第12号 一通のメールに込められた心の灯火(ともしび)

一通のメールが届きました。発信者はある支援者の方です。その方は友人から送られてきたチェーンメールに心打たれたので、ぜひ私にも伝えたかったとのこと。私もその内容に深い感銘を受けましたので、この場を通してご紹介させて頂きます。


年前にシアトルで行われたスペシャルオリンピックスでのことだ。9人の選手たちが100ヤード走のスタートラインに立っていた。選手は全員が心身に障害を
持つ人たちだ。号砲と共に全員がスタート。しかし、途中1人の少年がつまずき、2回も転んでしまい泣き出した。残る8人は少年の泣き声に気づき振り返った
瞬間、全員が一斉に向きを変えて後戻りをし始め、その少年に駆け寄った。
ランナーの一人であるダウン症の少女は少年にキスをし、「こうすると痛くなくなるわ」と言った。そして、みんなで力を合わせて少年を助け起こし、腕を組んでゴールまで一緒に走った。

その会場に居合わせた人たち全員が立ち上がり、声援がしばらく鳴り止むことはなかった。そして、その人たちは、今でもこの話を口にする。なぜなら、心の奥底で、皆が次のことを知っているからだ。

人生で大切なのは、自分だけが勝つなどという小さなことではない。たとえ、そのために自分のペースを落とし、遠回りするようなことになっても、他者のためにこの身を使うことこそが大切だということを・・・。


の文章の冒頭に出てくる「スペシャルオリンピックス」とは、知的障害者のためにスポーツを通じての自己実現をはかりつつ、より活発な社会参加を目的に、ア
メリカのケネディ元大統領の妹、ユニス・ケネディ女史らによって創設された国際的組織および、その大会名を指します。「たとえどんなに小規模でもいい、必
ずいつも世界のどこかで大会が行われている」という理想を掲げ、それゆえ「オリンピック」という言葉に複数を表す「ス」が付けられています。


スペシャルオリンピックス・埼玉選手団がメダル獲得の報告日時を訪問(04年4月)

私はこのメールを読み、教育や福祉の課題、そして日本経済の再生あるいは真の国際貢献といった山積される難問を解く大きなキーワードが、このメールに描かれた出来事の中にあると痛感いたしました。

それは、「自らの力で精一杯生きる。と同時に、いつでも、どこでもすべての人と共に、助け合って生きる」ということではないでしょうか。

年2005年には、「スペシャルオリンピックス冬季ワールドゲーム長野大会」が、12の国・地域から600名を超えるアスリートを集めて開催されます。埼
玉も選手団が結成され、川口・鳩ヶ谷からも選手が参加することになっています。私もこの大会の成功に向けて、できる限りの応援をさせてもらいたいと思って
おります。

コソボ難民キャンプにて子供たちと。世界の人たちと助け合って生きる(99年8月)

インドに古くから伝わる金言として、次の言葉があります。


のために何かをすることは、ちょうど火を分けてあげるようなものだ。ある人がたった一つの「灯火(ともしび)」を持って、幾千の人々に火を分け与えた。そ
の火を持ち帰った人々が、我が家の明かりを灯し、食事の煮炊きに使い、街全体が明るさと暖かさで包まれた。しかし、元の「灯火」は減りもせず、何も変わら
ず、ただ赤々と燃えているのである。

父とともに森を散策する母。この笑顔
をいつまでも忘れない・・・(02年8月)
今月3日、私の母
新藤たか子が病気のため他界いたしました。この場を借りまして生前のご厚情に心より感謝し、御礼申し上げます。母は幼稚園の園長として、生涯現役のまま
69歳の生涯を全うしました。母のことを語るには、どれだけの言葉を使っても語り尽せません。しかし、母が私に遺してくれた「心の灯火」(家族愛、人間
愛、そして子供たちの教育に向けた情熱・・・)は、いつまでも絶えることなく私の心の中で燃え続けています。その大切な灯火は、私の家族や母が愛した川口
ふたば幼稚園の子供たちのために、さらには政治にたずさわる者として、お一人でも多くの方の「よりよき人生行路の灯火」に使わせていただきたい、と決心しております。
新 藤 義 孝