放送法の規定に基づき承認を求めるの件(質疑) 衆議院総務委員会-7号  2002年03月20日

放送法の規定に基づき承認を求めるの件

154-衆-総務委員会-7号  2002年03月20日

○新藤委員 自由民主党の新藤義孝でございます。
 海老沢会長さん以下NHKの皆さん、御苦労さまでございます。それから、総務省の大臣以下、私、総務省には今回質問いたしませんので、どうぞごゆるりと、結構でございますから。
 まず、今回はこのNHKの予算を審議するということでございます。先ほど、片山大臣の方からも御意見がございました。適当だということでございまして、まさに、受信料収入の伸びが低迷している中で事業支出をふやしながら非常に効率的な経営をしている、こういうことで、私も、これは適当ではないか、このように思う次第でございます。
 ただ、NHKは特殊法人でございまして、昨年の末の特殊法人の整理合理化計画の中でも、NHKを含んで百六十三特殊法人の見直し、私も当時いろいろとやらせていただきましたけれども、そういう中で、NHKについてはほとんどさわらずということになったわけでございます。受信料収入というものが放送法という法律で担保されて、いわば独占的な事業形態ができるわけでございますから、こういう意味において努力をしていただくことは私は評価いたしておりますけれども、しかし、さらに引き続いて、五十年前に日本放送協会ができたときの使命、それから戦後五十年を経て、今いろいろな時代の転換期にあって、特殊法人だとか、いろいろな見直しが入っている中で、これから先のNHKというものはよくよくまた工夫をしていく必要があるのではないかなというように思うのでございます。税の優遇を受けてよかったではなくて、やはり頑張っていただきたいし、しかし、十二年間受信料の値上げをしないということでございますから、これまたかなりの御努力があることも評価しなくてはいけない、このように思うのです。
 ただ、頼りは受信料なのでございますけれども、これは、今後少子高齢化が進んでいく中でやはり厳しいものと思わざるを得ないのではないか、このように思います。そして、受信料収入が伸び悩む中で、NHKがアグレッシブに今度は日本の放送界の先端を行くような仕事をしていくためには、やはり経営の効率化をさらに進めなければいけない。
 そこで、私は提案を兼ねた質問をさせていただきたいと思うのでございますが、今、国においても、五年で世界最先端のIT国家にするんだ、e―Japanということで必死に、全省庁挙げて、政府を挙げて、そして私ども国会でもこれはいろいろと仕事をさせていただいているわけなのでございますが、e―Japanは二面性があると思うのです。一つは、よりよいサービスを、そして便利な社会にするための国民向けのいろいろな情報提供の場をふやしていこう、合理的に処理しましょう、これが一つ。もう一つ忘れてはいけないのは、実はIT化というのは、裏側で事務の効率化とか、いわゆるバックオフィスと言われる企業の運営の効率化を図るためにとてつもなく有効だ。
 ですから、e―Japanは、実は外向けには国民に対するサービスを向上することとあわせて、内側に向けては政府内の合理化を図ろう、こういうことでやっているわけです。そして、今最終的な煮詰めに入っておりますけれども、少なくとも平成十四年度、新年度中に、国が受け付ける申請届け出の五〇%はオンライン化するわけです。そして、再来年、平成十五年度までには九八%の事務をオンラインで処理できるようにしようじゃないか、こういうことで、今国会でこれもまた、今まで余り例がなかったんですけれども、横ぐしの通則法でもってどんどん出していく、こういうことを政府はやっているわけです。
 NHKにおいても重要な、NHKの柱の中でNHKのインターネットの利用というのは出ておりますが、実はその裏側で、NHKという企業、運営体の、コーポレートガバナンスの一環として、私は、NHKのバックオフィスにITをもっと入れたらどうなんだ、またそういう取り組みがあるのかどうなのか、これの状況をお知らせいただければありがたいと思います。

○海老沢参考人 今先生から御指摘がありましたように、私どもNHKは受信料で事業運営しているわけであります。この受信料制度にあぐらをかいてしまう、つまり、今の業務をただ漫然とやっていればNHKは信頼を失い、そして受信料収入が滞ってくる、そういう企業であります。そういう面で、私どもは、常に視聴者との信頼関係で成っているんだ、視聴者の信頼をなくせばNHKは受信料は集まらない、そういうシステムになっておるわけであります。
 そういう面で、常に視聴者と真っ正面から向き合って、視聴者本位の番組づくり、企業にしなければならないのは当然であります。そういう面で、マンネリ化しないように、さらに、常に努力をしていくのが我々の使命だろうと思います。そういう中で、ITの技術を生かしたいわゆる管理業務を推進するのは当然であります。
 御案内のように、一九六四年、東京オリンピックが開かれた昭和三十九年から、我々の先輩が、こういう時代を見越してコンピューターの導入を図り、いち早く、経理とかあるいはその関係のコンピューターのシステム化を推進してきております。今も日本では、最先端のそういうシステムを導入して、できるだけ効率的に仕事をするようにしているところでございます。
 いずれにしても、そういうITという新しい技術を今後とも業務の運営管理に生かしていくことは当然であります。それと、そういう中で番組も、これから学校とかいろいろな面にこれを普及させていく、そういう側面的な支援もしなきゃならないだろうとも思っております。

○新藤委員 これは、ぜひ御研究いただきたいと思います。本気でやれば、やはりNHKのある年度の柱になるような、そういう仕事になります。これは、コンピューターをどんどん皆さんお使いになっているのは承知の上でございますが、物品調達とか社内の全国に広がるいろいろな連絡をするときに、統一の、要するにネットの中でできるようになる、それから人事管理なんかも全部できるようになるわけで、これは必ず事務費の削減につながりますので、これは御研究いただきながら取り入れていただきたいな、このように思っております。
 また、次の質問をさせていただきます。適当であると評価をするこのNHKの予算の中で、特に配意を求める六項目、これは閣議決定をした総務省の意見でございまして、そこの第一番に挙げられておりますのが、当然のごとく、NHKの運営の柱でございます受信料の問題でございます。それは、受信契約の締結、それから受信料の収納の徹底をせよ、これは皆さんがわかり過ぎるぐらいわかっていることなのでございますが、やはりこれも少し工夫をしてみたらどうか、このように思います。
 平成八年から十二年度までで受信料の、要するに契約世帯はふえているんですよね。契約世帯そのものはふえているのです。ただ、契約率で見ると、残念ながら未契約世帯というのは五年間で八・七%ふえてしまっている。やはりこれは少子高齢化、そして世帯がいろいろふえる、さらには世帯の移動というのがより激しくなっておりますから、これは非常に難しい時代に入っているのは承知の上でございますが、しかし、これはふえてしまっているんです。そして、平成十三年度の見込みにおいても、契約率が八一・八%、衛星の方がもう少し、衛星件数が七六%ですが、しかし、これもよくよく内訳を聞いてみると、二人以上の世帯では九割弱の契約率になっている。しかし、一人世帯の方ですと七〇%弱に落ちてしまう。
 こういうように、今の時代の背景をよくあらわしているなと思うんでございますが、ただ、こういうときに、やはり徴収員さんが、対面徴収ですから、これは会えなければどうにもなりませんという声もよく聞いております。ですから、難しいのは承知なんですけれども、例えばIT利用、それからいろいろと、重点事項においては、契約収納関係については、新しい営業システムの活用による効果的、効率的な業務を推進しよう、こういうふうになっているわけなんですけれども、いわゆるインターネット利用とか、現状どのような工夫をされているのか、お聞かせをいただきたいと思います。

○安岡参考人 先生御指摘のとおり、私ども、営業努力を重ねているわけでございますが、その最大の課題は、単身世帯が大変不在がちだということでなかなか面接が難しいというのが大きな課題でございます。それから一方、先ほど来のITの普及によりまして、大変インターネットの利用も増進しているということで、その両者をマッチングさせる施策といたしまして、視聴者の利便の向上を図るという観点で、一つはフリーダイヤルの関係がございます。それからもう一つは、インターネットによりまして視聴者からの届け出をふやせないかということをやっている最中でございます。
 まず、フリーダイヤルにつきましては、元年からスタートを切っていまして、十二年度では二十八万三千件という格好になっています。お尋ねのインターネットの方でございますが、これは実は平成十二年の七月からインターネット営業センターという格好で開設をしておりまして、NHKのホームページにアクセスをすれば、いろいろ契約とか住所変更の届けもできるという格好でやっているところでございます。
 ただ、今の仕組みは、契約関係につきましては本人確認が必要だということで、事後の契約書の送付ということはありますが、今そういうインターネットで届けをしていくということをいろいろ進行しているということでございます。十二年度は一万六千件の届け出という格好に相なっております。

○新藤委員 とにかく契約口が三千六百五十万件ですからね。三千六百万件の中での、今、フリーダイヤルで二十八万件、ITで一万六千件だということでございまして、これはもう少し頑張ってもいいんじゃないかなというふうに思います。
 今お答えの中で、やはり今やっているのは、私もNHKのホームページをちょっと見てみたんです。これはよくできていますね。非常にわかりやすく、さすがNHKだなと思いました。ごちゃごちゃ書いてありませんので非常にわかりやすくなっているなと思うんですけれども、結局、これは申し込んでも、では申し込んだ人にもう一回手紙が送られてきて、そして判こを押して届け直す、そこから通常の業務と一緒になっちゃうんですよね。ですから、これはもう少し工夫するべきだと思うんです。
 それから、滞納件数のところも見てみますと、契約拒否者というのは四十二万件でございます。滞納が百七万いますが、転居等による把握不能数が七百二十三万件と圧倒的です。ですから、例えば手続が煩雑だとか、それから、やはり一々訪ねてこられる時間に合わせることはできない、こういう中で契約ができない、こういうことは容易に想像できるんです。
 先ほど私が申しました、来年度で五〇%、そして十五年度中に九八%の処理がオンラインでできますよというのは、これはインターネットの中で完結ができるということなんです、支払いも含めて手続が。だから、国もそういうふうにやろうとしているんですから、これはNHKもぜひここの部分は、要するにインターネットで完結ができるような、それには本人認証が必要ですから、これは国がそういう本人認証の仕組みもつくるわけなんですから、こういうものを活用していただきながら早急にやったらどうかなというふうに思うんです。
 それからもう一つは、やはりITを利用促進させるためのインセンティブが必要だという意味で、これまたホームページで見ますと、受信料の割引制度というんですか、こういうものがございまして、口座振替と前払いを使うと、「なんと年間千八百三十円もお得。」こう書いてあるわけなんですから、やはりこれはIT利用に関するインセンティブというものをあわせて考えたらどうかな、このように思うんでございますが、いかがでございましょうか。

○安岡参考人 お答え申し上げます。
 今、営業の課題の中で、支払い方法について、一つは訪問集金という格好をとっていますけれども、もう一方で口座、郵便局とか銀行でお支払いしていただける方、その辺をもっともっとふやしていこうということ、集金活動をより効率的に、あるいは安定化を図るということで、今この口座利用率は、概数ですけれども八二%という格好でかなり高い率になっています。
 問題は、その訪問をやっている方の中から、なかなか不在がちなんで、NHKの方に自動的にアクセスできないかというところが大変大きな課題なのかなということで、インターネットという大変すぐれたメディアをいかにして活用しようかということで今鋭意取り組んでいるところでございます。
 先ほど申し上げた中で、例えば転居の関係、転居の話はこれはもう事実がわかればいいですから、それはそのまま受理されます。契約関係だけが、いわゆる本人確認というか認証の話がありますから、そこをどうクリアするかということで、今電子政府の観点でいろいろやっています。その辺についても、我々、最大限関心を持って、いいスタイルができればそれに乗っかっていこうというふうに思っているところでございます。
 もう一つは、料金に関してなんですが、その辺については、これからの利用の件数とか経費をかけたメリットがどの程度か等々を検討しながら、いろいろ検討を進めていきたいというふうに思っています。
 いずれにしても、そういう多様なメディアを気楽に利用できる制度の促進を大いに図って、営業の業績を上げていきたいというふうに思っております。

○新藤委員 前向きのお考えでよろしいと思うんですが、もう来年には国は始めるんですよね。ですからこれは、考えましょうというよりは、すぐにやっていかなくちゃいけないことだと思いますので、これはさらに強力に作業を進めるべきではないかというふうに思います。
 それから、念のため申し添えますけれども、インターネットをIT料金でインセンティブを与えちゃうと、みんなITになっちゃったら、これは受信料は下がってしまうわけですから、やはりここは期間限定とかいろいろ工夫して、とにかくやるときはどんとやる、この勢いを、国とあわせてNHKもおやりいただければいいんじゃないかな、このように思います。
 それから次に、もう一つNHKさんの、国が関連する特殊法人としての大きな使命として、やはり映像関連の資料を整理する、保管をする。これはもうNHKが、世界に名立たるいろいろなフィルム、また映像資料をお持ちなわけでございまして、これを保管し、きちんとしようということで、アーカイブス、これは平成十三年一月に着工して先ごろ上棟したということですね。そして、ことしの九月に建物ができ上がって、来年の二月から始まる、このように聞いております。ありがたいというか、縁がございまして、私どもの地元、埼玉県川口市にでき上がるわけでございまして、この有効活用は大いに地元としても頑張っていきたい。圧力ではございませんから。こんなふうに思っているわけなんでございます。
 そこで、もうこれは運用開始目前なんですから、このNHKアーカイブスの運用開始のスケジュール、二月の日にちも決まっているんじゃないかと思うんですよ。それから、このアーカイブスのコンテンツの社会還元という意味で、どういう配慮をなされているのか。それから、一般の外来者、センターにおいでになられた方に、どんな公開ができるのか。これは地元というよりもそこに行った皆さんが楽しんでもらえればいいわけなんですけれども、私どもも、これはいろいろ地元の市の方でも、映像情報に関連した専門学校、大学を誘致したりとか、それからインターネットのプロバイダー会社を入れたり、デジタルの映像会社をつくったり、いろいろやっています。今後のアーカイブスの活用というのは、ブロードバンド時代で、非常に有効なものになる可能性があります。
 ですので、現時点における、というよりも運用開始直前の最終年次のこのNHKアーカイブスの概要について、御説明をいただきたいと思います。

○海老沢参考人 おかげさまで、NHKアーカイブスも、この十七日に上棟式を済ますことができました。来年の二月一日がNHKがテレビ放送を始めて五十周年という日に当たります。そういう面で、来年の二月一日を運用開始というふうに決めております。それに向けていろいろ今作業を進めているところであります。
 御承知のように、今NHKは、全国、地方合わせて百六十五万本の映像を持っております。これは全国でありますので、そのうちのかなりの部分をこのアーカイブスに集約しようと思っております。それと、ニュース項目では三百五十万本ほどありますが、これも今いろいろまだ整理をしております。これをすべてデジタル化しませんと、膨大な量でありますので入り切れないということで、今鋭意、数年前から、デジタルの方に圧縮して、そのための準備を今しているところであります。その作業が非常に時間がかかっているという現実もあります。
 御承知のように、デジタル化しますと、もう半永久に保存できますし、また、IT技術を使って各家庭にもこれが配信できる。そういうことで、すべての映像をデジタル化するように、今作業を進めているところです。
 もう一つは、著作権の問題であります。これは一番の問題であって、著作権をどうクリアするかということで、今これも各関係方面と協議しながら推進をしております。とりあえず来年二月一日にはそのうち二千本を公開できるというふうに見ております。
 二千本、このアーカイブスはできるだけ公開しようということで、いわゆるライブラリーということで、無料で、だれでもが川口のアーカイブスに来てもらえれば見られるというふうに今設備を整えております。これは県の施設とも共用しながらやっていきたいと思っておりますので、それをだんだんふやして三年後には五千本にしたいというふうに、段階的に拡大していきたいと思っております。

○新藤委員 時間が参りましたので終わりますけれども、これはNHKならではの、ブロードバンドの時代に、時代を引っ張っていくのはNHKなんだ、これが国の使命なんだ、こういう気持ちで今後また工夫をし、やっていただければいいんではないかなと今後の活動を期待して、質問を終わります。ありがとうございました。