政選挙における投票率を見てみますと、3年前の第19回参議院通常選挙では、約56.4%で全国47都道府県のうち第44位。昨年行われた第43回衆議院総選挙に至っては約54%で、全国で最下位の投票率でありました。
ちなみに川口・鳩ヶ谷の埼玉2区は約53.5%で、県平均をさらに下回る数字であり、これは非常に憂慮すべき結果でありました。

この理由を考えてみますと、まず歴史的には埼玉県が一つにまとまって行動した過去がないということがいえます。例えば今まで9人の総理大臣を生み出した山
口県のように、長州藩として明治維新といった歴史の舞台に登場したという経験が、埼玉県にはありません。また、昼夜間人口比率が日本で最も大きく、さらに
人口移動が激しく、定住性が低いという地域性も、その理由の一つに挙げられるかも知れません。

では、投票率がその選挙区=地域に、どのような影響を与えるのでしょうか?有権者の対極にある行政側から見ると、投票率の高い地域から選出された議員の意
見・要望は、数多くの住民の声として、より説得力の強いものとして受け取られます。ですから投票率の低い地域の場合は、その逆になってしまうのです。その
ような意味から、自分の住む地域の向上にとって、投票率というものが大きな影響を与えているということを、私たちひとり一人がはっきりと認識することも大
事なことだと思うのです。


在行われている参議院埼玉選挙区では、自民党、連立与党である公明党の公認候補を始め、定数3に対して6名が各党から立候補しております。小泉首相は、3
年前の総理大臣就任以来、「改革なくして成長なし」というスローガンのもと、数々の改革を進めてきました。その結果、私たちの生活を圧迫してきた経済不況
も回復の兆しが現れ始め、直近の経済成長率も約7%となり、G8サミット参加国の中で一番の経済成長率となりました。

しかし、その統計上の結果が、実際の生活に反映されているとは私には到底思えません。地域経済の活性化や、不況業種の支援等々、経済回復が私たちの生活に
実感できるよう、更なる工夫が絶対に必要です。24日の公示日に小泉総理は大宮駅前で街頭演説を行い、これからのスローガンは「改革なくして安定なし」
と、集った大観衆に強く訴えられました。この改革の方向性を決めるのは、議員が全てではありません。選挙によって示された国民の意志こそが、わが国の将来
を決めるのではないでしょうか。

日本の明るい、豊かな未来のため、投票という行為は私たちの意志を政府に伝える最も大切な手段であります。しっかりと各党・各候補の公約、政策に耳を傾
け、見極めていただき、皆さんの声をより強いものとして国政に活かすためにも、ぜひ7月11日の選挙にみんなで参加しようではありませんか。

新 藤 義 孝