厚生労働関係基本施策に関する件(総務政務官答弁) 衆議院厚生労働委員会-15号 2001年05月29日
厚生労働関係基本施策に関する件(総務政務官答弁)
151-衆-厚生労働委員会-15号 2001年05月29日
○鈴木委員長 これより会議を開きます。
厚生労働関係の基本施策に関する件、特にハンセン病問題について調査を進めます。
この際、お諮りいたします。
本件調査のため、本日、政府参考人として法務省大臣官房訟務総括審議官都築弘君、文部科学省スポーツ・青少年局長遠藤純一郎君、厚生労働省健康局長篠崎英夫君及び健康局国立病院部長河村博江君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○鈴木委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
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○鈴木委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。西川京子君。
○西川(京)委員 おはようございます。自民党の西川でございます。不覚にも風邪を引いてしまいまして、大変お聞き苦しい声で恐縮でございますが、よろしくお願い申し上げます。
二十五日に、小泉総理のまさに大英断、本当にあっと驚くような、控訴をしないという結論を出されましたハンセン病問題、本当に長い間患者さんたちのお苦しみを考えた中で、私たち与党の人間もこれでよかったのかな、そういう思いを持っております。
実は、私は、菊池恵楓園がある熊本の出身でございまして、本当に恥ずかしい話ですが、今まで一度も訪れたことがなかったという立場でございます。それで今回、二十六日、翌日に早速訪れまして、患者さんたちのお話を聞いてまいりました。二メートルぐらいのコンクリートがずっと張りめぐらされた中で、ただし、その中の木立がみんな大きく育っておりまして、そのコンクリートは今ほとんど見えないというような状況で、大きな時間の経過というものを私も改めて感じまして、その静かなたたずまいの中に、より患者さんたちの長い苦しみの歴史があったような、そんな思いを深くいたしました。
患者さんたちのいろいろな厳しい具体的なお話を伺う中で、一つ救われたような思いがありましたのは、九六年のらい予防法の廃止に伴いまして、お年寄りたちが六十三年ぶりに小学校の同窓会に行ってきました、もう生きている方も七、八人で少なくて、でも、その中で本当によかったなというめぐり会いを経験してきた、そんなほっとするようなお話も聞かせていただきました。
恵楓園の中でも、今回の訴訟に踏み切られた患者さんと、やはりいろいろな複雑な思いの中で訴訟には加わっていない方々、むしろその方々の方が多いのですが、そういう非常に複雑な状況の中での今回の判決だったと思います。
厚生大臣も、今回、大変法律的にあるいは立法府の責任を問われる、あらゆるそういう問題で大変問題があることは事実、このまま控訴を断念したら問題があることは事実だということは十分御認識の上での総理のまさに超法規的な政治決断だったと思うのですが、そういう中で、厚生大臣が、これで終わりではなく、大きな仕事がスタートしたのだと実感しているという二十五日の大臣の記者会見でのコメントをお聞きいたしましたが、その辺の思いを込めて、厚生労働大臣の御感想を聞かせていただけたらと思います。
○坂口国務大臣 初めに、少しおくれまして申しわけありません。おわびしたいと思います。
ただいまいろいろの感想を込めてのお話がございましたが、ハンセン病患者あるいはまた元患者でありました皆さん方に対します厳しい偏見でありますとか差別でありますとか、あるいはまた皆さん方に多大な苦痛や苦難をおかけしてきたこと、そうしたことを総合的に考えましたときに、本当に、どうその点おわびをし、これからどのようにしていったらいいのか、皆さん方に対する言葉がなかなか探せないというのが実感でございます。しかし、今御指摘になりましたように、法律的な問題は問題としてこれは存在するわけでございますから、そのことはそのこととして整理をしていかなければならないんだろうというふうに思っております。
いずれにいたしましても、総理に決断をしていただいたわけでございますから、この後は、患者の皆さん方に対して、名誉回復も含め、そしてまた高齢化しておみえになります皆さん方に対する福祉の問題も含め、どのように進めさせていただくかということについてお話し合いを進めていかなければならないというふうに思っております。できるだけ早く話し合いを始めさせていただいて、そしてできるだけ早く結論を出させていただくというのが我々の務めではないかというふうに思っている次第でございます。
○西川(京)委員 ありがとうございます。
私どもも、後ろ向きの政策でなく、やはり患者さんたちの長い苦しみの歴史を考えますと、将来に向かって、ではどういうことを現実にしていったら患者さんたちの深い傷、精神のいやしができるのか、そういう思いを持っておりますが、福祉増進と名誉回復ということについて、では政府は具体的にどういう対応をしているのか、その辺のことについてちょっとお聞きしたいと思います。
今、現実に元患者の方々には、国立の施設に入っていらっしゃる方々には八万四千円の給付金が支払われておりますが、これがある意味では、退所したら払われないという現実もあるわけで、なかなか施設を出られないという、かえって逆の作用もしているようなところもあるように思うんですね。そういうところを踏まえまして、やはり退所された方にもそれなりの同じような給付というか、そういう考えもあるかと思うんです。患者さんたちに一番やってほしいのは何ですかと聞きましたら、やはり医療福祉の充実、そういう意味で、広島の原爆手帳のような、一つの医療の無料化というんでしょうか、ハンセン手帳のようなもの、そんなものも考えていただけたらありがたいというようなお話も伺いました。
そういう中で、具体的に、これから厚生省の方でそういう具体策、おありだったら少しお聞かせいただきたいと思います。
○篠崎政府参考人 ハンセン病患者そして元患者の方々の名誉回復及び福祉の増進のために可能な限りの措置を講ずることといたしておりまして、具体的には、今先生おっしゃいました患者、元患者の方々から非常に要望のある退所者給与金、いわゆる年金というように言っておりますが、そういうものの創設ですとか、ハンセン病資料館の充実、啓発事業などの施策の実現について早急に検討を進めたいと考えております。
またその他、もう少し具体的な中身につきましては、今後、患者及び元患者の方々のお話も十分伺って検討を進めていきたいと考えております。
○西川(京)委員 実は、社会復帰準備金というのが、九六年のらい予防法の廃止に関する法律以降、それまで八万五千円ほどだったのが二百五十万円に一気に上がって、そういう意味で、大変その対象の方々に対する整備に厚生省の方でも大分努力しているなと、私はこれを大いに認めているところでございます。
ただし、現実には、それだけの用意をされても、患者さんの四千四百人のうちに、それを利用して退所されたのはたった十七人ということで、やはり、いざ現実となると、一般社会に出て暮らすということの厳しさ、それは、長い間の本当に差別の中で、家族ともなかなか何十年と音信不通であるというような状況の中で、大変厳しい現実があると思います。
そういう中で、患者さんたちの多くは、このまま国立施設の中で静かに暮らしたい。むしろ国立のこの施設が、今の行政改革の中で病院の統廃合などが行われておりますので、かえって、なくなってしまうのではないか、そういう不安も抱えていらっしゃるようですので、この問題に関して厚生省の方はどんなお考えでいらっしゃいますか。
○河村政府参考人 国立ハンセン病療養所につきましては、平成十一年三月に見直されました国立病院・療養所の再編成計画におきます再編成対象施設には含まれておりません。現在、統廃合を行う考えはございません。
なお、ハンセン病療養所の将来のあり方につきましては、入所者の減少傾向等もございまして、平成十二年二月から、各療養所の十三施設の入所者の代表の方、あと全国ハンセン病療養所入所者協議会の代表の方、それから各療養所長及び厚生労働省の四者から成るハンセン病関係者連絡懇話会におきまして、意見交換を行っているところでございます。
○西川(京)委員 私は訪問して、この施設の中の雰囲気が、こう言ってはいけないかもしれませんが、思いのほか本当にきれいに整備されておりました。いわゆる町営住宅のようにそれぞれ一戸建ての家にずっと、まさに小さな町があるという雰囲気で、この中で患者さんたちが本当に心の中では大変厳しい思いを抱えながら暮らしてきたけれども、その中での一つの静かな生活、それもあったのだろう、そんなふうに思っております。
大変患者さんたちの思いが複雑です。この長い苦難の歴史の中で、国に対してどうしてもきちんと謝ってほしい、そういう思い、それは強いと思います。そしてその反面、しかし、余りに騒がれ過ぎて、私たちの今の静かな生活を余り乱してほしくない、そういう考えの方々もいらっしゃいます。そういう複雑な中での政府の対応というのも、大変きめ細かな対応がこれからとられなければいけないと思います。
私は、まさにこれから、私たち国会議員も今回この責任を問われたわけですので、この問題に関して、そして、民法上の二十年であるべきところが四十年という問題も含めて、特別立法の中に、やはりこれはある意味では本当に特殊なケースだったという一つのきちんとした決着をつけておかないと、またこれから国政上の混乱ということもあるかもしれないと思います。
そういういろいろさまざまな思いがありますが、それを越えて、私は一つの患者さんの言葉に本当に胸を打たれました。患者さんが厳しい苦難の中で、あの納骨堂があります。あそこにもお参りしてきましたが、亡くなってからも差別をされる。家族のお墓に入れてもらえない。そういう方々のお骨がそこにあるわけですが、一つの象徴的な例として、東京の西武線にお骨の忘れ物が一番多いというのですね。これは東村山の全生園があるわけですが、そういう現実の姿も私たちはやはり忘れてはならないことだと思います。本当に厳しい差別の中で複雑な思いをしてきた患者さんたちに思いをはせながら、私たち国会議員も、これからきちんとした立法措置をとりながらも、私たち自身の活動を心に踏まえて頑張っていかなければいけないと思いました。
大変短い時間でなかなか思いを尽くせませんでしたが、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
○鈴木委員長 次に、江田康幸君。
○江田委員 公明党の江田康幸でございます。
まず、ハンセン病の患者、元患者の方々が九十年間にわたりまして不当な人権侵害と差別により受けたその苦痛と苦難というものは、もう筆舌に尽くしがたいものがございます。このことを真摯に受けとめれば、今回のハンセン病賠償訴訟で小泉首相が最終的に控訴を断念されたことは、当然と言っても私はいいと思います。
政府内では、当初、判決が確定するとほかの国家賠償訴訟などに大きな影響が懸念されることから、控訴する方針が支配的でございました。しかし、患者、元患者の皆様の平均年齢は七十四歳と高齢な上に、毎年二百人が亡くなられております。こうした実情を考えると、法の論理、官僚の論理よりも人道的な被害者救済を優先した今回の政治判断は、当然とはいいながら画期的なことであり、小泉内閣の政治判断としても高く評価されると私は思います。
我が公明党は、与党の中で当初から一貫して控訴断念を主張してまいりました。党厚生労働部会の拡大部会で意見集約をしました。
私は、熊本の菊池恵楓園のすぐそばに住んでおりまして、議員になる前から十年来園に出入りして、友人である多くの元患者の皆様から人権侵害や差別の生の声を聞いてきた者として、初めから党内でも一貫して強く控訴させてはならないと訴えてまいりました。その意見集約を党の中でも受けまして、控訴断念を党の方針と決めて、神崎代表らが首相と会い、控訴しない政治決断を強く申し入れておりました。
特に閣内にありましては、控訴断念を強く主張し続けてこられた坂口厚生労働大臣の役割は非常に大きかったと思います。決断の日の二十三日直前の協議でも、法律面では多くの問題があるが、人道面を優先させるべきであり、控訴すべきではないと迫られたのは、皆さんも御存じのとおりでございます。人権の党公明党の誇りでございます。人権、人道を貫いた坂口厚生労働大臣の訴えが首相の心をも動かしたと信ずるものでございます。
まず、この控訴断念に至るまでの坂口厚生労働大臣の今回の訴訟に対するお考えと、今後の全面解決に向けた大臣の決意をお伺いできればと思いますので、よろしくお願いいたします。
○坂口国務大臣 何度も申し上げておりますように、今日まで、患者の皆さん、また元患者でありました皆さん方に対しまして大変な苦痛、苦難をおかけしてきたこと、そしてまた、多くの偏見、差別の中で苦しい生活を与えてきたこと、そうしたことを考えましたときに、法律面ではいろいろの問題点がございますが、それよりもやはり、その皆さん方にお報いをしなければならない、人道的な立場を優先するということの方がより大事であるというのが私の考え方の基本でございました。
そして、総理に決断をしていただきました今日におきましては、早く皆さん方とお話し合いをさせてもらいたい。そして、そこで正式に私としての立場の謝罪を申し上げ、そして、これからどうしていくかということについてのお話し合いを進めさせていただきたいというふうに思っているところでございます。
長い間のことでございますから、振り返りますと、原告団の皆さんを初め、療養生活を送っておみえになる皆さん、それから元患者の皆さん方も含めまして、さまざまな思いがあるだろうというふうに私は思っておりますが、その皆さん方とやはりひざを交えて一つ一つお話し合いを積み重ねていく、そのことが今一番大事なことだと思っている次第でございます。
○江田委員 ありがとうございます。
小泉首相や坂口厚生労働大臣の政治判断を私も高く評価した上で、これまで筆舌に尽くしがたい人権侵害、差別をこうむられた患者の皆様に心から謝罪するためにも、また、二度とこのような悲劇を起こさないようにするためにも、この国会の責任で今回のハンセン病問題を徹底して検証していくことは、私は、まず最初に重要なことであるかと思いますので、幾つか質問をさせていただきたいと思います。
まず、五月十一日の熊本地裁判決におきまして、隔離の必要性について結論が出されました。内容はこういうものでございます。
まず、もともとハンセン病は感染力が弱く、発病に至るおそれが極めて低い病気であること。このことは、新法制定以前から政府やハンセン病医学の専門家に十分認識されていた。
二、我が国のハンセン病の患者数は、一九〇〇年から五〇年までの五十年間に半減あるいはそれ以下に減少し、有病率も一万人当たり六・九二人から一・三三人と五分の一に低下していた。
三、致死的病気でもなく、すべての症例が重症化するわけでもなく、自然治癒するものもあった。
四、新法制定当時、既にプロミンという特効薬が著効を示すことが国内外で明らかとなっていた。
五、国際会議では、戦前から、隔離を限定的に行おうとする考え方が随所に行われていた。
六、以上に加え、新法制定時の事情として、国内外でますます治療薬であるスルホン剤の評価が確実なものとなっていた。
七、国際的には強制隔離否定の方向性が顕著となり、国際会議ではハンセン病に関する特別法の廃止が繰り返し勧告されていた。
八、我が国でも、五五年以降、新発見患者数に顕著な減少が見られていた。
以上を総合して、判決では、遅くとも一九六〇年には、化学療法などの治療法の確立で、隔離政策を用いなければならないほどの特別の疾患ではなくなっており、すべての入所者及びハンセン病患者について隔離の必要性が失われたものと言わざるを得ないと結論されました。
厚生省として、これらの事実をどのように正確に認識されて、そして、新法廃止前まで続けられた強制隔離の必要性について、どのように考えておられるのか。局長で結構でございますので、お聞きしたいと思います。
○篠崎政府参考人 一九六〇年代の化学療法は、スルホン剤、サルファ剤でございまして、先生御専門でございますが、いわゆる静菌剤が中心でありまして、耐性菌の出現や副作用、再発率などの問題がありまして、治療の効果としては定着をしていなかったというふうに聞いております。
少なくとも、隔離の必要性がなくなったのは、サルファ剤それから抗生剤などを組み合わせて療法として用いる多剤併用療法が定着したと言われている一九八一年以降であるというふうに考えております。
なお、昭和二十八年に制定されたらい予防法による入所施策につきましては、その時々の医学的知見に基づいて、弾力的な運用が図られてきたものと承知をいたしておるところでございます。
○江田委員 そのように、一九八〇年ですか、それ以降において強制隔離の必要性がなかったということは認めていらっしゃるのでしょうか。
○篠崎政府参考人 今の御質問のお答えに少し外れるかもしれませんが、私どもハンセン病行政に今まで携わってきた者といたしまして、事実として、今申し上げました一九八一年、これは一九九六年になるわけでございますが、そのときが多剤併用療法が定着した時期であり、医学的にはあるいは治療という意味では、隔離の必要性がなくなったというふうに認識をいたしておるわけでございます。
○江田委員 年代には大きく認識の差がございますが、まあそれで。隔離の必要性がなかったということを認識していただくのが、今後のためにも非常に必要でございますので、そのように、隔離の必要性がないことが明らかでありながら、らい予防法が廃止されるまで続けられた人権侵害の事実についてはどのように認識されているか、お伺いしたいのです。
例えば、戦前戦後にまたがる、ほぼ全患者を対象とする強制収容の徹底強化が行われました。これによって、多くの国民はハンセン病が恐ろしい伝染病であり、患者は強制隔離されるべき危険な存在であるとの誤った認識を持つようになり、その結果、ハンセン病に対する差別、偏見が増強されたわけでございます。
もう一つは、国民の目から隠された療養所の中で、何が管理者の手で行われてきたか。療養所とは名ばかりで実際は収容所であったことを、私は生の声で聞いております。
まず、施設運営のための作業就労には、重症患者の付き添い看護とか、洗濯をさせたり、配食をさせたり、し尿処理までさせたり、火葬までさせる。患者でありながら、そういうような重労働を義務づけ、そして、外出を禁止して、療養所内で結婚した者に対しては、断種手術や堕胎を強要されました。断種手術とか堕胎に関しては、つい最近まで、らい予防法が廃止される直前、九二年、九三年まで行われていることと理解しております。さらに、入所によって家族とは実質的に絶縁状態となり、それでも家族への社会的差別を恐れて、入所者の半数は仮名によって余生を生きる道を選ぶしかなかった。
こういう人権侵害、差別をどのように政府は、厚生省は認識されているのか、お聞きしたいと思います。
○篠崎政府参考人 幾つかお尋ねがございましたので、まとめて御答弁をさせていただきます。
まず、ハンセン氏病につきましては、古来から日本にあった病気でございまして、さまざまな形の差別、偏見が強く、これに基づく人権侵害が生じていたものと承知をいたしております。
他方、昭和二十八年に改正したらい予防法におきましては、入所、退所、外出などに関して、その時々の医学的知見などを踏まえた対応が行われてきたものと承知をいたしております。
昭和二十年代までは、看護を入所者相互に行わせていた実態がありましたが、昭和三十年代以降、その業務を職員に置きかえていっておりまして、現在では、リハビリなどを目的とした軽作業を除き、入所者に作業を行わせている実態はございません。
らい予防法では、外出には一定の理由による許可が必要とされ、これに違反した場合は刑罰が科せられることになっておりました。しかし、遅くとも昭和五十年代からは、入所者は自由に外出していたものと認識をいたしております。
優生手術につきましては、遅くとも昭和四十年代以降は、適正に本人の同意を得て行われてきたものでございますが、それ以前は、いわゆる半強制的な優生手術が行われてきた実態もあったものと認識をいたしております。
また、施設名についても、先生の御指摘のとおりでございます。
○江田委員 私はきょう、公明党は与党でございまして、野党的質問になっているかもしれませんが、今回のハンセン病の問題は、与野党関係なく、人権問題でございますので、今後二度とこのようなことの起こらないように、政府がどのように正確に認識されているかを問うているわけでございます。(発言する者あり)
○鈴木委員長 御静粛に願います。
○江田委員 時間が非常に限られてきておりますので、もう一つ質問をさせていただきます。
ハンセン病の患者、元患者の方々は、ハンセン病に対してとられた強制隔離政策により著しく人権侵害と差別をこうむって、長年の間苦痛と苦難を受けてまいりました。今回の訴訟における患者、元患者の方々の最大の願いは、国の責任の明確化と謝罪、人権回復にあります。今回、小泉首相と坂口厚生労働大臣の政治判断は、法的問題よりも人道、人権が優先されるという大英断であったと高く評価するものでございます。
ただし、今回の対応では、控訴は断念するとの一方で、政府声明という形で地裁判決の一部が国家賠償法、民法の解釈の根幹にかかわる法律上の問題があることを指摘されました。このことは患者、元患者が要望している国の責任の明確化と謝罪、人権回復にどのような影響があると考えられるのか、法務省の御意見を伺えますでしょうか。
○横内副大臣 今回の決定は、今御指摘がありましたように、人道上の観点から決断がされたものでございますけれども、法律上の観点からだけいいますと非常に大きな法律上の問題があるものですから、そのことを政府声明ということで指摘しているというものでございます。
しかし、同時に発表されました内閣総理大臣談話におきましては、政府として「ハンセン病問題の解決に向けて全力を尽くす決意である」、このように述べられておりますので、今先生のお話がありました点も含めまして、元患者の皆さんのさまざまな要望につきましては、今後立法措置等が検討されている中で十分考慮されるものと考えております。
○江田委員 国が真摯に責任を認識して、そして謝罪したということが、らい予防法が廃止されてもなお残った人権侵害と差別、そのことに関して今回予防法が廃止された後でも裁判を起こされた皆さんの気持ちがあるわけでございます。この人権侵害また国の責任を皆さんが認めるということがいかに患者、元患者さんの皆様にとって重要なことだったか。そのような意味で、政府声明は出ましたが、国は責任を認めて謝罪し、そして人権回復に万全をとっていくということで政府としてはとらえられているというふうに私はとらえます。
最後でございますが、もっと大事なこととして多く用意しておりましたが、今後のハンセン病患者さん、元患者さんの生活支援また恒久対策、損失補償といったことが非常に重要でございます。時間がございませんので、幾つかお伺いできればと思いますが、一つに限らせていただきます。
入所者の方々は非常に高齢になっておられます。それで、この入所者の方々、障害程度も二級以上となっておられる方々もいらっしゃいまして、入院されております。不自由棟という生活環境の中で生活をされておりますが、現在、看護婦、看護助手が昼間は勤務しておりますが、夜間では一ブロックに二名程度の職員当直がいらっしゃるのみでございまして、ここに大きな問題が出ております。夜間になりますと、平均年齢が七十七歳の方々ですので、心筋梗塞とか狭心症などの症状を起こして一命を落とす、例えば朝トイレで亡くなられていたのに気づいたとか、その後にずっと放置されていたとか、そういうような現状があるということを自治会の方々からも聞いております。
このような意味で、不自由棟に看護婦を増員配置することが早急に望まれておりますが、このことについてどのようにお考えか、最後にお聞かせいただければと思います。
○篠崎政府参考人 国立ハンセン病療養所におきましては、従来より、入所者の方々の高齢化、合併症の増加などの実態にかんがみまして、障害の程度に応じた看護職員、介護職員の増員計画を立て、実施してきたところでございます。現在、入所者約四千四百人のうち約二千人の方々が不自由者棟に入居をされており、不自由者棟には看護婦約百七十人、介護員約千百人が配置され、夜間においては当直制により対応しているところでございます。
今先生の御質問にございました不自由者棟における夜間の対応につきましては、三交代制看護を実施している病棟との関係も含め、医療の必要性に応じた適切な看護、介護のあり方を今後検討してまいりたいと考えております。
○江田委員 時間がなくなりました。
厚生省の皆さん、今回の画期的な政治判断、これは法よりも人権、人道が優先されるべきということでなされたものでございます。そのようになされたことをよくよく理解していただいて、今後開かれます協議会の中で、皆さんの御要望、損失補償をどうするか、退所者及び療養者、生活者のそれぞれの生活保障についてどうするのか、医療、看護、介護、福祉政策の拡充についてどうするのか、差別、偏見をどう解消していくのか、そういう一つ一つについて真摯に丁寧にまとめていただきまして、皆さんに万全の対応、手厚い支援をしていただきますように心からお願い申し上げまして、私の質問を終了させていただきます。
ありがとうございます。
○鈴木委員長 次に、小池百合子君。
○小池委員 保守党の小池百合子でございます。
今回のハンセン病の問題につきましての最終的な政治決断、立法府の人間といたしましても改めて政治の力を思い知らされる、そんなすばらしい大英断であったと思います。坂口厚生大臣そして小泉総理を含めまして、心から敬意を表したいと思っております。
さて、今回の問題は、原告団の方がこの間テレビに出ておられて、そのときに一言おっしゃったことが今回のハンセン病の問題の深さということを知らしめてくれたなと思います。それは、いろいろな疾病がございますけれども、大体家族の応援団ができるものだけれども、私どもには家族はだれもついてくれなかったという一言でございました。そんな意味で、マスコミの報道もこれについてはこれまで非常に限られておりましたし、また、もちろん私ども立法府、国会の不作為という点で問われたことも私どもの胸にずしんとくるものもございました。
たまたまきのう、テレビでハンセン病のことを特集いたしておりましたけれども、昭和三十九年の時点におきまして、当時の結核予防課長の小西さんという方が隔離の政策を変えるべきだということを述べていたのに、厚生省内の空気によってそれをまた取り消しを迫られて、せっかく隔離についての政策を変えるべきだと言ったのを途中で変えておられたりするんですね。このあたり、やはり一番そういった状況を知り得る立場の行政の責任というのは実は極めて大きいなと思うわけでございますけれども、厚生省、当時の厚生省ですね、これまでの責任についてはどういうふうに考えておられるのか、伺いたいと思います。
○坂口国務大臣 いつの世もそうだと思うんですが、直接担当している人というのはさまざまなことがよくわかりますしいたしますから、こういうふうにしたい、ああいうふうにしたいという思いが私はあったと思います。
今御指摘いただきましたように、小西さんでございましたか、その方も、直接担当をしておみえになって、やはりこの問題はここで決着をつけなければならないというふうに御主張なすった。それは、担当者であればこそできたことだというふうに思いますが、しかし、そのことが全体として受け入れられる、そういう状況になかったことも事実なのだろうというふうに思います。
厚生省の内部もあるいはそうであったかもわかりませんが、しかし、厚生省の中だけではなくて、社会全体の環境、それから私が所属をしておりました医療界の状況等々も含めて、そうしたことにもう少しその当時きちっとした考え方を持つべきではなかったのかというふうに私は思っております一人でございます。そのことが、医学の道を歩んでまいりました一人として、罪の重さというものを人一倍私は感じたということでございます。
○小池委員 こういった大問題はそうそうあってはいけないわけでございますけれども、いかがでしょうか、今回のハンセン病の問題について、ずっとこれまでの行政がたどってきた道筋を改めて検証されるという必要性が私は非常にあるのではないかと思うのですが、大臣いかがでしょうか。
○坂口国務大臣 このハンセンの問題を決着をつけるということには、いろいろの意味が含まれているというふうに思います。
一つは、やはり一番先にやらなければならないのは、患者の皆さんあるいは元患者でありました皆さん方に対する問題。それは、名誉回復の問題もありますし、福祉の問題もありますし、補償の問題もありますし、そうした問題をまずやるということもございますが、一方におきまして、我々が今までとってまいりましたやり方がこれでよかったかという反省、それもまた一方でやらなければならないことだというふうに思っている次第でございます。
○小池委員 ぜひ元患者の方々の名誉回復、そして生活の保障といったことも、前向きといいますか、これからすべきことと、それから振り返るということ、実は、これまで前へ前へばかり行っていて、問題点の洗い出しというのをなかなかしてこなかったことも日本のある種の問題点だと私は思っております。
ぜひ過去を振り返って、どういう経過でこういうことになってしまったのかを、それぞれかかわった方々の名誉の問題もありますでしょうけれども、それよりも患者さんが失われてきた名誉の方が大きいと思うのですね、私は。ですから、その辺をぜひよろしくお願いを申し上げたいと存じます。
それから、先ほどから出ておりますけれども、今回の総理の談話それから政府声明と、ある意味で二階建てになっているわけでございます。
この政府声明において、憲法上の問題、国家賠償の問題にかかわってまいりますが、それから二点目に民法上の問題ということで明記されております。これを出された意味と、それから憲法上そして民法上一体どうなのか、ここでもう一度お答えいただきたいと存じます。
○横内副大臣 お答え申し上げます。
今回の控訴断念という判断は、人道上の観点から政治決断として行ったものであるわけでありますけれども、先ほども申し上げましたように、法律論としては大変に大きな問題があるというふうに考えております。
一つは、国会の立法不作為の問題でございますけれども、これについては、従来の最高裁の確定した判決がございまして、国会議員は国民全体に政治的な責任を負う、したがって、選挙で有権者の判断、審判を仰ぐという意味での政治的な責任を負うのであって、個別の国民の権利に対して損害賠償責任というような法律上の責任を原則としては負わないんだ、それは例外的に、故意に憲法に違反して国民の権利を侵害する場合に限られるのだというのが最高裁の判決でございますけれども、今回の地裁の判決では、その故意がない国会議員の不作為についても法的な責任を広く認めているということがございます。それが法律上は問題だと思います。
それからもう一つは、民法で、損害賠償責任は除斥期間というのがありますけれども、二十年で責任は免れることになっておりますが、それを四十年間認めている点も、民法上の解釈としては問題だというふうに思っております。
したがいまして、この判決はそういう法律上の問題があるものですから、国としては、政府声明という形でそういう法律上の問題はしっかりと明らかにしておく必要があるということで、政府声明を出したということでございます。
○小池委員 そういった意味でも、法律的、そして人道的、ここも冷静によく踏まえておく必要があろうかと思いますが、もう一度厚生労働省の方に伺いますけれども、どうなんでしょうか、こういった、我々国会の不作為ということを問われている、怠慢だということを問われている、しかし、そういった問題が実際に我々もしくは大臣のところにもきっちり上がっていたのかどうかというのも非常に疑問に思うわけでございますけれども、これに類似した問題はもうないのでしょうか。いかがでしょうか。
○坂口国務大臣 厚生労働省は、いろいろの分野のことを受け持っておりますし、そして疾病に対する問題もさまざまな問題を受け持っておりますから、私は、よく似たと申しますか、同じような、医療の中の範疇で申しますと、精神障害者の皆さん方の問題でございますとか、それから感染症でございますとエイズの問題でございますとか、最近はヤコブ病の問題でございますとか、そうした問題もございますので、それぞれの特殊性はそれぞれございますけれども、そうした問題も抱えておりますから、あわせて私たちはよく注意をして検討していかなければならないと思っております。
○小池委員 立法府といたしまして、今回のハンセン病の元患者の皆様方に対する立法を早期に行うという点と、これを教訓として、今後このような問題を、国会の不作為などということを問われないようにまた邁進してまいりたいと考えております。
どうもありがとうございました。
○鈴木委員長 次に、加藤公一君。
○加藤(公)委員 おはようございます。民主党の加藤公一でございます。
本日は時間が限られておりますので、どんどんとお話を進めさせていただきたいと思います。
まず、今回の判決におきましては、国会における立法不作為の責任ということも認められているわけであります。
この点、私どもも、国会議員の一人として、大変重く受けとめなければならないと思います。私一人が何か言葉を発してどうにかなるわけでは決してないのですけれども、きょうは入所者の皆さんが傍聴にもお見えでいらっしゃいますし、質問に先立ちまして、患者さん、元患者さん、そして既にお亡くなりになられた皆さん、あるいは御遺族の皆様に対して、一言心からのおわびを申し上げたいと思います。
また、厚生労働大臣におかれましては、総理の最終決断に至る過程で、一人の人間として、そして医師としてという言葉をお使いでいらっしゃいましたが、控訴断念に向けて大変力強く進言をしていただいたように伺っております。この点、改めて感謝と敬意を表したいと存じます。
本来はこの後すぐに質問にと思っておりましたが、先ほど来政府参考人の方の答弁を委員席の方で聞いておりまして、私、どうも納得のいかない点がありましたので、一言だけ申し上げたいと思います。
経過はどうあれ、熊本地裁の五月十一日の判決が確定をしたことは事実でございます。私も地裁で直接判決を傍聴してまいりました。あの判決が確定をしたわけであります。法的にはすべてこれにのっとって今後の取り組みがなされるべきでありますから、政府声明、内閣総理大臣談話は出されているかもしれませんが、判決が確定をしたということを肝に銘じて、ぜひお取り組みをいただきたい。いろいろな御発言がありましたが、私、その点には今言及をいたしませんけれども、ぜひ大臣にはその点、判決が確定をしたということを改めて御認識をいただいて、今後の取り組みを進めていただきたいというふうにお願いを申し上げたいと思います。
それでは、具体的な点について幾つか確認をさせていただきたいと思います。
まず、五月の二十五日に発表されました総理大臣談話では、政府として「ハンセン病問題の早期かつ全面的な解決を図る」とございます。この「早期」そして「全面的な解決」というのが非常に重要な言葉だと思いますが、これは原告団の皆様ももとより願っていたことでございますし、判決はあくまでもスタートラインであるという点にぜひ立脚をしていただきまして、この早期かつ全面的な解決、ぜひとも強力に進めていただきたいと思います。この談話が言葉だけで終わらないようにお願いをしておきたいと思います。
その中で、まず、これまで一番入所者の方々を苦しめてきた差別や偏見の問題でございます。これを啓発活動によって払拭をしていこうということがうたわれておりますが、どんな内容の啓発事業というのをお考えでいらっしゃるのか。大臣の今のお考えで結構でございます、簡潔に御答弁をお願いします。
○坂口国務大臣 差別というのは、どんな差別もそうでございますが、一度形成されてしまいましたものはなかなかとれにくいものでございます。したがいまして、これは繰り返し繰り返しやはり啓蒙活動を行う、根気よく、そしておわかりいただけるまで継続して続けるということが必要ではないかというふうに思っておるわけでございます。
したがいまして、これからどういうふうにやっていくかということは、皆さんとも御相談を申し上げ、患者、元患者の皆さん方ともよく御相談を申し上げていかなければならないことでございますが、しかし、ここは、継続こそ力なり。継続をするという、そこに力点を置いて、あらゆる角度から取り上げていくことをやらないといけないというふうに私は思います。
○加藤(公)委員 せんだっての雇用対策法のときの議論もそうだったんですが、私の質問にいつも大臣が大変すばらしい御答弁をいただくものですから、改めて感謝を申し上げますが、その継続ということをぜひお願いをしたいと思います。
啓発活動をしました、広報をしましたということには実は何の意味もありませんで、差別がなくなった、偏見がなくなったということにこそ目的というのがあるわけでありますから、ぜひその結果を、実現をしていただきたいと思います。
その意味では、まず何をすべきか。これは私の思うところでありますけれども、国がこれまでの政策に誤りがあったということを率直に認めて、今回の判決を重く受けとめる、責任を認める、そして素直に謝罪をしていただくという、これを広めることが一番重要ではないかと思います。その意味では、これは手段の問題ですから、何もこれだけがいいというわけでは決してありませんけれども、今の世の中であれば、やはり電波、あるいはインターネットというメディア、マスメディアを使わざるを得ないと思います。
財政厳しい折、どうしても費用も必要かとは思いますが、これは差別、偏見をなくすということまでいきませんと、今回の問題、何一つ解決をしないわけでありますので、政府広報なども含めまして、ぜひ積極的に、そして今大臣のおっしゃったとおり、継続を旨として啓発活動の方には御尽力をいただきたいとお願いを申し上げておきたいと思います。
この啓発活動の一つにもなるかもしれませんが、ハンセン病の資料館の問題について少しお尋ねをしたいと思います。
私の自宅がこの資料館まで歩いていけるようなところでございますので、たびたびお邪魔をしておりますが、実は現在、この資料館でございますが、運営はほぼボランティアで進められています。全生園に入所されている方々がボランティアで運営をされている。実際にお体の御都合等もございますので、開園時間も、ちょっと記憶は定かではございませんが、たしか月曜日と金曜日がお休みで、残りの日も午後だけの、一時から四時ぐらいの開館だったと思います。
本来であれば、もっと長い時間、大勢の方にごらんをいただいて、差別や偏見をなくす一助にできればいいわけでありますが、なかなかボランティアだけの運営ということになりますとそれもままなりません。ハンセン病資料館の充実というのもうたわれておりますが、今後この充実、中身についてはどのようにお考えか、ぜひ大臣にお考えをお聞かせいただきたいと思います。
○坂口国務大臣 私も四月の初めにこの資料館にお邪魔をさせていただきまして、拝見をさせていただきました。そのときにもお伺いをいたしました。確かに、ボランティアで運営をされていて、そして中におみえになります皆さん方も高齢化をされているということもあって、そこがなかなかスムーズにいきにくくなったというお話がございました。
これからどういうふうにしてそこを運営をしていただくかということにつきましても、これからの話し合いの中の一つではございますが、そのボランティアの皆さん方も、中の患者の皆さんあるいは元患者の皆さん方だけのボランティアでいいのか、もっと広く支えていただく皆さん方にひとつ御努力をいただくということも考えていくのか、それとも、そういう大事なものだからそこには専任の人を何とか無理をしてでもつくるということなのか、いろいろのことが考えられるというふうに思います。
そこはひとつよく御相談をさせていただいて、そして、今委員が御指摘になりましたように、せっかくのああした立派なものがありながら、半分は閉まっているというのでは意味がございませんから、そういうことのないように、どうするかということを中心にして考えさせていただきたいと思っております。
○加藤(公)委員 ぜひ積極的にその点もお願いをしたいと思うんですが、私が聞くところによりますと、多少、有償のボランティアという形でお手伝いをいただいている方で、その給与といいますか報酬といいますか、一番受け取っていらっしゃる方でも月額七万円程度ではないか。また、直接私の御面識のある方ですと、月に十五日ほどお手伝いをされて二万円少々とか、あるいはおみ足の悪い自治会長さんみずからお手伝いをされて月額五千円とか。それで運営をしろという方がどだい無理な話でありまして、もちろん施設についてもまだまだ拡充をしていただきたいと思うわけでありますけれども、これはハード面だけではなくて、運営をされなければ何の意味もございませんので、ぜひその運営面、ソフト面について改めてお考えをいただきたいと思います。
現状でも、入所者の皆さんそしてボランティアの皆さんの御努力で、年間一万人程度の方が来場されているというお話を伺ったことがございます。これは運営方法を充実させれば、そしてまた最近この問題が注目をされているということを考えますると、大幅にこの入場者の方をふやすことは可能だと思います。せっかくの施設でございますので、この運営の方につきましても御尽力をいただきたい、このようにお願いを申し上げておきたいと思います。
また、これは果たして可能かどうかという問題、私、難しい部分はわかりませんが、例えば大臣のように医師の方、あるいは国家公務員の方、こういう方が、国家公務員全部とは言いません、厚生労働省に入省の方だけでも結構なんですが、過去の我々の過ちを知るという意味から、ぜひ研修の一環としてこういう場を訪れていただくということも非常に重要ではないかと思いますので、これは御決断をいただけばすぐにでも実施できることだと思いますから、お考えをいただきたい、お願いを申し上げておきたいと思います。
また、同じように、現在の厚生労働省の職員の方でも、果たしてどれだけの方が実際に入所者の方と直接お話をされたことがあるのか、あるいは資料館に行ったことがあるのかというと甚だ疑問でなりません。この点も大臣の一言で十分に対応できることだと思います。重ねてお願いを申し上げておきたいと思います。
それでは、先ほどもございましたけれども、現在の療養所の看護体制について、これもお願いを申し上げたいと思います。
先ほどもちょうどありましたが、不自由者棟におきまして夜間の看護体制が十分ではない。このために、夜間、容体が急変をされた方が、みずからそれを人に告げることもできずに、朝になったら亡くなっていらっしゃった、あるいは、お手洗いに行かれてそこで倒れられて、明るくなるまでどなたにも発見をされずにいらっしゃった、こんな事件が続いております。
これは、過去の国の政策の誤りでそういう立場に置かれた方々が、お体が不自由になられて、病気になられたときに、さらにこんな仕打ちを受けるというのは、どう考えてもやはり人道的に間違っているのではないかと思います。
確かに、財政の問題あるいは公務員の方の人員の計画等々難しい問題もあるかもしれませんが、しかし、だからといって全体の計画をひっくり返さなきゃいけないほどの数字では決してないはずでありますので、夜間も含めた三交代での看護の体制、看護婦さんあるいは看護士さんでの看護の体制というものをぜひ早急に整備をしていただきたいと思います。そうでなければ、不自由者棟に入っていらっしゃる皆さんが安心して夜も休めないということになってしまいますし、これではここにある全面解決には到底及ばないわけでございます。
これは本当に入所者の方が強く望んでいらっしゃることでありますので、大臣、ぜひお取り組みをいただきたいと思いますが、御所見をいただきたいと存じます。
○坂口国務大臣 そのお話も、先日、実はお邪魔をいたしましたときに、自治会長さんでございましたか、皆さんからお聞きをさせていただきました。よく理解をさせていただきまして、一遍検討させてください、必ず何らかのお答えを出させていただきますからと言って帰ったところでございます。
聞くところによりますと、不自由棟の中も、全部お入りになっているわけではなくて、まばらにお入りになっていたりというようなこともあって、夜間の皆さん方を看護させていただく体制というのも今のままでいいかどうかというようなことも、その看護をさせていただく側からするとあるようでございます。
そうした問題も含めまして、皆さん方に御不自由をかけないようにどうするかといったことを考えていきたいと思っているところでございます。
○加藤(公)委員 ぜひその点をお願いしたいと思います。
私も、何度も申し上げますが、民間企業の経済合理主義のしみついた人間ではありますけれども、それだけでは割り切れない問題でありまして、効率効率ではいかんともしがたい、人の道の問題だと思いますので、ぜひこの点、強くお願いをしたいと思います。
最後に一言だけ申し上げたいと思いますが、総理の談話の中で、患者、元患者の皆さんと厚生労働省との協議の場を設けるというお話がございました。これを早急にお取り組みいただきたいということと、一点確認をさせていただきたいのですが、この患者、元患者の皆さんとの協議の場というところに原告団の方ももちろん入っていただくというふうに私は考えているわけでありますが、それで間違いがないかどうかだけ、大臣に確認をさせていただきたいと思います。いかがでしょうか。
○坂口国務大臣 患者、元患者の皆さん方とのお話し合いというふうに言いましたときに、その皆さん方はどういうふうな形で代表の人を組織していただくのかということは、一つは、患者の皆さん方の方でのお考えもあることだろうというふうに思います。あるいは、現在もう既に療養所から社会に出ておみえになります方もございますし、その人たちの代表がどうなのかというようなこともあろうかというふうに思います。
ここは皆さん方の御意思もございますしいたしますが、しかし原告団の皆さん方もその中の一員としてお入りになっていることはもう間違いのない事実でございますから、全体の皆さん方の御意見というものをひとつ十分に拝聴しながら、そして私たちはその皆さんとお話し合いをしていきたい、そんなふうに思っております。
○加藤(公)委員 ありがとうございました。ぜひ早急な取り組みをお願いいたします。
終わります。
○鈴木委員長 次に、家西悟君。
家西君、どうぞお座りのままで質問してください。
○家西委員 それでは、冒頭に、総理並びに厚生大臣初め、今回の政治判断に本当に敬意を表したいと思います。私自身もHIV感染者という立場から、大臣の御尽力には本当に敬意を表さなきゃならないと思っています。
そこで、まず冒頭ですけれども、ハンセン病問題の全面解決に向けての総理の談話についてお伺いしたいと思います。
「名誉回復及び福祉増進のために可能な限りの措置を講ずる。」というふうに言われていまして、先ほど我々の加藤議員からも申し上げたと思いますけれども、繰り返し繰り返し啓発活動を行うということを言われています。あわせて、この中で一つどうしてもやっておかないといけないものは、これは質問通告をしていませんけれども、情報の開示も必要ではないかというふうにも思っています。過去においての問題、一体何が行われたのか、公の場で議論された以外にも私はいろいろあるんだろうと思います。
例を挙げて申し上げるとしたら、郡司ファイルと呼ばれたようなファイル的なものが存在するのじゃないか。また、厚生省の書庫にはどこかにそういった資料がまだ残されているということもあるのじゃないか。そういったものも公にしていくことが一つは大事ではないかというふうに考えます。
そして、具体的には先ほどお伺いした内容だと思いますので、再度お伺いするのもどうかと思いますので、ここは省かせていただいて、繰り返し繰り返しやるということをひとつ頭に入れておきたいと思います。
そして、今後の患者との協議の場を設けるということでありましたけれども、その協議の場とは一体どれぐらいで行われるのでしょうか。それは定期的に協議をされるのでしょうか。全面解決するまでの間というものは、定期的ではなく、継続的にずっと行うつもりでそれは想定されているのでしょうか。この点を大臣にお伺いしたいと思います。
○坂口国務大臣 お話し合いをどういう形で進めさせていただくかというのも、これからお話をしなきゃならないというふうに思っています。
それは定期的に、例えば一週間に二回ずつやりましょうとかなんとかというような形でいくのか、それとも、もうびっしりと、一つのことにつきまして、それが決着するまでいきましょうということにするのか。皆さん方の御都合もございますから、これは一方的に決めるわけにもまいりませんので、そのお話し合いの仕方につきましてもよく御相談をさせていただいて、そしてやるようにしていきたいというふうに思っております。
○家西委員 ぜひともその協議はしっかりやっていただきたいなと思います。
我々の薬害エイズの問題に関しても、年に一回の定期協議というふうに言われていて、御尽力いただくときもあるのですけれども、年に一回というふうに一応決められていまして、二回とかいう場合もありますけれども、その一回をとるのにも大変な努力をしているというのが実情です。
ですからこそ、今回、控訴断念ということは、こういうような判決を受け入れられたわけですから、これはやはりしっかりやっていただかないといけないのではないかというふうに私は思います。その点について、大臣、もし御所見がありましたら。
○坂口国務大臣 そこは事務的ないろいろの詰めの問題もございますしいたしますから、そんな一年に一遍とかなんとかということでは決してございません。早く解決をしなきゃならない問題でございますし、もっと積極的に時間を、例えば今年なら今年いっぱいまでにこういうふうにしましょうとか、あるいは半年以内にこういうふうにしましょうとか、初めから大枠を決めておいて話し合いが進められるというふうに思いますから、そんなことはないというふうに思います。
ただし、その会談に全部私が出させていただくとかなんとかということではないと思います。これは事務的にやっていただくということだろうと思います。しかし、節目節目のときには出させていただいて御意見を申し上げることもあるだろうというふうに思っています。
○家西委員 ぜひともそうしていただきたいし、事務方だけに投げて後は知らないみたいなことに今後もならないように。坂口大臣のお気持ちはよく察しますし、受け取りますけれども、坂口大臣から今度かわられた方には、もう私は知りませんよというようなことのないように、くれぐれもこれは継続して行うということだけは約束をしていただきたいなと思います。
そして、先ほど言われました、継続的に啓発を繰り返し繰り返しやるというところで、私は具体的に提言があります。パンフレットとかインターネットも当然必要だと思いますけれども、あわせて、学校での教育。教科書に、こういったハンセンの問題、そして薬害エイズや薬害の問題、そういった問題をしっかりと歴史の教科書に載せないといけないんではないかというふうに私は考えます。
そして、名誉回復をされるということで、いろいろな活動が行われると思いますけれども、先ほど大臣も言われました、一たん刷り込まれたものはなかなか取り除けない、それは事実です。私自身もそうです。私は、自分がHIVに感染している、薬害エイズの被害者だということを実名公表してから、私の父親方の親戚とはいまだに一切交流がありません。それ以降、今日に至ってもありません。そういう状況になっています。
そして、ハンセンの人たちは、今回の判決によって、これでふるさとに帰れる、これは、ふるさとに帰れるというのは、地元に帰れるという話だけではなくて、そういった家族のもとにも帰れるんだという思いがあったからこそあそこまで言われたんだというふうに私も思います。私も、きっとそうあってほしいし、家族も受け入れていただくということが一つだろうと思います。しかし、そういうふうにしようと思えば、時間や費用というものは膨大にかかります。これは、それだけのことをやったんだということをどうぞ御認識をいただきたいと思います。
そこで、先ほど言いました、ぜひとも、中学校、高校、そして医学部の教育の中にそういったものを入れ込んでいくということはお約束いただけないでしょうか。大臣、いかがでしょうか。
○桝屋副大臣 私の方からお答えをいたします。
家西委員から、名誉回復のための啓発ということで、特に文部科学省とよく連携をして教育の中でという御指摘をいただきました。
家西委員も御案内かと思いますが、らい予防法の廃止に関する法律、この附帯決議においても、実は、一般市民に対すると同時に「学校教育の中でハンセン病に関する正しい知識の普及啓発に努め、ハンセン病に対する差別や偏見の解消について、さらに一層の努力をすること。」という項目が入っていたわけでありまして、ずっと取り組んできたところでありますが、今委員から名誉回復の難しさということも御指摘をいただきまして、それから大臣の繰り返し継続という答弁、そうしたことを踏まえまして、改めて文部科学省とも協議の上、今家西委員がおっしゃった、生徒に直接届くような、そんな形で整理ができるようにぜひ検討していきたい、このように考えております。
○家西委員 では、文部科学省おいでだと思いますけれども、そういう御要請が厚生省からあった場合、これは受け入れていただけますでしょうか。あわせて患者さんからの要求も起こってくると思います。そして、これはハンセンだけじゃありません。薬害エイズの問題も含めて、当然こういった差別、偏見をつくってきたわけですから、こういった問題についてしっかりと教科書に入れ込むということは、要請があればやるということでいいんでしょうか。文部科学省にお伺いしたいと思います。
○遠藤政府参考人 中学校、高等学校での教育でございますけれども、学習指導要領で、社会科、公民科におきまして、広い視野に立って、現代社会の諸問題について主体的に考え判断する能力や態度を養う、保健体育科では、疾病の発生要因や予防法について指導する、こう記述されております。したがいまして、ハンセン病の歴史や感染者の問題につきましても、これらの教科の中で、このような事柄を生徒に理解してもらう一つの題材として、今後必要に応じて各学校の判断により指導されるというふうに考えておるわけでございます。
厚生労働省や患者の方から、そういったような指導につきまして、例えば教材の作成、配付といったようなことについてお申し出があり、協力をしてくれということでございますれば、私ども、そういうことに関しまして積極的に協力をしてまいりたい、こう考えております。
それから、大学、医学部の話でございます。医学部では、本年三月に、国公私立大学の医学部の教授などの有識者によりまとめられました「医学教育モデル・コア・カリキュラム」というものがつくられておるわけでございますけれども、その中で、学生は卒業時までにハンセン病に関して説明できる、そういった教育を行うということが目標として設定されておりますので、恐らく各大学におきましてこのようなカリキュラムに沿いました医学教育が行われると思っている次第でございます。
○家西委員 ぜひともそういった教育をしていただきたい。なぜならば、誤解や偏見があった、公衆衛生という名においてやられてきたことだと思います。それが今日の差別や偏見を助長していったことだというふうに私は考えられてなりません。もし仮にきっちりやられていたら、もっと早い段階でらい予防法という法律は廃止されたでしょうし、あわせて、エイズ予防法という法律もできなかったんじゃないかというふうに私は今さらながら思えてなりません。
こういったことを繰り返し繰り返しやってはいけない。そのためにも、先ほど冒頭申し上げました情報の開示というものもあわせて大事ではないか。
国会での議論とかこういった部分だけではなくて、各療養所やいろいろな、厚生省の中での省内協議をされたような資料も公開をしていく。そして、先ほど小池議員からも御指摘があったと思いますけれども、そういったことを検証する。何をどう間違えたのか、どうしてこれは今日まで放置されてきたのかということをしっかりと検証しない限り、再発をするんじゃないか。
これからまた新たな、これほど今世界が交流していく中ですので、未知の病気、未知のウイルスが発生する可能性もあります。そういったときにうろたえない、しっかりとそのときに判断できる、誤った知識を植えつけない、それが最も大事だと思います。そのためにも、何をどう間違ったのか、どう正すべきであったのか、どう法律をつくっていくべきであったのかということを検証するためにも、情報の開示、そして検証するということの作業が必要だと私は思います。
その点について、もし大臣、御所見がありましたらお答えいただければありがたいのですが。
○坂口国務大臣 今お話しいただきましたように、これからまたどういう新しい疾病が出てくるかもわかりません。そうしたこれからの取り組みのためにも、今までの疾病に対する取り組みがどうであったかということをよく整理をしておくということは非常に大事なことだというふうに私も思います。よく今までのことを整理いたしまして、これからのそうした疾病に対する取り組みというものに役立てなければならないというふうに思っている次第でございます。
○家西委員 もう時間がそろそろないと思いますけれども、私は坂口大臣にいま一度お願い申し上げたい一点があります。
薬害エイズのときには、菅直人厚生大臣、我が幹事長ですけれども、情報の開示をやりました。それと同じように、坂口大臣の方から命令として、当時の資料を捜せ、こういったハンセンに関する資料を省内、また関係する部門において一斉に捜せという命令をお出しいただけないでしょうか。そして、それをすべて公開していくということをお約束いただけないでしょうか。いかがでしょう、大臣。
○坂口国務大臣 あの当時と現在とを比較いたしますと、全体の情報公開に対する考え方も変わってまいりました。既に法律もでき上がりまして、すべての情報は公開をすることになっております。したがいまして、これからも情報は公開をしていきたいというふうに思いますし、そして、今までもかなり裁判等におきましても我々の持っております情報は出しているところでございます。
情報公開はきちっとやれという御指摘に対しましては、これからも情報公開をきちっとやる、やっていくということにしたいと思います。
○家西委員 質問の時間が終わりましたので、私の質問、残余の質問がありましたけれども、本日来ていただいていて申しわけありませんが、またの機会でお願いしたいと思いますし、今後もこの問題、またこれに関連するような問題について場を設けていただければと思います。
坂口大臣のお力と御奮闘をお祈り申し上げて、私の質問を終わります。ありがとうございました。
○鈴木委員長 次に、金田誠一君。
○金田(誠)委員 おはようございます。民主党、金田誠一でございます。
まず、総理大臣談話及び政府声明についてお尋ねをしたいと思います。
五月の二十三日に、ハンセン病国賠訴訟について小泉総理が控訴断念の決断をされたわけでございますが、このことは我が国裁判史上に残る快挙であった、私は率直にこう思うところでございます。これは、国民が国家権力に対して勝利をした、正義が勝ったという瞬間だと思います。その場に立ち会うことができて、本当に個人的にも喜びをかみしめているところでございます。これによって判決は確定をして、法的責任も明らかになりました。これがすべてである、判決が確定し、法的責任も明らかになった、これが最も重要なことである、私はこう思うわけでございます。
ところが、五月の二十五日、金曜日になってから、総理大臣談話並びに政府声明が発表されたわけでございます。これを拝見して率直に感じましたことは、官僚の方々というのは実に往生際が悪いものだなというのが、私の率直な感想でございます。見方によっては開き直りのようにもとられるわけでございますけれども、この期に及んで、なぜこういうことをおっしゃらなければならないのか。坂口大臣も恐らく不本意であろうと推測をするわけでございます。
このことは、政府は、いろいろ言ってはいるけれども、心の底では何も反省していないんだな、薬害エイズのときと同じなんだなということを示したことになったと私は思います、残念ながら。それ以外の意味がこの二つの文書にあるとは思えないわけでございます。わざわざみずから反省していないことを示すためにこういう文書を出される、実に理解に苦しむところでございます。
大臣、これから原告団、患者さん、元患者さんの名誉回復という大変なお仕事に取りかかるわけでございますけれども、正式な謝罪の場といいますか、そういうこともこれから設けられると思いますし、この名誉回復のためのさまざまな行動もされると思いますが、このような総理大臣談話なり政府声明が残ったままでは、謝罪や名誉回復の措置の邪魔になるだけではないのかなという気がいたすわけでございます。
大臣、いかがでございましょうか。邪魔になるだけのものであれば、撤回するなり修正するなりきちんとされた方がよろしいのではないかと私は思うわけでございますが、御所見を伺いたいと思います。
○坂口国務大臣 大臣談話それから声明と二つございますが、大臣談話の方は、総理が率直な気持ちで、患者の皆さん、元患者でありました皆さん方に、長い間の御苦痛、御苦労をおかけしたことに対しておわびをし、そしてお亡くなりになりました皆さん方に哀悼の気持ちを表された、そういうものでございますから、私は、このことがこれからのお話し合いに邪魔になるとは決して思っておりません。
それから、もう一つの政府声明の方でございますが、こちらの方は純法律論の話でございまして、こういうことがあるから控訴はせざるを得ないという動きがかなりあったことは事実でございますけれども、そういう法律論は法律論として、しかしそれよりも、今まで皆さん方にいろいろと御迷惑をかけてきたことの方が、その苦しみの方が大きいではないかということで政治決断になったわけでございます。
ですから、裁判控訴せずということは、それでそのすべては決まったわけでございますけれども、政府としての純法律論的な考え方というものは、しかし我々はこの部分についてはこういうふうに考えておるということの意思表示というのはやはりあっても、それは、別にそれがあるからこれからの話し合いに邪魔になることはないというふうに私は思っております。
○金田(誠)委員 大変残念な御答弁だなと思うわけでございます。
総理大臣談話の随所に、例えば「ハンセン病患者に対する施設入所政策」あるいは「偏見、差別が存在してきた事実」など。これは確かに施設入所政策でございますが、実態は強制隔離政策。施設入所政策といいますと、例えば特別養護老人ホームだって施設入所政策かもしれませんし、ハンセン病、らい予防法のもとに行われてきた強制隔離ということとはニュアンスが全く異なる。あるいは、差別が存在してきた事実というと、あたかも自然発生的に国民の間に差別が存在したように感じられるわけでございますが、実態は、無らい県運動であるとか、らい予防法による政府の施策によって大変な差別、偏見が醸成されてきたわけでございました。
この大臣談話の随所にもそういう言葉の言いかえといいますか、すりかえといいますか、そういうことがうかがえるわけでございまして、私は、総理なり坂口大臣がそういうことをしようと思っていらっしゃるとは考えにくいわけでございます。それだけに、どなたが起草されたかわかりませんが、こういう責任を回避しよう回避しようと読み取れるような文書がいつまでも残るということは、私は、総理なり坂口大臣の心をきちんと表現したものにはならないのではないか、今後の措置にマイナスになるのではないかなという思いで申し上げたところでございまして、お答えはお答えとして伺いましたけれども、ぜひお含みおきいただき、御検討いただければと思うわけでございます。
次に、この政府声明あるいは大臣談話について、順次質問をさせていただきたいと思います。
まず、政府声明の一の項目でございます。国会議員の立法不作為についてでございますが、政府声明では、国家賠償法上の違法性を国会議員の立法上の不作為について認めたこの判決に対して、到底認めることはできないというふうにしているわけでございます。
しかし、国会議員の責任を認めるか否かは、私は、第一義的には国会みずからが判断すべきこと、これが当然だと思うわけでございます。それがなぜ政府声明という形で出されることになったのか。仮に出すにしても、国会との協議がされて、国会としてはどうなのか、当の本人がどうなのかということがただされてしかるべきだったと思うわけでございます。
なぜ政府声明ということになったのか、国会との協議はいつ、どのようになされたのか、この辺のお答えをいただきたいと思うわけでございます。
○篠崎政府参考人 お答え申し上げます。
五月二十五日の政府声明は、熊本地方裁判所ハンセン病国家賠償請求訴訟判決には国家賠償法そして民法の解釈の根幹にかかわる法律上の問題点があることを当事者である政府の立場として明らかにしたものでございます。国の利害に関係のある訴訟についての法務大臣の権限等に関する法律、長い名前でございますが、こういう法律により、「国を当事者又は参加人とする訴訟については、法務大臣が、国を代表する。」とされているものと承知をいたしております。
さらに、いつ、どのように協議をしたのかということでございますが、事務的な話になりますが、五月の十五日に、法務省から衆議院及び参議院の事務総長に意見照会を行ったところであります。これに対し、衆議院については、十七日に、書面による回答はしない旨の電話連絡がありました。参議院につきましては、十八日に、議院運営委員会の決定として、回答は留保する旨の電話連絡があったと聞いております。
○金田(誠)委員 国家賠償訴訟の原因となった国の機関の意見を法務大臣が聞くことができるということでございますから、国会の意見を聞いたわけでございますが、回答しないという中で、その中で国会議員の立法不作為について一方的に見解を発表されるというのは、私は適当ではないというふうに思います。今後、国会の意思が明らかになるのを待って、今決議の協議などもされているわけでございますから、そういう中で対応されるのがしかるべきであった。
何も今の時点で国会の問題にまで言及するというのは、これは政府声明でございますから、局長の答弁というのは私は不本意なのでございますが、坂口大臣、改めて、問いただしはいたしませんけれども、内閣としてその辺のところを十分踏まえて対応していただきたいと思うわけでございます。
そこで、さらにまた、この政府声明の中では、「容易に想定し難いような例外的な場合」、これが最高裁昭和六十年十一月二十一日第一小法廷判決にあるということを引用しながら、これは「すなわち故意に憲法に違反し国民の権利を侵害する場合」に限られるということに結論づけているわけでございますけれども、このことが直ちに「すなわち故意に」ということになるんでしょうか、この辺をお聞かせいただきたいと思います。
○篠崎政府参考人 ただいま先生からお話もありました政府声明にございます最高裁判所の判例においては、国会議員が個別の国民に対応した関係での法的責任を負うのは、立法の内容が憲法の一義的な文言に違反しているにもかかわらず国会があえて立法を行うというごとき、容易に想定しがたいような例外的な場合とされております。このあえてというのは故意にという意味であると解されるというのが法務省から聞いておるところでございます。
○金田(誠)委員 あえて立法を行う、あるいはあえて立法を行わなかったということなども入るんでしょうが、それが「すなわち故意に憲法に違反」するということに言いかえるということは、かなり論理の飛躍があるのではないか、言いかえも過ぎるのではないかなというふうに私は思うところでございます。
「容易に想定し難いような例外的な場合」、まさに今回は容易に想定しがたいような例外的な場合に該当するということが熊本地裁の判決でございます。そして、容易に想定しがたいような例外的な場合であったればこそ、控訴断念という例外的な措置もとることが決断されたんだろう、こう思うわけでございまして、法務省のお役人の論理に内閣が振り回されて政府声明というものが発表されるということは、いかにも残念でございます。せっかくの決断がこれによって、価値がゼロになったとは言いませんが、大いに低められた、このことは極めて残念でございまして、ぜひひとつ内閣においてお考えをいただければありがたいなと思うわけでございます。
ところで、昭和六十年十一月二十一日第一小法廷判決ということが引き合いに出されているわけでございますけれども、そもそもこの判決というのは何の事件についてだったか、これは質問予告していなかったんですが、わかりますか。
○篠崎政府参考人 ちょっと全部のあれを存じておりませんが、在宅者投票制度の関連だったと聞いております。
○金田(誠)委員 選挙制度にかかわることでございます。これもまた国民の参政権ということに深くかかわる重大な問題であることは論をまたないわけでございますけれども、今回のハンセン病、らい予防法のように、強制隔離という形で国民の自由を全く制限する、人生そのものも奪い取ってしまうというものに比べますと、あながち並列的に比べ得るものなのか。私は、全く対象とする事案を異にしているのではないかと思うわけでございます。
選挙制度については、立法裁量というものが、強制隔離のような個人の自由の制約、基本的人権にかかわるものと比較をすれば、裁量権の範囲というのは多少広く認められるものなのだろう。そのときの判決をそのまま引き合いに出して、それも容易に想定しがたいような例外的な場合ということをあえて横に置いて、「すなわち故意に」という解釈をされるとは非常に残念なのでございます。
総理なり坂口大臣の本意だとは思いませんが、こういうものが残るということは非常に残念であると冒頭申し上げましたが、何らかの方法をとれるものならとってほしい。とらなくても判決も確定して法的責任も確定をしているんだからという考えもございますけれども、今後のことを考えますと措置したにこしたことはないなという気がいたします。
次に、政府声明二の除斥期間のことについてお尋ねをしたいと思いますが、この項では、損害賠償請求権は二十年で消滅するという民法の規定を盾に、結果的に四十年にわたる損害の賠償を認める判決は認められない、こう書いてあるわけでございます。
判決では、権利侵害は新法廃止まで継続的、累積的に発生してきたということで、「除斥期間の起算点となる「不法行為ノ時」は、新法廃止時と解するのが相当」である、このように述べているわけでございまして、私は、だれが考えてもこれは当たり前の判決だと思うわけでございます。
大臣、そう思いませんか。新法廃止を起算点にして二十年を除斥期間とする、これが判決の趣旨なんでございます。ずっと、一九〇七年からですか、始まって、そのどこの時点かはいろいろ論の分かれるところですが、それらは次々にずっと時効になっていって、最後の二十年だけだという話を法務省のお役人はしているわけでございますが、そんな解釈が成り立つとすれば、世の中やみですよ。法というのは正義を行うわけですね。
今回の、結果的に四十年にわたる損害の賠償を認めるということが、政府声明を発表してまでこんな反論をしなければならないことですか。これは残念でならない。この声明を出したからどうなるというものでもないのですけれども、どうなるというものでもないのなら、何も出すことはないだろう。大臣、これは本音っぱらのところでどうですか。
○坂口国務大臣 私も法律論は余り得意じゃございませんので、ここで明快な答弁を委員に申し上げることはなかなかできませんけれども、法律は、一つのことだけではなくて、一般論としてこういうふうになっているということを言っているわけでございますから、民法は民法として、民法はこういうことをうたっておりますよということをそこでは主張しているわけでございます。
したがいまして、法律にのっとって言えばこういうことだということでございますから、その法律も我々がつくったものでございますから、それはそれで、法律論としては存在をする。そのことと今まで大変な御迷惑をかけたということとは、多少次元の違う問題だというふうに私は立て分けて考えているわけでございます。
○金田(誠)委員 こういう場で聞きますとそういう答えになるのかなという気もいたしますが、まさか本音でそう思っているとは思いたくございません。
民法にはそういう規定があるのですが、除斥期間の起算点となる、その起算点をどこに置くかという解釈の問題なんです。法務省はこんなふうに解釈した、裁判所は新法廃止時と解するのが相当であると解釈した。この解釈のどっちをとるかなんです。別に法律を曲げろとかなんとかという話ではなくて、起算点をどこにとるかで物事ががらっと変わってくるというだけの話でございます。ずっと継続して人権侵害が続いている場合、次から次と同じ人権侵害が時効になって免罪されていく。こんなばかな話がありますか。
これはちょっと、今のこういう断定的な答弁でなくて、私の言ったとおりだという答弁はできないにしても、もう少し色をつけてもらえませんでしょうか。
○坂口国務大臣 ですから、初めにお断りを申し上げておりますように、私は、委員の御質問にお答えするだけの専門的能力に欠けているということを先に申し上げているわけでございます。しかし、ここで言っていることは、このことだけを言っているわけではなくて、一般論のことを言っているということを私は申し上げたわけでございます。
ただし、ハンセンの患者の皆さんあるいは元患者の皆さん方にいろいろと御迷惑をかけてきたということは、それは八年の、この法律がなくなった、そこから二十年だけでとどまるわけではなくて、ずっとそれにさかのぼって御迷惑をかけてきたことは私も認めるところでございます。
○金田(誠)委員 起算点をどこにするかの話でございますから、これは一般論の話ではなくて、民法の一般の規定を述べているわけではございません。したがって、この事案について政府がこういう声明を出した、非常に不名誉なことがこれから残る。こういうことは避けるべきだ。これは政府のためでもあり、国家の名誉のためでもあり、あるいは、これから謝罪をし、名誉回復をしなければならないという措置に水を差すことにもなるという立場からの問題提起でございます。
法律の専門家の内閣の役割分担というのもあるのかもしれませんけれども、大臣の方からも、こういう指摘があったということで、ぜひ問題としていただければと思います。これは申し上げておきたいと思います。
そこで、この政府声明には、国会の立法不作為と除斥期間の問題、二点が触れられているわけでございますが、判決では、その第一に掲げられておりますのは、厚生大臣の違法性及び過失についてというのが判決の第一でございます。これについては、政府声明では全く反論がございません。ということは、この判決に掲げられた厚生大臣の違法性及び過失については判決を受け入れるということで理解してよろしいか、伺いたいと思います。
○篠崎政府参考人 政府声明は、国家賠償法やあるいは民法という最も基本的な法律についての解釈の根幹にかかわる法律上の問題点のみを、あえて閣議決定の政府声明という形で明らかにしたものでございます。
よって、判決の問題点は政府声明に盛り込まれた事項のみに限られるものではなくて、過去のハンセン病対策にかかわる事実認定につきましては今回の判決で示された内容に争いがないわけではございませんが、施設入所政策の転換のおくれやハンセン病についての国民への啓発活動の不足など、厚生行政としても反省すべき点があることは率直に認めざるを得ず、その意味で責任を認めざるを得ない、このように考えておるところでございます。
○金田(誠)委員 何か前置きがいろいろあるのは気になるところですが、私の指摘の趣旨だというふうに受けとめさせていただきたいと思います。
次に、総理談話の方に入らせていただきます。
この総理談話の一には「補償」という言葉が使われてございます。賠償という言葉ではございません。しかし、なすべきことは補償ではなくて賠償ではないか、こう思うわけでございます。特に判決が確定した方々については、もちろん賠償でございます。今係争中の方々がいらっしゃるわけでございますけれども、この方々は原告側の御判断がまず優先されるべきものだと思います。
そして、私どもの立場としては、総体的に考えなければならないのは補償ではなくて賠償であるという原点はきちっと踏まえるべきだと思いますが、いかがでしょうか。
○篠崎政府参考人 お答えいたします。
政府といたしましては、立法措置に基づき適切な補償を行いたいというふうに考えておりますが、現在、議員立法として検討されておるところでございまして、立法の具体的内容については、現在のところは承知をいたしておりません。
○金田(誠)委員 ぜひ、賠償という観点を踏まえて立法の検討をしていただきたいと思います。
どうも与党サイドでこれの検討が進んでいるようでございます。しかし、この問題は与党だけで解決できるものではないのではないか。与野党含めて、国会の責任も指摘をされているわけでございますから、そういう協議の場、私は個人的には、うちの国対などには特別委員会の設置ぐらい検討すべきだということを進言しているわけでございますが、そうしたことも含めて、与野党、人道上の問題、人権の問題、国会の責任が問われている問題という観点から、あるいは名誉回復、謝罪、国会を挙げて、国を挙げて、必要な状況にかんがみながら、そうした協議の場も私どもも目指したいと思いますし、ぜひ大臣お含みおきをいただければと思うところでございます。
次に、総理談話の二について質問をいたします。名誉回復のための措置は非常に重要だと思います。大臣の公式な謝罪、これから行われると思いますが、それがその第一歩になると思うわけでございます。
患者さん、元患者さんの中には、大臣、ぜひ十三の園をそれぞれ訪問をしていただきたい、亡くなられた方々に花をささげていただきたいという声もあるやに伺っております。あるいは、名誉回復のための新聞広告、故郷に帰れるようにするための都道府県レベルでのさまざまな措置、いろいろ必要になってまいります。これらを包括して、大臣の名誉回復に向けての決意のほどをお聞かせいただければと思います。
○坂口国務大臣 これから、原告団の皆さん方との会談、そして、そこで正式な謝罪を申し上げること、そしてまた、原告団の皆さん方だけではなくて、全体の患者、元患者の皆さん方に対しての会談というものも持たなければならないというふうに思っております。
そして、私にでき得ますことがございましたら、それが名誉回復そしてまた福祉の増進に結びつくことでございましたならば、それは、私はどんなことであろうと喜んでさせていただきたいというふうに思っております。
しかし、手順よくこれはやらないといけないというふうに思いますから、皆さんとも御相談を申し上げて、手順よくそこはやらせていただきたいというふうに思っております。
○金田(誠)委員 この名誉回復の措置もそうでございますし、賠償についてもそうでございます。いずれも、原告側との協議、ここからすべてが始まる。あわせて、患者、元患者を代表する全療協との協議が必要になる、このように考えております。
ここを間違うと、また過ちを犯しかねない。ぜひひとつ特段の御配慮をお願いして、質問を終わります。
○鈴木委員長 次に、都築譲君。
○都築委員 おはようございます。自由党の都築譲です。
まず、坂口厚生労働大臣には、今回の熊本地裁判決に対する控訴断念に至るまでの御努力に、心から敬意を表したいと思います。
ただ、私どもの立場からすれば、実は今回の判決内容はまことに当たり前の話でありまして、当たり前の控訴断念に至るそれまでの過程がこれほど大きく報道された、そのこと自体が、今日の日本の社会の閉塞状況といったもの、あるいはまた人権の取り扱い方、そういった状況を端的に示しているのではないのかな、こんなふうに思うわけであります。
きょうは、先ほど来、例えば家西議員初め、なぜ今日まで放置されてきたのか、そういった指摘が行われておりますが、私もこの観点について、立法の不作為が今回の熊本地裁判決の中で指摘をされたわけでございまして、立法府の活動のあり方、こういった観点から幾つかお聞きをしたい、こんなふうに思っておるわけであります。
しかし、実はこの委員会の形式自体が、極めて、立法府の責任あるいは不作為、そういったものを議論するにはふさわしくないしつらえ方になっているなとつくづく思うわけでありまして、先ほど来のお話を聞いておりましても、各質問の皆様方が、それぞれ厚生労働大臣にお聞きし、また厚生労働省の局長さんたちにお聞きをするという形で議論が進んできている。
ただ、この十年の間に随分幾つか改革が行われ、そして党首討論というものが行われ、あるいはまた政府委員制度といったものが廃止をされる。こういう状況の中で、政治家同士が、大いにお互いに国民の声をしっかりと聞いて議論を闘わせ、国民の耳にわかる声でしっかりと政策を議論し、そしてそれを政策として実現、実行していく、こういう改革が行われてきたわけでありまして、そういったことを考えると、まだまだこの委員会の仕組み自体も大きく本当に変えていく必要があるのではないか。そんな観点から問題を提起いたしたい、こんなふうに思っております。
そして、実は一番の大きな問題は、例えば昭和二十八年のらい予防法が制定をされたときの審議記録を私も読ませていただきましたが、それぞれ本当に国会議員の皆さんがちょうちょうはっしと議論をされておられますが、その答弁に当たるのはほとんどが当時の厚生省の医務局長さんとか公衆衛生局長さんたちでございまして、政治家というのは、冒頭に趣旨説明をやる、それから最後の段階で厚生大臣が、たしか山県さんという方だったと思いますが、出てこられて大所からのお話をされるということで、ほとんど政府のお役人と国会議員との討論というふうな形になっておったわけであります。
そのことを考えると、先ほど坂口大臣が、法律については自分は、こういうふうなお話をされておられました。坂口大臣は実はお医者さんでございますから、医学的な専門的な知見はたくさんおありだろうと思います。また逆に、法律問題あるいは訴訟問題、こういった分野については、それぞれ長い議員の経験がおありですから、十分御経験等知識を集積されておられると思いますが、それでも、法務省とか厚生省の法律を専門に預かってきた皆さん方の意見というものが強く出てくると、実際にどうなのかなという戸惑いを覚えられたのではないのかな。そんな中での、大変呻吟をされた御苦悩の中から今回こういう英断に至ったということは、本当に御苦労さまです、こうつくづく思うわけであります。
ただ、私自身は、そういう問題を実は議論してみたい。すなわち、専門性といったものを今ほとんど役所が独占をしているのではないか。先ほどの家西議員のエイズの問題にいたしましても、厚生関係の医学、薬学関係、あるいはまた、例えば道路一本つくる、公共建築物を一本つくるときの建築技術の問題、それからまたさらに、予算をつくる。さまざまな問題について、専門性というものがほとんど役所の官僚機構の中に独占をされてしまって、それで運営をされているのが今日のこの国の現状ではないのかな、そんなふうに思うわけであります。
先ほど金田議員が指摘をされておられましたが、控訴断念の政府声明の中に、立法府の不作為行為について政府声明がなぜ言及をしているのか、国会に御相談があったのか、こういうことを指摘されましたら、これまた厚生省の局長さんが、それぞれ衆議院、参議院の事務局の方に問い合わせをして、返答がないとか、保留する、こういう結論だった、こういうことでございました。
では、国会議員は一体何をやっていたのか。自分たちのみずからの問題ではないのか、それを事務局に全部だれが一任をしたのか、こういう議論だって実は出てくるし、結局、国会を預かっておる事務総局の、これまた言葉は失礼かもしれませんが、役人の皆さんと政府の役人の皆さんがお話しになってこの国全体を運営していってしまっているのではないのか、こんな感じさえ実は覚えてしまうわけであります。
今、このハンセン病訴訟に対する国会決議がまだ与野党の間でまとまらない。立法府の不作為、そういったものについて、謝罪とかは認められるけれども責任までは認められない、こういう議論でとんざをしているという状況が続いておるわけでありまして、このこと自体、私自身は本当に残念だなと思いますし、本当に長年にわたって強制隔離をされ、差別と偏見の中で苦しんでこられた患者さん、元患者さん、そしてその家族の皆さんたちの御苦労あるいはまた大変な苦痛といったものを考えると、一人の国会議員として、本当に申しわけありませんでした、そういう思いがするわけでありまして、そういう思いをなぜ国会議員が国会で堂々と表明することができないのかということをつくづく思うわけであります。
少し前置きが長くなってしまいましたが、そんなことで、こういった国会の仕組みのあり方そのものをそれぞれもっと本当に変えていく必要があるのではないか、こんな観点から幾つかお尋ねをいたしたいと思うのであります。
まず、事実関係として幾つか御確認をさせていただきたい、こう思うのでありますが、一つは、例えば戦後の国会においても請願といったものが幅広く認められるようになりまして、私がいただいた資料では、このハンセン病関係について、療養所の待遇改善とか施策の充実とか、あるいはまた、そもそも、らい予防法のあり方についての請願などがたくさん実は指摘をされ、請願をされてきたわけであります。
そして、私自身がずっと見てまいりまして、一つ、昭和三十九年でございます、第四十六回国会に、二件のらい予防法の改正等に関する請願、一八九六号、同名の第二七七九号、この二本が提出をされ、これはいずれも採択をされておるわけです。
この請願の要旨は、「ハンセン氏病医学の定説を無視し、患者の人権を不当に侵しているらい予防法をすみやかに改正するとともに、次記事項について措置されたい」というものでございまして、「(一)長期の隔離生活から解放された退所者のために、退所支度金、生業資金、住宅及び就職のあつせん等について十分な保障を行うこと、(二)誤つた強制収容、隔離政策によつて受けた患者の損失を補償すること、(三)病気をなおすための医療を充実し、あわせて療養生活全般の改善をはかること、」などなどの実は要望項目が出され、そして、当時の社会労働委員会、私も記憶をしておりますが、恐らくこういった請願の取り扱いについては、会期末に理事会に、これだけの請願がこの会期中には出されました、それについて要旨はこうであります、そして政府の考え方はこうでありますということを、社会労働委員会の調査室がよく整理をされ、そして理事の皆さん方にお諮りして、採択、不採択というものを決定されていっただろうと思うのであります。
そのときの厚生省の回答でございますが、「一、「らい予防法」の改正については、制度的に目下検討中である。 二、一部すでに実施の運びに至つているものもあるが、今後さらに改善に努力したい。」などと、措置の改善についての提言について回答しておりました。それで採択に至ったわけであります。
実は、こういう、役人の皆さんに全部お任せをしている、こういう状況の中で起こりましたが、しかし一番の問題は、では、昭和三十九年に、一九六四年、オリンピックの年でありますが、あの年に、「制度的に目下検討中である。」ということを厚生省の方は理事会に対して回答をした。それから、らい予防法が廃止される一九九六年まで、実に三十二年間かかってしまった。一体何を検討されておられたのか。そして、立法府は、この請願を採択したことによって、もうそれで何か一つ仕事は終わったと思ってしまったのではないだろうか。
そういうところに、実はみんな役人の皆さんにお任せをしてしまう今の立法府の仕組み自体が今回の熊本地裁の判決で厳しく指摘をされたのではないかと私は思うのでありますが、まず厚生労働大臣の御見解をお伺いいたしたいと思います。
○坂口国務大臣 前段のこの議論のあり方等につきましては、拝聴する点が非常に多かったというふうに思います。元官僚の都築先生から言われるのでございますから、これは身にしみて私も感じながら、これから変えるべきところは変えていかなければならないと思いながら、聞かせていただいたところでございます。
さて、後段の三十九年のお話でございますが、私も、今回のこの経過の中で、三十九年に、当時社会労働委員会でございますか、社会労働委員会に出ていたということを聞いたわけでございまして、そのときにそういう動きがあったにもかかわらず、それがなぜ大きなうねりにならなかったのか、それが小さなうねりのままで、うねりと申しますか、それが小さな波紋だけで終わってしまったのかということを我々はよく検証もし、そして、そこを反省もしなければならないと思うわけでございます。
私もまだ、せっかく一石を投じていただいたのに、どういう経過でそれが大きなうねりになっていかなかったかということの検証はできておりませんけれども、大変残念だったというふうに思っております。
厚生労働委員会におきましては、先日も私は申し上げたわけでございますが、だから皆さん方には二度目に申し上げるわけでございます、都築先生には初めてでございますけれども、昭和三十三年に国際らい学会が日本で、東京で開かれまして、そしてそこで、もう隔離政策というのは必要がないという意見が各国から相次いだ。そして、隔離政策をとっている国に対してはそれをやめさせるように働きかけようという決議までされた。それを受けて、沖縄におきましては、当時琉球政府でございますか、そこに出席をしておりましたアメリカの大佐が帰りまして、開放政策に転換をしたわけでございますが、肝心かなめの日本ではできなかった。
それは肝心かなめの日本で医療行政としてそれができなかっただけではなくて、医療界においてもそこで議論をされたことがオープンにならなかった、伏せられていた。伏せられていたと申しますか、専門誌にも大々的にそのことが書かれなかった。その事実を知りましたときに、私は愕然としたというお話を先日も申し上げたわけでございます。全体といたしまして、そういう雰囲気と申しますか、そういう流れになっていたのかなというふうに思った次第でございます。
したがいまして、同じ三十年代でございますから、せっかくそういう御意見を出していただいたにもかかわらず、それが大きな流れにならなかった。返す返すも残念でございますが、その辺のところはよく検証をしなければならないと私も思っているところでございます。
○都築委員 ちょっと時間が私も限られておりますので、きょうは文部省それから法務省、総務省のそれぞれ政務官の皆さんにもお越しをいただいております。ひとつお聞きをしたい。
それぞれ、ちょっと端的にお答えをいただきたいと思うんですが、まず学校教育の関係で、保健体育の授業の中で、例えば伝染病とかそういった問題についても指摘をすることになっておると思うんです。この間も文部科学委員会で聞かせていただきましたが、学校教育の中では、らい病あるいはまたハンセン氏病について、どういうふうに取り上げてこられたのか。例えば、私が聞きますところ、昭和四十四年改訂の学習指導要領では、らい病についてもちゃんと子供に教えるように、そしてそれに基づく教科書の中での記述がたしかあったわけでございまして、そういった取り組み。
それからまた、人権擁護の観点については、この間も人権擁護審議会の方から大変立派な答申が出たわけでございますが、ハンセン病問題について、これは明らかな人権侵害であるということを地裁判決は指摘をしておるわけでありまして、そして、今まで私がお聞きするところ、多分人権擁護関係では取り上げられてこなかったのではないだろうか、そういったことで本当にいいのだろうか。今回の答申の指摘は、実際に、公権力による差別、虐待、こういったものを積極的に救済するための人権擁護委員会を独立機関として設ける、こんなお話があるわけでございまして、そこら辺についてどういうふうにお考えになっておられるのか。
それから、総務省の方は、例えば、行政監察とか行政相談という仕組みがあるわけでありまして、明らかに問題が多い事案については、さまざまな観点から行政のあり方について問われていっている。私も以前質問を、当時参議院でございましたが、例えば金融関係とか警察関係は余りやってこられなかった。ところが、警察不祥事とか金融不祥事が起こったら急にやれるようになった。役所の中の権力争いといいますか、力関係といいますか、そういった中でなかなか入り込めなかった。しかし、それはやはり国民の声というものを忘れた行政監察であり行政相談ではないのか、こんな思いがするわけであります。
そういう観点から、今それぞれの官庁の指導的な立場にあられる政治家として、政務官として、どうお考えになられるか、ちょっとお伺いしたいと思います。
○池坊大臣政務官 都築委員は文教委員でいらっしゃるのでよく御存じでいらっしゃると思いますけれども、保健体育の中では教科書にきちんと、疾病の発生要因や予防について、また、偏見を持ったらいけないというようなことも詳しく書いてございます。詳しい内容についてはもう御存じだと思いますので、割愛させていただきます。
十四年度におきましては、保健体育の方には触れておりませんが、公民の方において触れておりますし、私は、教科書に出ておりませんでも、授業でやるべきだというふうに考えております。特に、道徳なんかにおいてこの問題を取り上げて、先生が子供たちとともに語り合い、そしていわれなき偏見がどれだけ人の命を奪ったり人生を奪うか、そういうことも授業で取り上げていくべきというふうに考えております。
○中川大臣政務官 ただいまの委員の御指摘は、まことに身につまされるような思いで聞かせていただきました。
人権を擁護する立場の法務省といたしましては、今回の判決、非常に歓迎すべきことだ、こう思っております。私は、法務省の人権を擁護する立場からいったら、まことにすばらしい判決であった、だから総理大臣も決意して、人権を擁護する立場から控訴しないことに決定した、この態度もすばらしい態度ではないかと歓迎するわけであります。
ところで、人権を擁護する立場からの当局としてのこれまでの対応については、二点だけ言うことができると思います。
それは、先ほど、昭和三十九年のときに請願が出て、それが小さな波紋で終わったという話でしたが、それを受けていたのかどうか知りませんが、昭和四十四年に、全国人権擁護委員連合会から「らい快復者の社会復帰に対する諸施策について」という文書が出されまして、そしてその中の後半で「当局は、この際、これらの現実につき、正しい知識の普及・啓蒙をはかり、快復者が社会に暖かく迎えられ、安心して生業に従事し、明るい社会生活を営むことができるような対策を講ぜられんことを要望する。」ということでありました。
それに基づいてどれだけの対応がなされたか、私も調べてみましたが、それほど多くの対応がなかったように率直に反省しております。
しかし、今回の判決、そして総理の判断というものを契機にして、二十一世紀は人権の時代だ、これからはまさにこのことについて深く反省も込めて前向きに対応したいと思いますので、御理解いただきたいと思います。
○新藤大臣政務官 まず、行政監察そしてまた行政相談、これが広く国民の立場に立って行われるべきという御指摘はごもっとも、まことに当を得たことだと思っております。
また、過去を調べてまいりますと、昭和二十七年以降、全国調査網というのが、行政監察制度ができておりますが、今回のことに関しては取り上げられたことがございません。それから、行政相談につきましては、年間二十万件強の相談がございます。そして、これも検索をいたしまして、電子検索が可能になる平成十年以降で、これは約六十万件調べましたが、残念ながらこの行政相談についても現場から上がってくることはなかったわけでございまして、そういう意味ではまことに遺憾に存じております。こういうときにこの制度が生かされればなというふうに思う次第でございます。
そして、もう一方の、広く国民的立場に立っての行政事務執行を行うべきだ、この件につきましては、民間の有識者を入れました行政監察懇話会、それを引き継ぎます政策評価・独立行政法人評価委員会、これができておりまして、こういう中で広く国民的テーマを取り上げられるように、そしてまた、問題があれば私どもとしても果敢に取り組んでいきたい、このように思っておりますので、御了承願います。
○都築委員 ありがとうございました。
各分野においていろいろなチャンネルがあいて、国民が本当に困ったとき、弱ったときに救済の手が差し伸べられ、そしてまた、そういった偏見とか差別といったものが解消されていく、それはやはり社会として本当に必要なことではないか、こんなふうに思うわけでございまして、各分野での御尽力を一層お願い申し上げたい、こんなふうに思うわけであります。
そして、一点、先ほど坂口厚生労働大臣が、大きな流れとなっていかなかった、こういうことを言われたわけでございますが、実は、私自身文部科学委員会の委員をさせていただいておりまして、昭和五十三年二月二十日に教科書研究センターが入手した東京書籍の保健体育の教科書がございます。その保健体育の教科書の中で、伝染病ということでハンセン病が取り上げられておりまして、ちょっと長くなりますが読みますと、
らい菌の感染によっておこる慢性伝染病で、遺伝病ではない。菌を発見したハンセンの名まえをとって、ハンセン病という。一九〇〇年には三万人ほどいた患者も、最近はすぐれた薬によって、約一万人ほどに減った。また、早期に治療すれば完全になおるようになり、新しく発生するものはほとんどなくなった。なおったあと眉毛が落ちたり、手指が曲がったりするため、むかしは社会の人の偏見があったが、完全になおった人は、健康な人と同じであるから、職場や家庭であたたかく迎えるようにしたい。
こういう記述が実は昭和五十三年の時点にもうあるんです。
ところが、先ほど厚生省の局長さんがお答えになっていたのでは、今回の判決の中で、結局、多剤併用療法などによって、昭和五十六年、一九八一年以降についてはいろいろ法的な問題が生ずるかもしれないがと、こういう御答弁をされておられましたけれども、昭和五十三年の教科書にもうこういうことが書いてあるじゃないですか。そうすると、厚生省の医学的知見を持つ方と、この教科書を書かれた、多分お医者さんでしょう、その知見とはどうずれてきてしまったのか。
そして、なぜこういう意見があったのに国会がそれを吸い上げることができなくて、厚生省の強制隔離政策というものをその後二十年近くにわたってずっと引きずってきてしまったわけでありますから、ここでもまた大きな不作為が国会として問われるんではないか、こんなふうに私は思うわけでありまして、時間が大分なくなってまいりましたが、厚生労働大臣、今の点についてどうお考えになりますか。
○坂口国務大臣 先ほど局長が五十六年というふうに申しましたのは、いわゆる多剤併用、いろいろのお薬を並列的に使用をして完璧にその治療方法が確立をしたというときを言っているんだろうというふうに思います。
今御指摘になりましたように、それ以前にもう治癒する、中には完全に治癒なすった方があったことも事実でございまして、それは、早い方ではもっとうんと早かった。そこをどこからとるかということは、なかなか一概には言いにくいというふうに思いますけれども、早い時期、三十年代にそうした治療方法がかなり進んだことはもう間違いがないわけでございますし、中には、二十八年の新法ができましたときに既にかなりの皆さん方はもう治癒していたということを断言される方もあるわけでございます。
それならば、なぜそのときに大きい声でそれを言ってくれなかったかという気持ちも正直言ってするわけでございますが、そうしたことを総合的に考えていきますと、やはり、初めにもどなたかの質問に私がお答えをしましたように、差別、偏見というのには人間は非常に保守的でございまして、一度そうしたものを身につけてしまってそこから離れることができなかったという歴史的事実があるのではないかという気もいたします。それらのことも踏まえて、我々は反省をしなければならないというふうに思っております。
○都築委員 時間がもうなくなってまいりました。
今、坂口大臣言われましたように、ただ、今回のハンセン病問題の差別、偏見といったものは、実は政策として国がつくり上げてきてしまった面が相当大きいということについて、我々は反省をしなければいけないというところが一つ。
それから、今いろいろ議論をしてまいりましたが、立法府の改革について、専門性は確かに役人の皆さんにお願いするかもしれない、しかし国民の常識はやはり国会議員が、正義の観点、よしあしの観点、そういった観点からしっかりと実行していくんだ、そういう決意を持つ必要がある。ただ、その決意だけでは足りない。立法補佐機能をどうやって、役人の皆さんを指導するための専門性をどう獲得していくのか、そういう改革が必要だと思いますし、また請願の審査のあり方一つにいたしましても、余りにもおろそかにし過ぎていたのではないか。
そういう改革について、今まで、例えば平成四年の民間政治臨調の提言とか、あるいはまた最近では経済同友会の「市民参加の政治をめざして」という提言、あるいは平成六年の六月、土井衆議院議長と鯨岡衆議院副議長が国会改革に関する私的研究会の内容として「国会改革への一つの提言」という文書を出されております。ぜひこういったものを私ども謙虚に受けとめて実行していく必要があるのではないかということを申し上げまして、私の質問を終わりたいと思います。
ありがとうございました。
○鈴木委員長 次に、瀬古由起子君。
○瀬古委員 日本共産党の瀬古由起子でございます。
原告の皆さんの命がけの闘い、魂の叫びが世論を広げ、とうとう政府を動かしました。ハンセン病の隔離政策が憲法違反という判決が下され、それが確定をいたしました。国が患者を強制的に隔離をし始めてから実に九十四年の歴史の中で、無念の思いで亡くなった患者さんや家族の辛酸な人生を改めて刻み、人間回復を掲げた原告、元患者の皆さんの勇気ある闘いにまず心から敬意を表したいと思います。
そこで、質問をいたします。控訴断念の政府の声明についてでございます。
政府は、二十五日、控訴断念の政府声明を発表いたしました。この内容には、政府の立場として、立法の不作為は問題だ、二十年以上前の権利は消滅するという民法規定に反する、いわゆる除斥期間の問題でありますけれども、こういう問題を指摘しております。この政府の声明は、今回の判決の法的拘束力に影響を与えることはあるのでしょうか。大臣にお伺いいたします。
○坂口国務大臣 今回の判決は、五月の二十五日をもって確定したところであり、閣議決定されました政府声明が今回の確定判決に対して法的な影響を与えるものではないというふうに思います。しかしながら、政府は政府としての考え方というものを明確にしておきたいというので、声明の形になったところでございます。
ただし、先ほどから何度も繰り返して申し上げておりますように、これらの声明は出しましたけれども、しかし、患者の皆さんや元患者の皆さん方に今までおかけをした御苦痛、御苦難、そうしたものに対して報いなければならないというその気持ちには何ら変化がない、その前提の上での話であるということを先ほどから申し上げているところでございます。
○瀬古委員 今回の熊本地裁の判決の歴史的な内容に、この立法不作為の問題と除斥期間の問題は大変重要な判決の内容であるわけですね。今いろいろ政府は弁明されていますけれども、この判決は、裁判所はこの点についても国の弁明を明確に退けたのです。
もともと、国会議員の不作為については、国会や立法府が問われていることでありますから、この問題には本来行政府が口を出すべきではありません。今、国会でこの判決に基づいた決議をどうするかという議論がやられているわけですけれども、これについて、残念ながら、与党、坂口さんが所属されております公明党も含めて、猛烈な妨害があって、いまだに決議が出せない、そういう事態になっているわけでございます。立法府の問題について当然政府は口を出すべきではありません。
除斥期間についても、この元患者さんたち、入所者の皆さんたちが一体どんな思いでこの間生活をしてきたのかという点をしっかり考えれば、こんなこと言えないわけなんですね。新法成立まで、とても元患者さんたちが訴訟を起こす環境になかった。今回裁判をやることについても、裁判をやるなら療養所を出ていけとまで言われて、すさまじい圧力の中で元患者さんたちが勇気を持って立ち上がったのですね。
そして、こういう状況の中ですから、厚生省のやった誤りは認める、しかしその誤りの程度も、私は先ほど坂口厚生大臣から聞いておりますと、御迷惑をかけましたという程度の誤りじゃないのですね、憲法違反を明確に問われている。局長の答弁なんか、もう許せないですよ。本当にあの判決の内容をしっかり受けとめたとは思えない、こういう答弁なんですね。
こういう判決が出ても、この除斥期間の問題があっても、もう時効だから判決は本来法律的にいうと受け入れられないんだなんて、こういう言いわけをしている態度で、本当に政府というのは真摯な態度で謝罪ができるのか。口先の謝罪はできますよ、しかし、本気でこの判決を謙虚に受け入れる、こういう姿勢がなかったら、今まで本当に苦労された元患者さんたちや家族にまともな謝罪ができるのかと私は疑問を感じざるを得ません。
政府の声明は撤回をすべきだと考えますけれども、大臣、いかがでしょうか。
○坂口国務大臣 先ほどから何度も申し上げているとおりでございます。我々は我々としての立場を明らかにしながら、しかしそのことよりも、今まで患者の皆さんや元患者の皆さん方に大変な御苦痛をおかけした、その過去のことに対しておわびを申し上げなければならない、あるいはまた反省をしなければならないということの方が優先させるべきであるということで、今回決定をしたわけでございます。
したがいまして、今もちろん政府の方も大いに反省をしなければなりませんが、しかし各政党も今日まで大々的にこのことを取り上げてきたところはそんなにないわけでありまして、どの政党もやはり反省すべきところは反省をしていかなきゃならぬことだと私は思っております。
○瀬古委員 このらい予防法の問題については、制定時期から私たちは一貫して反対をしてきております。
今大臣が言われたように、今回の判決で、大変苦痛をかけたのは反省しなきゃならない、しかし法律的には問題があるんだ、この判決の内容にはいろいろ問題があるんだと言っていること自身が今元患者さんたちに新たな苦痛をかけているということについて、私はしっかり思いをいたしてもらいたいと思います。
長野県の田中康夫知事は、我が党の長野県議団の要請にこたえて、小泉総理大臣に対して「ハンセン病問題の全面解決に向けて」という要望書を提出しておられます。
その中で知事は、ハンセン病の患者、元患者の基本的人権が侵害され続けた点に関し、「かくも長い期間にわたり、このような筆舌に尽くしがたき状態がなぜ放置されたのか。これらを徹底調査し、国民に詳らかにする義務があると考えます。 また、今回の控訴断念及びわずか一回の首相との面会により、そのすべての責任が免罪されるわけでは決してありません。」このように述べています。かくも長い期間、人権侵害がされ続けてきたのはなぜか。
私は、国会議員になってから五年半ですけれども、このハンセン病の問題を知って、一貫して厚生省に対してハンセン病の人権侵害の資料を出してもらいたいということを要求し続けてまいりました。しかし、いまだに、今まで厚生省からまともに資料が出されたことはほとんどありませんでした。もう二度とこういう悲劇を許さないという立場から、徹底した情報公開と真相究明が私は必要だと思います。
先ほどの局長答弁を聞いていても、また残念ながら今の大臣の答弁を聞いておりましても、はっきりと、厚生省はこの九十年の歴史を検証する能力があるのか、率直に疑問を感じざるを得ません。原告や関係者も含めた調査機関を設置して、真相究明、再発防止の取り組みをするべきだと思いますけれども、いかがでしょうか。
○坂口国務大臣 能力があるかどうかは、事実を見てからおっしゃってください。
○瀬古委員 やるんですかということです。こういう調査機関、実施機関をきちんと設けていくという御決意ですか。その点をお聞かせください。
○坂口国務大臣 これから患者の皆さん方、元患者の皆さん方とのお話し合いをする場を設けていきます。そして、そのお話し合いを進めていく限り、やはり厚生労働省といたしましてもその体制をつくらなければなりません。やはり、我々は我々の体制をつくりながら、そして今までのハンセン病に対する検証をする体制をつくりながら、そしてまた皆さん方ともお話し合いを続けていく、当然それはそういうことであろうと思っております。
○瀬古委員 その検証する場合にでも、やはり真摯な態度というものがなければ、元患者さん、原告の皆さんとの対話そのものも成り立たないというふうに思います。
今回の裁判では、国が国家賠償を行う期間は少なくともという立場で、厚生省は一九六〇年以降から、国会の責任は一九六五年以降となっております。しかし、判決文を読みますと、一九六〇年以前は問題なしとしていないということは明白でございます。行政府と立法府の責任を明確にする上で、九十年余にわたる隔離政策、人権侵害の真相を明らかにして、犠牲になり声も上げることのないまま悲痛の人生を送った人々に名誉回復措置をとるのは私は当然だと思うんです。
ここでは、重監房、特別病室がありました草津の栗生楽泉園の問題について質問いたします。
全国で、療養所の秩序維持のために、反抗的だと見られた者は草津送りになって、この重監房にほうり込まれたわけでございます。園長が懲戒権を持っており、冬は零下二十度近くにもなるというのに薄い布団一つに、そして日も差さない真っ暗な監房に入れられた人々は、凍死、餓死、精神異常を来して亡くなっていきました。刑務所と違って刑期もない、いつ出られるかわからない、罪状もはっきりしないまま殺されていったわけでございます。
判決文を読みますと、「監禁された九二人の監禁期間は、平均約四〇日で、施行規則で定められた二か月の期間を超えて監禁されていた者も多く、監禁期間は最長で一年半にも及んでいた。」「九二人のうち一四人が監禁中又は出室当日に死亡しており、監禁と死亡との間に密接な関係があると厚生省が認めた者は計一六人に上る。」「懲戒検束規定の運用が極めて恣意的に行われていたことがうかがわれる。」このように書かれております。一年半もよく生き延びたものだと私は思いました。
草津送りは生きて出られないことを意味して、多くの入所者を沈黙させるために使われたんですね。強制労働に駆り立てられた患者が、長靴に穴があいて水が入る、知覚神経が麻痺しているだけに、傷口が水にさらされて気がつかない間に化膿してしまう、何とか長靴を取りかえてほしいと言っただけで草津送りになって亡くなりました。抗議をした妻も一緒にそこにほうり込まれたんです。お母さんに会いたいと療養所を何度も逃げ出した子供でさえもほうり込んだんですね。
私は、きょう、草津の栗生楽泉園の重監房跡に落ちていたコンクリートのかけらを持ってまいりました。もう監房は今はありませんけれども、これは、私たち共産党がたまたまそこに行ったときに初めてこういう監房があるということを知って、そして患者さんたちと一緒に闘ってこの監房をなくさせたんですね。
そういう歴史がありますけれども、叫び声も届かない真っ暗な中で亡くなっていったこういう人々に厚生労働大臣としてはどのような責任がとれるのか、どのような名誉回復措置を考えておられるんでしょうか。
○桝屋副大臣 いわゆる草津事件についてのお尋ねでございます。私の方からお答えを申し上げたいと思います。
今、委員の方から栗生楽泉園の状況のお話がございました。昭和二十二年の事件でございまして、今お話がありましたように、特別病室への監禁により亡くなられた方も出てきたということで、当時の国会議員団による現地調査も行われ、それから国会でも取り上げられたというふうに伺っております。こうした内容は判決文にも出ておりまして、私も全文見させていただきました。そして、関係者も処分をされたということでございます。
これからというお話をいただきましたが、ハンセン病資料館を一層充実するということにしております。過去の実情を展示する中で、これらの方々の名誉について十分考慮した対応を図っていきたい。患者の皆さん、元患者の皆さん、それから団体の皆さんとも十分協議をしながら検討を進めていきたいと思っております。
○瀬古委員 賠償、補償の問題について伺います。
今回の判決による賠償では、沖縄の療養所に入所していた人については、一九七二年の本土復帰前の被害を賠償対象とはせず、復帰後のみといたしました。判決は、復帰前の沖縄は「隔離規定の運用状況や退所許可の実情等については、証拠上必ずしも明らかではなく、」と指摘して、本土並みを認めませんでした。沖縄では退所規定や在宅医療制度があるという理由で、立証不十分として賠償額に差をつけたわけでございます。
医療も本土と比べまして大変貧弱で、療養所で十分医療が確保できないとして無理やりに退所規定をつくって患者さんを出していったという経過もあるわけですね。また、退所者も、狭い地域で、らい病は恐ろしい病気だという政府の宣伝の中で、本当に厳しい偏見と差別で苦しみました。沖縄では、ハンセン病に対する国の誤った政策に加えて、米軍占領によるさらに一層の苦難が加わっているわけですね。当然賠償で沖縄に差をつけるべきでないと考えますが、その点いかがでしょうか。
○桝屋副大臣 沖縄の問題でございますが、ハンセン病患者、元患者に対する補償に関する立法措置については、現在議員間で検討が行われているというふうに理解をしております。沖縄の問題につきましては、大臣もこの委員会でも何度も状況についてはお話をされておりますけれども、今委員から御指摘をいただいた点も含めて、今後の立法措置を踏まえて対応していきたいというふうに考えているところでございます。
○瀬古委員 ぜひ、この問題については積極的に御検討いただきたいと思います。
恒久対策について伺います。
家族を持つことさえ許されなかった元患者さんの今後の生活をどう保障していくか。国立では十三園、私立で二園の入所者の給付、この維持と充実を行い、退所者及び社会復帰希望者に新たな年金の支給、住宅の確保、介護などの日常生活、社会生活のための支援を行うべきだと考えますが、その点いかがでしょうか。
○桝屋副大臣 入所者の処遇につきましては、これも話が出ておりますが、入所者給与金として月約八万四千円支給するとともに、必要な医療や福祉措置を講じるなどの処遇を行っているところでございます。
それから、ハンセン病入所者の社会復帰を促進するため、社会復帰準備支援事業として、退所者に対しまして最高二百五十万円を支給しているところでございます。
今後さらに、患者、元患者の方々の名誉回復及び福祉増進のため、五月二十五日に公表されました内閣総理大臣談話を踏まえまして、新たに退所者給与金を創設することとしているところでございます。その他の具体的な援助施策につきましては、大臣が何度も申し上げておりますが、今後、患者、元患者の方々とも協議をしつつ検討していきたいというふうに考えております。
○瀬古委員 療養所での生活を希望する元患者さん、そこが自分のふるさとになってしまった患者さん、元患者さんたちに対しては、ここでずっと死ぬまで住み続けたいという方については、療養所の統廃合を行わないで、終生自分のふるさとともいうべき園での生活を保障すべきだと考えますが、その点いかがでしょうか。
○坂口国務大臣 その点につきましては、きょう局長の方からも答弁があったところでございますが、今まで御苦労をおかけした皆さん方におこたえをする意味からいきましても、現在あります寮につきましては、御希望があります限り、皆さん方が生涯そこで生活を送っていただけるように最大限配慮をしていきたいと考えております。
○瀬古委員 入所者にそこでずっと生活を保障するといいましても、例えば医療の保障、そういうものが実際にはなければほかのところへ移らざるを得ないという状態も出てまいります。そういう点では、今までの延長線上の医療ではやれないという問題もございます。長期間一定の隔離された生活の方がほかの病院に行くなんというのは大変重い負担になってまいります。そういう意味では、できるだけ今の園で、きちんと医師などの医療スタッフを充実する、医療機械も充実して、その療養所で生活、医療保障ができるようにするべきだと思いますが、その点いかがでしょうか。
○桝屋副大臣 今も大臣からお話がありましたとおりであります。国立ハンセン病療養所におきまして、医療の確保、充実を図るため、病棟それから肢体不自由者棟の整備及び医療機器の整備を行うとともに、看護婦、介護員についても計画的に増員を図ってきたところでございます。
今後とも、入所者の方々の状況を踏まえつつ、療養所における医療の推進に努めてまいりたい、このように考えております。
○瀬古委員 介護の問題では、先ほども出ておりますように、不自由者棟の問題は大変深刻だと思うんですね。
平均年齢が七十七・六歳。不自由者棟というのは自分の住宅と同じなんです。先ほど、三交代の問題も、充実している病棟ともいろいろ連携しながらというお話があったんですが、実は不自由者棟というのは在宅と同じ扱いですから、夜中にいろいろなお世話が必要だという方はみんな病棟に移ってくださいというシステムになっているんですね。療養所の中の三交代のある病棟に移されています。しかし、自分の家で介護を受けたいという要求が当然あるわけで、今、介護保険制度もそういう選択ができるわけですね。
そういう意味では、不自由者棟で自分で生活をやりたいんだという方々に対しては、介護や看護の体制、三交代の看護体制もやって、そこで住み続けられるということは当然考えなきゃならないと思うんです。その点いかがでしょうか。
○桝屋副大臣 いわゆる不自由者棟の介護の体制でのお話でございます。特に、先ほども出ておりますが、夜間における対応の御指摘だろうと思います。
先ほど局長の方から、病棟との関係も含めて医療の必要性に応じた適切な看護、介護のあり方を検討していきたい、このようにお答えを申し上げたとおりでありますが、今委員の方からも、病棟それから不自由者棟の実態について、現地を見られた上でのお話だろうと思います。
先ほど私がお答えしましたように、順次増員はしてきている、計画を進めてきているところであります。二千人の方々が不自由者棟におられる、それに対して、看護婦さんが百七十人、介護員が約千百人配置されているということでありまして、夜間は今、当面は当直ということでありますが、今委員からのお話がありましたように、まさに私は、病棟との関係も含めて、これから将来の療養所全体の問題としてどういう体制が一番いいのか、これも患者の皆さんとしっかり協議をさせていただこう、このように思っております。
○瀬古委員 ぜひ、今後の生活、医療保障、介護の保障のために、元患者さん、原告の皆さんともよく相談していただいて改善していただきたいと思います。
政府が控訴断念をした瞬間、長島愛生園の原告の千葉龍夫さんは、これであすから人間として生きていけると叫びました。私も泣きました。しかし、千葉さんの涙はもっと深いものでした。三十数年間音信不通で、生きていれば八十歳ぐらいになる母親をこれから捜すと言うんですね。納骨堂には二万三千七百のふるさとに帰れない遺骨が眠っております。
判決文は、この隔離政策が、戦前戦後、二度にわたる、らい患者を山間僻地に至るまで探し出して収容するという全国で展開された無らい県運動、これを特記しております。らいのない、らいをなくす、こういう無らい県運動の徹底した実施は、多くの国民に対して、ハンセン病が恐ろしい伝染病である、ハンセン病患者が地域社会に脅威をもたらす危険な存在であるという認識を深く根づかせたと判決にございます。
私、ここに、愛知県衛生部が持ってきました「癩の話」、こういうパンフレットを持ってまいりました。ここには、愛知県かららい病を根絶することがいかに大切であるかとか、また療養所というところがどんなにすばらしい楽天地であるかというところを、入所者の経験、体験がここに入っていて、そういう宣伝をやって回ったわけですね。あの療養所がどんなに地獄であるかということは今まで何度も取り上げられているとおりでございます。そういう点では、国の政策がその発端、原因とはいえ、直接実行に当たった都道府県の責任も問われるわけでございます。
この運動で沈殿した偏見を取り除くためには、やはり各県での取り組み、県民運動の規模といったような取り組みが必要になってきます。昭和十五年に政府は、無らい県運動の徹底、こういう指示を各都道府県に出していますけれども、この誤りはきちんと反省、謝罪して、それぞれの自治体でも、患者や元患者さんや遺骨がふるさとに帰れるよう、家族のお墓に温かく迎えていただけるような、そういう要請を自治体にもすべきだと思います。また、そのためのソーシャルワーカーだとか相談員の人の配置、予算、こういうものも必要になってくると思うのですが、その点いかがでしょうか。
○桝屋副大臣 最初に、無らい県運動のお話がございました。委員お話しのように、昭和五年から十五年を中心として各県が実施をしていたというふうに承知をしております。
いずれにしても、今委員から御指摘がありましたように、ハンセン病療養所において多くの苦しみと無念の中で亡くなられた方々に哀悼の念をささげたいと考えております。その御遺骨が家族の墓に入ることができるように、都道府県とともに検討を進めていきたいというふうに考えております。
○瀬古委員 韓国にはハンセン病の療養所がございます。もともとここでも日本と同じようにキリスト教らい療養所として発足していましたけれども、植民地として侵略して以降、院長には日本人医師が当たり、終戦直前には六千人の方が小鹿島という療養所に収容されておりました。ここでも強制隔離、強制労働、断種が行われておりました。ここは日本よりももっとすさまじくて、例えば、まきが必要、燃料のために小枝を切っただけで罰則として断種が行われる、こういうこともございました。事実を調査した上、謝罪と補償を検討すべきであると思いますけれども、その点いかがでしょうか。
○坂口国務大臣 戦前の韓国におけるハンセン病対策につきましては、現在その具体的内容を十分に把握しておりません。今後、ハンセン病問題の歴史を検証していく中で、御指摘の点につきましても取り扱いを検討してまいりたいと思います。
○瀬古委員 今回の判決では、国会の附帯決議による不作為が問題になりました。判決に従い、国会が謝罪して決議をすることは当然でございますけれども、当該委員会である本委員会でも、判決を受け入れて、謝罪の決議をぜひ検討していただきたいと思います。また、本委員会でも、今後系統的にこのハンセン病問題を調査審議できるよう御検討いただくようにぜひお願いいたしまして、質問を終わります。
委員長、よろしくお願いいたします。
○鈴木委員長 次に、中川智子君。
○中川(智)委員 社会民主党・市民連合の中川智子です。
五月二十三日の控訴断念の報は、私は自分の耳を疑うほどうれしいものでした。原告の勇気ある闘い、そして坂口大臣の必死の御尽力、そのことに対して、心からまずお礼を申し上げたいと思います。
全療協の事務局長の神さんが、ついせんだってこのようにお話ししてくださいました。五月二十四日の朝の目覚めが、今までの人生の中で、初めて本当に心穏やかに安らかに朝目覚めることができた、人間として初めてこんなにすがすがしい朝を迎えることができたし、その日の喜びを忘れないというふうにおっしゃっていました。
判決はとても画期的でしたけれども、やはり政府が控訴をしないということによって初めて安らぎがもたらされたという元患者の方々の言葉というのは、私どもも二度と立法の不作為を断罪されるような法律をこの場でつくってはいけない、それをみずからに戒めることになったと思います。
でも、一九〇七年から九十年間、どうしてこのような、基本的人権、いわゆる憲法違反とされた法律が存在し続けてきたのかということを私も本当に思うのです。社会労働委員会、厚生委員会なんかでの審議の記録というものもたくさんございますし、附帯決議さえも付されて、見直すと言いながら四十年、そしてまた請願が採択されて、なおかつそれに手が入らなかったということなんですが、私は、ちょっと素直に、本当にこういう法律が九十年間放置されてきたということについての大臣の思いを少しお聞かせ願いたいと思うのです。
なぜだったのか、どのあたりにやはり大臣は問題があったとお思いか。短いお言葉で結構ですが、お願いいたします。
○坂口国務大臣 先ほどから幾人かの皆さん方にもお答えをしているところでございますが、やはり、昭和二十八年、新法と言われましたらい予防法ができましたときに、既にそのときに、これをつくるべきかどうかというので大変な議論があった。しかし、その中でこの新法ができ上がってしまった。医療の面では、その当時もうプロミンが皆さん方の治療に使われておりまして、本当にこれが特効薬というふうに言えたかどうかはわかりませんけれども、今までの薬のことを思えば、非常に大きな効果を発揮していたことはもう間違いがございません。ですから、その時点でもう隔離政策は必要がないというふうにおっしゃった方もあったわけでございますから、私はかなりな効果を発揮していたのであろうというふうに思います。
その後三十年代に入りまして、世界の方向は隔離政策から開放政策へ、社会にそれぞれの患者さんを受け入れて、そして治療をする、むしろその方が治療効果も上がるといったような研究結果が出たりもしてまいりました。そうしたことが日本の医療の中で、あるいは医療行政の中で、なぜ受け入れられなかったか、あるいはまた、そのことが政治の場でなぜ議論をされなかったかということがあるわけでございます。
これは私ももう少し検証をしないと、なぜその辺のところがなおざりにされたのか、それとも、今までのハンセン病に対する差別、偏見というものから抜け切ることができなかったのか、その辺のところをもう少し私も検証してみないと、はっきりとしたお答えをすることができ得ませんけれども、しかし、全体の流れとして、三十年代、そういう方向にあったことは事実だと思います。
そして三十九年、先ほど都築先生からもお話がございましたが、国会におきましてもそういう御意見が出された。もうこれはやめるべきだという御意見が出された。意見が出されたにもかかわらず、それが現実のものに大きく展開しなかった。
それらのことも含めて、我々は個々に反省をし、そして、なぜそうだったのかということをよく検証しながら、二度と再びこうしたことが繰り返されないように、他の疾病に対しても同じような過ちを犯さないようにこれからしていかなければならない、そんなふうに今思っております。
○中川(智)委員 まさに今大臣がおっしゃったように、もう二度と繰り返してはいけない、そのことを肝に銘じて私どもも取り組まなければいけないと思いますが、検証する作業がとても大切になってまいります。やみに葬らないために、元患者の人たちの人生を取り返すためには、これを繰り返さない基礎をつくることだと思います。
私は、具体的に、やはり専門家から成る調査委員会を、厚生労働大臣のもとでもいいですし、政府、総理のもとでもいいですが、できれば坂口大臣のもとで半年なり一年ぐらいをかけて――私も、その控訴断念の夜は、原告の方たちは本当にお疲れでしたので、祝杯はいろいろな方々と上げたわけですが、その弁護団がこの間、最初、大分の徳田弁護士に島比呂志さんがお手紙を出して、そして、国の世話になっていながら国を訴えるなんてと、物すごくつらい思いの勇気ある十三人の原告団から始まりました。やはり、何十回も園に足を運び、この裁判を闘ってきた弁護団もぜひとも何人かその中に入れ、そして専門家をきっちり入れた調査委員会をつくっていただきたい。これに対して、大臣、いかがでしょうか。
○坂口国務大臣 どういう形がいいのか、これから前向きな話と過去のことと両方やっていかなければならないわけでございますが、やり方につきまして先生の御意見もお聞かせをいただきましたので、そのこともよく拝聴しながら、これからのことはまた一生懸命考えていきたいと思っております。
○中川(智)委員 そこではやはり元患者の方々の意見というのは基本でございますし、ある資料はすべてその中に出していって検証するということをぜひともお願いしたいと思います。
これは重複になりますが、先ほどの瀬古さんの質問の中で、いわゆる都道府県、自治体も同じように今回の判決を重く受けとめた上で、きっちりとした謝罪をし、宣言なりを出しまして、ふるさとに皆さんがお帰りになられるように、そしてまた、遺骨がふるさとのお墓に眠れるような事業がとても必要だと思っております。
元患者の方々は、人間関係をつくってくることができませんでした。園の中だけの世界で生きることを強制されてきましたので、私どものようにいろいろなところに友達ができるということが、することができませんでした。都道府県への、通達となるか何かわかりませんが、このような事業へのバックアップをぜひとも国の方にお願いしたい。これは要望として出させていただきます。
それと、大臣、今週の金曜日ですか、御予定では原告そして弁護団の方とお会いになって、そこで大臣の思いをきっちりとお話しになり、今後のこともお話し合いがされるというふうに伺っております。
全国、国立だけでも十三療養所があります。とても大臣御多忙の中、大変なことかもわかりませんが、私はぜひとも園を訪れていただきたい。
ここで私、提案で、これはぱっと今ひらめいたわけですけれども、大臣は今の大臣なもので、これは歴史に残る坂口大臣だと思うのですが、これは過去、立法の不作為ですから、小泉さんも厚生大臣でした、橋本さんも丹羽さんも津島さんも、いろいろな元厚生大臣に呼びかけられて、皆さんでやはりいらっしゃる。そうやって、すべて過去にさかのぼっての責任、大臣だけだと途中で倒れられたらまたその後大変ですので、そのようなこともなさってはいかがかなと思います。これは私のアイデアとして坂口大臣にぜひとも御検討願いたい。
そして、委員長。この委員会として、療養所に赴き、患者の方々と話をし、謝罪をし、そして納骨堂に手を合わせる、これを委員会としてすべきだと私は思います。理事会で検討していただきたいのですが、いかがでしょうか。
○鈴木委員長 理事会で検討いたします。
○中川(智)委員 しっかり検討して実現させていくために、私も、オブザーバーでございますが、一生懸命その中で頑張りたいと思いますので、委員各位の御協力をよろしくお願い申し上げます。
そして、現在与党の中で立法作業が進んでいるやに伺っております。でも、この間るる質問の中でもございましたように、これは立法府として、与野党を超えて一人一人の国会議員が責任がある問題です。与党で早く迅速につくるということも今言われておりますし、大事かもしれませんが、これは中身が大事です。
この控訴せずということの後、あのようなばかみたいな政府声明が出されて、非常にがっかりしておりますが、それを払拭するには、その議員立法の中身です。それによって初めて元患者の人々が人間回復ができる。
この九十年間、辛酸な、本当につらいつらい人生にやっと光が当たるのは、今後の恒久対策にかかっております。この議員立法がどれほど、私たちが禍根を残さない、いい法律、あのらい予防法をつくった私たちの罪はそれで決してなくなりませんが、今回つくるその立法は、患者の、元患者の方々に喜ばれるものでなければいけませんし、患者のみならず、家族、親戚、その方々の苦しい日本国内におけるこの差別、偏見をなくし、新たな一歩をつくるための大事な法律です。これに野党もぜひとも一緒に参加をさせていただきたい。大臣、いかがでしょうか。
○坂口国務大臣 現在国会の方で進められておりますのは、いわゆる補償の部分だけだと思います。名誉回復の問題でございますとか、あるいは福祉の問題でございますとか、さまざまな啓発活動でございますとか、そうしたことは、これから患者の皆さん、元患者の皆さん方とのお話し合いの中で、どういうふうにしていくかは進めていきたいというふうに思っております。補償の部分のみについて国会の方でお願いをするということに多分なるんだろうというふうに今思っておるところでございます。
○中川(智)委員 今の立法作業はお金の問題というふうなことですが、私はやはり、今回いろいろ裁判所で原告の方々が陳述されたのは、これは上田正幸さんの陳述ですが、「私は請求しているお金がほしいのではありません。私が自分について願っていることは、人間らしい生活を取り戻したいということです。あと何年私が生きられるか分かりませんが、私が今もっとも望んでいることは、幼い頃に聞いた故郷の川の流れの音が聞こえる場所に、小さな家を建てて住み、毎日父母の墓参りに行くことです。そういう暮らしをしたいのです。それを実現させるために、私は提訴しました。どうか一日も早く、私のこの願いを叶えていただきたいのです。」そのような陳述が裁判所で多くの原告の方々から訴えられました。
恒久対策、福祉、名誉回復に関しては、私はこの国会で特別委員会をつくるべきだと思っております。でも、今その特別委員会設置に関しては与野党の合意を見ておりません。もしも万々が一特別委員会ができなければ、私はこの厚生労働委員会のもとに小委員会をつくるべきだと思いますので、大臣の御決意のほどを伺いたいと思います。――済みません、委員長です、間違えました。
委員長、再び委員長にお願いですが、万々が一特別委員会ができなければ、小委員会の設置についても理事会での御協議をお願いいたします。
○鈴木委員長 状況を見まして、理事会で検討していただきます。
○中川(智)委員 大臣、そういうときにもまた応援していただけますか、お願いします。
○坂口国務大臣 委員会でお決めいただきますことにつきましては、いつも一生懸命にやらせていただきたいと思っております。
○中川(智)委員 最後に、篠崎局長。急な問いで申しわけないんですが、局長は何度療養所に足を運び、何人の元患者の方々から直接お話を聞いたことがございますか、お願いいたします。
○篠崎政府参考人 私は、県の課長をいたしておりましたときには、その県の方が入所されておられる療養所をほとんど全国回りました。また、本省におりましたときも、その職責上、多磨全生園には春、夏そして秋、それからまたそれ以外のときにもよく訪問をさせていただいておりまして、皆様方ともよく今でもじっこんにおつき合いをさせていただいておるところでございます。
○中川(智)委員 篠崎局長、担当の健康局は、この一週間で八時間ほどしか職員の人が眠っていない。一日じゃなくて、一週間で八時間。くれぐれも倒れないで、本当にいい恒久対策に向けて局長もお力をかしてください。よろしくお願いします。
どうもありがとうございました。
○鈴木委員長 次に、阿部知子君。
○阿部委員 社会民主党・市民連合の阿部知子です。
きょう、半日にわたりまして、ハンセン病の特別審議の場に私も参加いたしまして、やはり問題が余りにも大きく、そして私どもの到達地点が余りにも低いということを再確認いたしております。
特に、本日、坂口厚生労働大臣は、いつもこの間そうでございましたが、非常に前向きな姿勢でございますが、厚生省の各担当の方々からの御答弁と申しますのは、患者さんにしてみれば、厚生省とはかかる役所であるのかという思いをまた一層深めたと思います。
私は、このハンセン病問題で特に厚生省が行政的になすべき反省点並びに点検点は、大きく二つあると思います。一点目は、まずハンセン病が隔離政策という政策の中で行われた伝染病への取り扱いであったこと。いま一つ大きいのは、根絶政策をもって行われた対策であったことの二点だと思います。
そして、前半の隔離政策について、篠崎局長にお伺いいたします。
私は、きょうの御答弁を承りまして、到底納得できるものではございません。特に篠崎局長の答弁は、治る見込みがついたときに隔離政策を解くというものでございます。では、果たして、治る見込みのない者あるいは治る見込みが完全につかない者は隔離政策せねばならないのか。このことは物事の考え方で非常に大きいものでございます。病を抱えながらも、ある程度の伝染性が他に広く害を及ぼすものでなく、またおのれの健康上も管理できれば、当然それは在野にあって、普通に生活することの中で治療もなすべきことでございます。
実は、坂口厚生労働大臣の御指摘の中にも、既に昭和二十五年の時点で、当時の小川結核予防課長は、新らい予防法の成立にあって反対の見解を述べられました。それは、在野にあって隔離せず治療した方がよろしいと。
すべての我が国の感染症対策が、治るまでは隔離するという考え方に基づいてなされたことが大きな過ちでもございます。そういう観点に立って篠崎局長が現時点で長きにわたる厚生省の行政を点検しない限り、幾つものチャンスがあったにもかかわらず、一九九六年までこの隔離という法律を実施されてきたことの厚生省としての責任は問われません。
まして、一九八一年をもって、多剤併用によって完治の見込みがついた時点をもって方針を変えたというのは、もってのほかのことでございます。完治の見込みは隔離の必要性とはパラレル、平行。イコールではございません。
この点について、特に厚生省行政のお立場から見解を一言お述べいただきます。
○篠崎政府参考人 先ほど申し上げましたのは、らいの予防法につきましては、その時々の医学的知見に基づきまして弾力的にその運用を図ってきたということを申し上げたわけでございます。
また、大臣も申されましたように、ハンセン病治療医学の観点からいたしますと、昭和二十年代のプロミンは静脈注射でございますし、毎日打つような静脈注射でございました。それから、三十年代になりまして、DDSというもののほかのサルファ剤で経口投与、口から飲んで治療をするというようになりました。また、四十年代には、抗生剤、それまでのサルファ剤は、いわゆる静菌作用と申しますので、先生も御承知だと思いますが、そういうようなことから、時代時代において、医学的な知見に基づきまして弾力的な運用を図ってきたということを申し上げたわけでございます。
○阿部委員 時間がないので、途中で済みません。医学的な知見、すなわち治ることイコール隔離政策ではないということについての指摘をいたしました。的を射ぬ答弁で時間を費やすことはやめていただきます。
二点目、いわゆる根絶政策、優生保護法、らい、三条三項の問題でございます。
これも前回私が御質問させていただきましたが、実は、このらいを理由とした優生保護法の適用というのは、既に昭和二十七年段階のWHO勧告においても、世界の国々では、子供たちへの感染を予防するために、生まれた子供たちを別途に保育するシステムを推奨しているにもかかわらず、我が国は、生まれた子供にうつるということ、そして、それ以前に体質的にらいが遺伝するかもしれないという考え方をもちまして、むしろ根絶政策をとりました。
きょう御答弁をいただく時間はございませんが、隔離政策並びに根絶政策ということが我が国厚生行政の中心になったということを、深く反省のもとにしていただきたいと思います。
そして、最後に一点だけ私はきょう坂口厚生労働大臣に、申しわけありませんが、この件と多少ずれますが、お願いいたします。
私は、きのう千鳥ケ淵の戦没者慰霊祭に行ってまいりました。そして、(写真を示す)ここにございますように、いわゆる六角堂という中に納骨されております柱が三十三万五千柱、ただし、この六角堂内に収容し切れずにあふれ出たお骨が六角堂の後ろにございました。どなたのお骨やらわからない。あるいは南方で御家族を亡くされた方たちがたくさん見えていて、なぜ六角堂の中でないのか、後ろなのか。後ろはやぶでございます。そこには桜の木があって、そのお骨の上で人々が花見をしている。そして、そのことを申し立てて、やっと一枚の看板が出ました。これが日本がこの戦争で名も知れずに亡くなっていった方たちを遇する方法であるのか。
申しわけございませんが、時間がないので、この事実を坂口厚生労働大臣が御存じかどうか。そして、今、靖国参拝問題で世の中は行くの行かないのやっておりますが、無名の名もなく亡くなった方たちに国がいかなる遇し方をするかはハンセン病問題でも同じでございますので、追ってまた次回、きょうは、厚生労働大臣がこの事実を御存じであるかどうか。あふれて後ろに納骨されておる。そこはお花も供えられなければ、人が踏むことすらある。そのことについての御認識ありや否やだけお願いいたします。
○坂口国務大臣 全く存じませんでした。直ちに調査いたします。
○阿部委員 どうもありがとうございました。
○鈴木委員長 この際、暫時休憩いたします。
午後零時二十三分休憩
――――◇―――――
午後三時二十二分開議
○鈴木委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
第百五十回国会、内閣提出、確定拠出年金法案を議題といたします。
この際、お諮りいたします。
本案審査のため、本日、政府参考人として金融庁総務企画局東京証券取引所監理官三國谷勝範君、財務省大臣官房審議官木村幸俊君、厚生労働省労働基準局長日比徹君及び年金局長辻哲夫君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○鈴木委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
○鈴木委員長 これより質疑に入ります。
質疑の申し出がありますので、順次これを許します。宮澤洋一君。
○宮澤(洋)委員 自由民主党の宮澤洋一でございます。
やっと確定拠出法案の審議に入れたのかなというのが率直な印象でございます。
ちょうど昨年の三月でございましたか、新聞を拝見して、確定拠出法案が国会に出された。私はまだ議員でなくて、選挙を目指して動き回っていたときでありましたけれども、小渕総理がまだお元気なとき、選挙も六月にあるとは思っていないときでございまして、当選してもこの審議にはとても加われないなと思っておりましたけれども、幸か不幸か、こうやって最初に質問をさせていただける。まさに、これから構造改革といった時代にしていかなければいけない、その中で、転職の自由といいますか職業選択の自由の幅を広げる等々、いろいろな問題に、この確定拠出法案、大事な法案であり、この法案の質疑ができることを議員として大変光栄だなと思っております。
大臣が少しおくれて来られるということで、総論といいますか、それは後回しにいたしまして、少し具体的なことについて質問をさせていただきます。
私は、この法案、いろいろ勉強をさせていただきまして、いろいろな点で、これからの時代に大変大事な法案だと思っております。四つほど大きな点があると思います。
一つは、転職をいろいろこれから考えていかなければいけない。大学を出て、学校を出て、一つの企業に入って、一生そこで終わるという時代はもう終わったような気がしております。そういう時代に、まさにポータビリティーといいますか、自分の年金を持って歩けるというために、ポータブルという点、大変大事だと思っております。
また、二つ目としましては、中小企業に使いやすい年金制度である。やはり、確定給付ということになりますと二の足を踏んでいる中小企業がたくさんあるという中で、中小企業の従業員も三階建ての年金を活用できるという点で大変すばらしい制度だろうと思っております。
また、三点目といたしましては、六十歳定年という企業が圧倒的に多い中で、一方で年金の受給開始が六十五歳、この五年間どうするんだというのは、まさに私の仲間たち、同僚たちも、そういう心配をしているのはたくさんおります。そういう中で、つなぎの年金としての意味があるということで大変意義があると思っております。
またさらに、四点目としましては、国民の資産運用の多様化、こういう金融が、大手の銀行ですらいつつぶれるかわからないという時代に入った今、預金に余りにもウエートがかかり過ぎている国民の資産運用、この資産運用の多様化の契機になるのではないかと大変大きな期待をしております。
今四つほど申し上げましたけれども、それぞれについて少し質問をさせていただきます。
まず、ポータブル、自分で年金を持っていけるという点ですけれども、これはまさに、各加入者の持ち分として年金が明確に区分され、また自分の責任で運用するということでポータブルということになるわけでございます。まず厚生労働省に伺いたいのですけれども、そういったポータビリティーという点から、既存の今ある年金制度の問題点というのを少しお話しいただきたいと思います。
○辻政府参考人 まず、既存の企業年金制度の問題点について申し上げます。
既存の企業年金制度は、御審査いただきました確定給付型の企業年金でございますが、もともと、確定給付型の企業年金の導入目的は、企業側から見ますと、長期勤務の奨励という面が強くなっております。このため、短期の勤続で転職する者にとりましては、長期勤続が有利となる給付設計を採用している企業がほとんど、相当加入期間の長いものを前提にしているというものでございますので、短期間での転職では受給権が発生しなかったり、あるいは給付額が不利になったりしております。
また、個々の企業における給付の内容は設計がさまざまでございますので、確定給付型同士でのポータビリティーの確保、非常に設計がさまざまなものを数珠つなぎにすることは難しいということで、転職の際に個人単位で持ち歩くこともできない、こういった問題がございます。
○宮澤(洋)委員 まさに、そういった点で、今回の新しい法律は大変大事だと思っております。ただ、少し残念なことに、幾つか抜けているところがあるといいますか、確定拠出の年金に参加できない部分があります。
例えば、今、公務員、なかなか頭がかたいじゃないか、少し民間の人を公務員に採用したらいいじゃないかという意見がたくさんございますけれども、残念なことに公務員が対象外になっているという点、この点、どういう理由で今回外されているか、教えていただきたいと思います。
○辻政府参考人 公務員が加入できない理由でございますが、その前提として、この確定拠出型年金につきましては、労使の合意によって従業員が加入して事業主が拠出するという企業型年金と、それから厚生年金基金、適格退職年金等の対象となっていない従業員や自営業者などが個人で加入する個人型年金、このいずれも入れないのかということを検討いたしました。
まず、企業型につきましては、公務員制度の一環となるということで、公務員制度としては、これはやはり民間準拠ということで、民間企業における企業型年金の普及の程度を見きわめた上で検討することが必要だという結論になりました。また、では個人型年金に入れないかということでございますけれども、これはいわば事業主からの支援が期待できない従業員の加入の道を開くということですので、公務員は既に年金制度の三階部分は共済年金で持っているではないか、こういったことで、それぞれの形につきまして、現時点で加入できないという制度にさせていただきました。
○宮澤(洋)委員 今、企業型については、民間準拠ということで、民間の様子を見きわめてというお話がありました。私は、民間も退職金の制度というのはこれでかなり変わってくるということだと思いますので、一緒にやれとは申し上げませんけれども、やはり民間の状況を見ながら、公務員の退職金についても少し検討をしていただきたいと思っております。
また一方で、民間の企業の従業員でも確定拠出に参加できない方がいる、確定給付企業年金のみを行っている企業の従業員は確定拠出に入れないということでありますけれども、これは、何でだめなんでしょうか。
○辻政府参考人 まず、もともとの趣旨から申し上げますと、個人型年金の従業員本人の拠出は、確定給付型の企業年金、まず三階として既に今まであったもの、それから今回導入する確定拠出年金の企業型、事業主が拠出してくださる分、これをいずれもしてくれないというときに、いわば、その従業員にみずからの拠出を認めなければ三階部分が持てないじゃないか、いわゆる厚生年金の報酬比例の上の部分は何もないじゃないかということで、事業主の支援が一切ないので、公平の観点から、いわば加入者個人の拠出を事業主の拠出とみなして特例的に加入の道を開いたというものでございます。
したがいまして、このような、事業主が何ら支援をしないという場合のみに認めておるということですので、これ以外の場合はなかなか認められなかった、こんなことでございます。
○宮澤(洋)委員 恐らく、何もしてくれない企業の従業員に、一万五千円でしたか、認められているというのは、主税局、大蔵省としては、私もいた立場でいえば、かなり大きな決断をされたのだろうと思うのです。サラリーマンに個別の控除を認めるという点で、主税局の論理でいえば相当ひっかかった点だろうと思うのですけれども、そこまでおりるのだったら、別段、確定給付だけのところでも少し認めてもいいのかなという気が私はしないでもありません。
将来的に、ぜひ、いろいろな業種に自由に行ける、仕事を選べるという時代をつくるためにも、その対象を広げるということを我々も検討していかなければいけないし、厚生労働省としても検討していただきたいなと思っております。
二番目に、中小企業も活用できる年金制度であるというところについて御質問をさせていただきます。
私も地元でいろいろな話を聞きますけれども、一般に中小企業につきましては、その退職金も大したことないし、ましてや企業年金というのは備わっていないところが多いという話をよく聞きますけれども、その現状について教えていただきたいと思います。
○日比政府参考人 退職金制度の現状でございますが、退職一時金それから退職年金、その二つがあるわけでございますが、そのいずれかの退職金制度を有する企業の割合というものは、四年ごとの調査ですので平成九年というのが最新でございますが、企業全体で八八・九%。これを企業規模別に見ますと、千人以上企業では九九・五%でございますが、三十人から九十九人の企業では八五・七ということで、一三・八ポイントの差がございます。
また、金額面につきましては、男性の定年退職者で、勤続年数の長短を度外視して見ますと、従業員千人以上の企業で二千百七十四万円に対しまして、三十人から九十九人の企業では八百八十九万円。これはいずれも、一時金と年金を有する場合においては、年金は現価額で引き直したものの合計でございます。
そのような状況になっております。
○宮澤(洋)委員 年金あるなしというのは、わからないのでございますか。
○日比政府参考人 退職年金制度が、これは併用の場合と退職年金制度のみの場合、両方合わせておりますが、企業全体で平成九年五二・五%。これを千人以上で見ますと九〇・四%、同じく三十人から九十九人規模で見ますと四三・九%となっておりまして、何回かの調査の中で次第に、併用型あるいは単独を含めまして、何らかの形で年金制度がある企業がふえつつあるところでございます。
○宮澤(洋)委員 今の数字はたしか三十人から九十九人という数字ですから、二十九人以下という零細企業はもっと少ないと考えていいんだろうと思いますけれども、今のお話でも、退職金という制度がない中小企業が一五%ぐらいある。また、年金がない中小企業、百人以下の企業であれば半分以上の企業に企業年金制度がない。こういうことで、これからまさに老齢化の時代、中小企業の従業員というのは大変先が心配されているというのが正直なところだろうと思います。
その中で、こうした意味で、中小企業でもできるといいますか、逆に言いますと、確定給付ではなかなかできなかった中小企業、その中の従業員が確定拠出ということで三階建ての部分に加われるということは大変すばらしいことで、ともかく早く実現しなければいけないなと思っております。
一方で、今、確定給付について中小企業は、やろうと思っても、会社の実力また将来のことを考えるとなかなかできないということなわけですけれども、私もつらつら考えておりまして、三階建ての部分はたしか積立方式でやっている。積立方式の年金で確定給付というのがそもそも本当にあるのかなと。
例えば、私も実は参加しておりましたけれども、十五年ほど前に資金運用部に年金から預けている金利、それまでは五%を下回ることがないと書いてあった。それを改正して今のような時代になったわけですけれども、五%を下回ることがないといったような時代であれば、まさにある程度予定利回りといったものがわかって、確定給付ということも積立方式でもそれなりにできるかもしれませんが、今考えてみますと、やはり相当低い予定利回りを想定しなければならないし、最後には使用者側が補てんといいますか、穴埋めをするということを前提にしないと、積立方式の確定給付というのは実は厳密な意味では難しいんじゃないのかなと思っておりまして、その辺について、桝屋副大臣、ちょっと政治家としてお答えいただければありがたいと思っております。
○桝屋副大臣 現下の厳しい運用環境のもとで確定給付型の企業年金の運営が大変困難な状況にあるということは、まさに委員御指摘のとおりであります。実質的に存在し得ないのではないかとまで御指摘をいただいたわけであります。
しかしながら、確定給付型の企業年金につきましては、将来支給される給付があらかじめ決まっている制度であるという点で、老後の生活設計が容易であるということ、それから、長期勤務者の確保が必要な職種や企業に適しているという特徴があるのだろうというふうに思っております。そういう意味では、今後ともニーズは大きいものがあるだろうというふうに思っております。
御指摘の点は、まさにただいまの経済環境を念頭に置いてのお話でございますが、企業年金は長期にわたるものでありまして、短期的な運用結果だけで企業年金のあり方を判断すべきではないというふうに考えているところでございます。
一方、今回新たな選択肢として導入しようとしております確定拠出年金でございますが、加入者がみずから運用の指図を行う、その結果に基づいて年金額が決まる、こういう仕組みでございまして、御指摘のとおり、企業の大小を問わず、従業員のメリットになるというふうに考えているところでございます。
いずれにいたしましても、確定給付と確定拠出、いずれを選択し、または組み合わせて実施するかということについては、個々の企業の実情に応じて労使で十分話し合っていただき、適切な選択をしていただきたいと考えておるところでございます。
○宮澤(洋)委員 なかなか、お立場からいって答えていただくのは難しいのかもしれませんけれども。もちろん、確定給付のいいところというのも私は十分わかっておりますが、積立方式での確定給付というのはやはりかなり難しいというのを我々は認識しながら、これから進めていかなければいけないのかなというのが私自身の考えでございます。
大臣、来ていただいたのでございますけれども、少々のところというか、今度のメリットだけ少しやらせていただきまして、その後に少し大局的なお話をさせていただきたいと思います。
三点目といたしまして、六十歳の定年、六十五歳の年金支給ということで、五年間ある。私の大学の同級生なんかでも、クラス会で会いますと、病気の話とその話が大体二つ。定年の後どうするかというのと、自分の病気の話、もう少したってくると子供の結婚の話になるんだと思いますけれども。そういうところで、本当に大都市のサラリーマンほど、この点を気にしているというのが実感でございます。
その中で、今回は、積み立てが十年を基本とする。もちろん十年積み立てない方でもいいわけですが、六十五歳というようなところまで支給が遅くなってしまうということであります。
なぜ十年積み立てが必要というふうにしたのか、局長にちょっと御答弁願います。
○辻政府参考人 確定拠出年金、この基本的な趣旨でございますが、これは公的年金に上乗せされる年金制度の新たな選択肢として導入しようとするものでございます。
したがいまして、老後の準備としてふさわしいものとするという観点からは、やはり最初の拠出から一定期間経過後、老後になって給付を受ける、こういう基本的な構造。そうしますと、やはり老後という、まず六十歳まで十年以上、こういう構造で仕組まれております。したがいまして、六十歳直前の期間だけ掛金を拠出して、その後直ちに受給できるというふうなことを認めますと、老後の準備としての税制措置を講ずるにふさわしいものではない、こういう経過でできたものでございます。
ただ、開始年齢につきましては、公的年金はいずれも遅くとも六十五歳で受給できることとしており、その上乗せとして導入される確定拠出年金につきましても、遅くなったら十年後、幾らでも遅くなるというのでは、これはちょっといかがかということで、六十五歳には受け取ることとするために、五十歳以上で加入した場合につきましては加入後十年以上という要件を緩和いたしました。
具体的には、例えば五十二歳までに加入した者につきましては六十一歳から、五十四歳までに加入した者については六十二歳からといったように、二歳単位で刻みまして、五十八歳までに加入した者については六十四歳から、六十歳までに、六十歳直前までに加入した者につきましては六十五歳からというように、十年を高齢者につきましては厳格な要件とせず、段階的に短くして、年金ができるだけ受給できるようにというふうにきめ細かく対応いたしております。
○宮澤(洋)委員 実は私自身、自分が、ではどうするのかなと思って、私はこの間五十一歳になりまして、ことしから始まったとしても、六十まで積み立てて、たしか六十一歳になったら受給できる、こういうことなんですけれども、最後の一年間は指図者で指図するだけじゃないか、何で積み立ててもらえないのかなと実は厚生省の方とお話ししていましたら、それはともかく国民年金が六十歳までしか積み立てられないから、こういうお話で、その辺、全体の改正の中で、判断によっては三階部分的なところは六十歳を超えても積み立てられるというのをいずれ考えていかなければいけないのかなと思っております。
四点目として、最後に挙げました、国民の資産運用の多様化といった点の御質問に移らせていただきますけれども、私自身、昭和四十九年ですからもう二十五年以上前に大蔵省に入りまして、そのときに証券局での仕事の一番大きなものは個人株主の育成策だったのです。もう二十五年以上前ですけれども。
そのときはどうしてかといいますと、まさに持ち合いがふえたりすると資本市場が空洞化するといった点、また、法人、会社の売り買いというのは割合一つの方向に行って、個人がたくさん参加していない株式市場というのは余り安定的でないといったところから、たしか個人株主の育成策、対策を当時からいろいろな議論をしていたと思います。
ただ、ちょっと調べてみましたら、その当時、個人の持ち株比率というのは東証の上場企業全体で三一%ちょっとという数字のときにそういう議論をしていたわけですけれども、その後どんどん下がって、もう今は二割を切っているというようなところまで来ている。二十五年以上も前から、ある意味では資本市場の育成対策ということで、株式を個人に買ってほしいということをやっていた。
その後、私自身、四〇一kというものについて初めて聞きましたのが一九九二年、今から九年前でした。当時、宮澤内閣で総理の秘書官をしていた関係で、金融界の方から、まさに株価対策として、当時も、まさにバブルがはじけた後で、株価について相当議論が行われたときで、株価対策として四〇一k導入といったものを提言された。そういうものがあるのかと初めて知りました。
私は、株価対策にこういうものを使うべきでないと思っておりますが、一方で、今回の議論としては、国民の資産運用、まさに金融資産の運用が、余りにも預金のウエートが高過ぎるということをどうしてもやはり是正していかなければいけないといった観点から、この確定拠出法というのは大変役立つのだろうと思っております。
長銀にしろ日債銀にしろ、大きな銀行がつぶれていく。今はペイオフ、預金保険ということで一行当たりの預金が一千万円ずつそれは保護はされていますけれども、気が気でない状況。さらに、考えてみますと、自民党が言い出す話ではないとは思うのですけれども、十行に一千万円ずつ預けていて一億円の預金が付保されているというのが本当にいいのかなという議論はいずれ出てくるのじゃないのかなという気もします。
やはりまさに我々資本市場の中で生きているわけでございますし、資本主義というものの基本は株式会社、株式会社の基本はまさに株主と経営者の、ある意味では監視体制といいますか、その部分が大事だと思いまして、私は、できるだけ国民に幅広く株式を持っていただくというのが、資本主義、資本市場を持っている以上当然の国の責務だと思っておりますけれども、その中で、今度の法案、大変な契機になるのではないかなと期待をしております。
この中で、今回の話についていろいろ話を聞いてみますと、一般の方が、いろいろな管理手数料、運営管理とか資産管理とか管理の手数料がかかって逆に高くなるのじゃないか、こういう議論を、それなりに勉強した方ですけれども、されている方がいる。
一足先に、もう十年以上やっておりますアメリカがどんな状況にあるのか、ちょっと教えていただきたいと思います。
○辻政府参考人 米国労働省が一九九八年に公表した調査結果によりますと、米国の四〇一k、日本のこの制度と同様の四〇一kでは、記録管理などの運営に関する手数料は年間平均で資産額の〇・六%、運用報酬に係るものを含めて全手数料を合算いたしますと、年間平均で資産額の約一・三%というデータがございます。
それで、我が国の確定拠出年金における管理手数料について、これはあくまでも民間が独自に決めるものでございますので、民間機関も準備中でございますが、米国の四〇一kによる管理手数料なども参考としながら設定されることとなると聞いております。今回運営管理機関には相当幅の広い参入を認めることとしておりますので、競争によりまして適正な水準というものがあらわれるものと考えております。
加えまして、企業型、企業単位の確定拠出年金における管理手数料は、各企業がサービス内容などに応じて運営管理機関などと個別に協議して決めるということでございますので、適切な競争も行われ、各企業ごとに異なるものになるというふうに考えております。
○宮澤(洋)委員 いろいろ金融界の方と話を私なりにしていますと、手数料全体で〇・六%とか七%ぐらいというようなことを言っているところが多かったのですが、局長、いかがでございますか。
○辻政府参考人 記録管理などについて相当大きな投資が要ると言われておりまして、これにつきましてよく議論されておりますが、大体アメリカの〇・六%というのが一つの目安になるというふうなことが言われていると承知しております。
○宮澤(洋)委員 たしかアメリカの四〇一kの場合は、株式投信といいますか、株式投資信託に運用されている方の割合がかなり高い。特に若年層においては、ハイリスク・ハイリターンということでそういうところのウエートが高くて、だんだんお年寄りになってくる、退職間際になってくると、安定的な預金等々という安定的な商品に移るということを聞いております。
その中で、ちょっと調べてみましたら、これは昨年の十二月に出たSECの投資管理局のレポートなんですけれども、確定拠出型プラン、四〇一kの残高が大きいミューチュアルファンドは、これは日本でいうと投資信託ですけれども、一般にほかのファンドよりも経費率が低い、四〇一kを主にやっているファンドの方が経費率が低く、その分ある意味では投資家に利益が還元されているというのが出ているようでございます。
そうした意味で、今の手数料、特に株式投信手数料というのは今まで大変高かった。それは、私自身、証券局におりましたときに、当時は株式投信というのは、買うときに販売手数料を払い、毎年、信託手数料ということで報酬手数料を払うわけでございますけれども、前者が三%ぐらい、後者が二%ぐらいで、投信がそれほどもうかっていないといったようなときでしたから、こんなに手数料を取ってもいいのかなと実は思っておりました。これが恐らく今株式投信というのがなかなか広まらない一因だろうと思っておりますけれども、今回、四〇一kということで、恐らく厚生労働省においても、民間にいろいろヒアリングをする過程で、投信の販売手数料とか、また信託報酬についてどの程度下がるのか、現状維持なのか、その辺はヒアリングされていると思いますけれども、教えていただきたいと思います。
○辻政府参考人 一般の顧客が金融機関において投資信託を購入した場合には、今御指摘ありましたような、購入時に販売手数料が相当必要となっております。そしてまた別に、資産残高に比例して、口座管理、資産運用などに係る手数料も相当な額になるということでございますが、これに対しまして、確定拠出年金で提示される投資信託につきましては、まず、販売手数料につきましては、運営管理機関が対象となる確定拠出年金の多くの加入者に対して一括していわば商品を提示する、そして加入者がそれを選択して束ねるという仕組みですので、販売手数料は徴収しないか、ないしは徴収しても非常に少額になるというところが一点ございます。
また、当該投資信託を選択した加入者に係る資金が、今申しましたように、一括して資産管理機関から運用を担当する金融機関に拠出されて、その当該運用担当金融機関は個々の加入者の口座管理等は行わずに済むわけでございます。ただ、それに相当することは、別途運営管理機関が口座管理等を行いますので、そこで手数料と引き継がれるというようなことになっておりますので、全体として見ますと、手数料につきましては、一般の顧客向けの投資信託と比べて不利になることはないということは言えますし、そのように聞いております。
○宮澤(洋)委員 預金についてはいかがでしょうか、局長。
○辻政府参考人 預金も同様のことが言えまして、まず、金融機関における一般の顧客向けの預金の利率は、その中に、口座管理とか通帳発行などの各種のコストを控除した後の利率になっているということでございますが、確定拠出年金で提示される預金の利率につきましては、当該預金を選択した多くの加入者に係る資産が資産管理機関から一括して金融機関に預け入れられますので、その運用をする金融機関は、やはり個々の加入者の口座管理とか通帳発行とかそういう経費は一切入りませんので、そのコストが不要になりますので、それを織り込んで、一般の顧客向けに提示される利率に比べて高目の利率がこの場合は提示できるわけでございます。
ただ、一方におきまして、個々の加入者の口座管理等は運営管理機関が行いますので、そこで手数料は要ります。そのように考えて、それを総合して勘案しますと、一般の預金の利率と同程度の利回りは確保できるというふうに、いわば理屈からも考えられますし、現実に関係の方もそのようにおっしゃっていると聞いております。
○宮澤(洋)委員 今のは、要するに管理手数料等々を引いてということをおっしゃったわけでございますが、私が聞いたところ、ある金融機関は一%ぐらいの金利は出すというような話をしているところがあるというような話を聞きまして、その場合ですと、逆に言えば今よりはよくなる、現状の手数料を〇・六とすれば〇・四ぐらい乗っかる、こういうふうに理解してよろしいわけでございますか。
○辻政府参考人 現在、大体〇・一から〇・三という中で、一%を出しますと、コストが〇・六ということで、〇・四ということですから、仰せのとおりのことが一つ想定されると思います。
○宮澤(洋)委員 そうすると、我が国において主流になるかどうかはあれですけれども、アメリカにおいて主流の投信といった意味では、当初の販売手数料がほとんどゼロになる。現状では、恐らく個人が行きますと高いところで三%、一番低いところでも二%ぐらいは個人だと取られていると思いますけれども、それがゼロになる。また預金においても、銀行、金融機関によってはかなり有利になるところがあるといった点、いろいろ心配されている方に早く教えてあげたいような話でございまして、ぜひとも政府としても、そういう点も含めてPRをしていただきたいなと思っております。
それこそパソコンというのが、我々の世代、若い世代の方は最初からやられているんでしょうけれども、我々の世代は会社でパソコンが回ってきて、見よう見まねでやらされているうちになれてきて、家に帰ってパソコンを自由自在に操る、こういうことですので、まさにこの確定拠出プランで株式投信になれていただいて、家に帰って自分のお金でもやっていただいて、まさに資産運用の多様化を図っていただきたいものだなと思っております。
大臣、お待たせして大変恐縮でございますけれども、今、今回の確定拠出法案についてこういういいところがある、すばらしいことだということをいろいろ質問させてこさせていただいたわけでございますけれども、私はまさに最初に申し上げましたように、構造改革、日本の構造改革をしなきゃいかぬといった点からも、どうしてもこれは早期に導入していただきたい制度だと思っております。大臣としまして、本法案についてどういう意義を感じられているのか。またさらに、今後、年金制度全体を考える上でこの制度をどのように位置づけられているのか、率直なお話を伺いたいと思います。
○坂口国務大臣 私の知らないいろいろの点からの御質問をいただきまして、ありがとうございました。大変勉強をさせていただいたところでございます。
私はもう少しアバウトなところでこの拠出年金法を評価いたしておりまして、いずれにいたしましても、終身雇用というものがだんだんと崩れてまいりました、そして雇用の流動化というのが随分起こってまいりましたので、今までの年金というのではぐあいが悪くなってきた。これからどうなるかわかりませんが、恐らく現在よりもまだこの流動化は進んでいくのだろうというふうに思いますが、その場合にやはり成り立つ年金制度というものでなければならないというふうに思っておりまして、そういう意味から、確定拠出型のこの年金というのは非常に時代にマッチをしたものであるというふうに一つ思っております。
それからもう一つ、今までから三階建ての部分で気になっておりましたのは、やはり中小企業のところがなかなか参加をしてもらえないということでございました。ここのところがもう少し参加をしてもらえるような年金制度というものをつくり上げていくというのが大変大事だというふうに思っておりましたが、そういう意味で、この拠出型の年金のところは中小企業の皆さん方にも参加をしていただきますし、そして、事業主が出していただけないようなところでも、個人の資格でも参加をしていただけるというところがございますから、これはそうした意味で幅広く年金というものに関心をお持ちいただける問題であろうというふうに思っております。
それに加えまして、今いろいろと御指摘をいただきましたような面もあることを勉強させていただいたわけでありまして、そうした意味で、皆さん方にひとつぜひ、この法案を通していただきたいというふうに思っている次第でございます。
○宮澤(洋)委員 どうも大臣、ありがとうございました。
今大臣のお話を承り、まさに政治家としての心意気を感じたわけでございますが、きのうの読売新聞でございますか、朝起きてぱっと見ましたら、二面に「四〇一k法案審議入り」こう書いてありまして、「民主 賛否 どっちつかず」こう書いてあるわけなんでございます。ぜひ民主党にも賛成をしていただきますようによろしくお願いしたいわけですが、この記事の中で「背景には、連合の強い反対がある。「企業がリスクを負わず、労働者がリスクを負うのはおかしい」」こういうことが書かれておりますけれども、これについて大臣はどうお考えになるか、一言教えていただきたいと思います。
○坂口国務大臣 民主党さんがどうお考えいただくかは、これは民主党さんでひとつぜひ御議論をいただきたいと思いますし、私がとやかく申し上げることではございません。
ただ、リスクを負うのは、確かにやり方によりましては若干リスクもあるわけでございますが、しかし、そこにまた個人で運用する妙味もあるわけでございますから、そこはプラス面とマイナス面はある。むしろ、やはり自分で育てていく年金という意味では、非常にプラス面が私は大きいというふうに思っているわけでございます。それをリスクと見るかどうかというと、私はリスクではないというふうに思っている次第でございます。
○宮澤(洋)委員 大臣、どうもありがとうございました。
時間も終わりに近づいております。最後の質問になると思いますけれども、最後に、この法案の成立した場合の施行日についてちょっと教えていただきたいと思っております。
条文には「平成十三年三月一日」と書いてあるわけでございますが、もちろんとても間に合わないわけでございます。本国会は恐らく六月末まででしょうけれども、本国会内で成立した場合にいつから施行されるのか。逆に言えば、政府としては、答弁しにくいというお話であれば、準備期間、早ければ早いほどいいと思いますけれども、どの程度の準備期間が必要なのか、教えていただけますでしょうか。
○桝屋副大臣 御指摘のとおり、施行期日でございますが、法案には、委員御指摘のとおり「十三年三月一日」となっているわけでありまして、既に過去の日でありますから、これは修正をお願いしなければなりません。
政府としては、施行までの準備期間でいいと言っていただいたのですが、政省令の制定あるいは事務処理体制の整備など、一連の準備を行う必要があることから、法の公布後、三カ月程度の準備期間を見込んでいただければと考えているところでございます。
○宮澤(洋)委員 六月末で終わるということであれば、七、八、九、三カ月でございますから、十月一日にできるだけ早く施行していただきたいと思っております。
これで質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
○鈴木委員長 次に、福島豊君。
○福島委員 大臣、副大臣、大変御苦労さまでございます。
二十一世紀に入りまして、日本の社会は大きな変化を続けているわけでございます。人口構造が変化をしていく、そしてまた経済社会構造が変化をしていく、こういう中にあって、年金制度もその影響を当然受けざるを得ないわけでございます。今まで公的年金制度は繰り返し改正をされてきたわけでございます。人口構造の変化をいかに受けとめるのかといったところにその由来があるわけでございますけれども、今後どうしていくのかということを考えたときに、こうした公的年金を補完する新しい企業年金が必要である、私はそのように思っております。
多様化する経済社会の中にあって、その多様性というものに対して、それを受けとめることのできる新しい制度を創設し、もって高齢社会の生活の安定というものを図るべきである、そういう意味でこの確定拠出年金法案、先国会からの継続審議でございますけれども、一日も早い成立を期すべきであると思っております。
そしてまた、先ほどリスクの話が出ましたけれども、みずからの資産をどのように運用していくのかという考え方はなかなか日本人一人一人に今までなじみのあることではなかったわけでございます。プロの方はともかくとして、一般の国民までそのような意識はなかなかなかったのではないかと思っておりますけれども、逆に言うと、二十一世紀というのは一人一人の国民がそういう意識というものをもっと持つべきなのじゃないか、私はそのように思っております。
先日、ある本を読みました。一生生きていくためにはどのくらいお金があればいいのか、年金をいろいろ組み合わせて考えるというような本でございましたけれども。長生きというリスクがあるわけでございます。その長生きというリスクをみずからがいかにマネジメントしていくのかというリスクマネジメントの考え方を一人一人の方が身につけていく。自律という言葉を小泉総理が言われましたけれども、まさに自律というのは、みずからに降りかかってくる可能性のあるリスクをどのようにマネジメントしていくのかという考え方に通じるのではないかと思っております。
資産運用ということについては、損をする場合もあるし得をする場合もあるというように、いろいろとあるわけでございますけれども、そういったリスクというものを勘案して、その人にとって適切な運用をしていく、それがこうした確定拠出年金法というものの成立を経て日本国民に根づいていくというようなことを私はむしろ願っております。
まず初めの質問でございますが、先ほども大臣から御説明がありましたように、既存の企業年金に加えて新しい選択肢をつくるという意味で大変意味がある。そして、大きく言いますと、一つは、中小零細企業であっても、この確定拠出年金というのは導入をしやすいという特性がある。そしてまた、ポータビリティーにすぐれておりますので、現在の労働移動が非常に激しい時代ということを考えた場合には、時代にマッチをした年金である、そういうような特性がある。そういう意味から、一刻も早く導入をすべきであるという御趣旨であったかと思います。
冒頭、改めて、この新しい年金の導入の意義、そしてまた二十一世紀という、日本の変化の社会、その社会における必要性というものについてお考えをお聞きしたいと思います。
○桝屋副大臣 委員、冒頭から制度導入の意義とか必要性についてお尋ねをいただいたわけであります。
今回、今審議をお願いしております確定拠出年金の特徴については、まさに今委員から御指摘をいただいたとおりでありまして、中小零細企業に普及しやすいという点、あるいはポータビリティーが十分確保されている、労働移動に対応しやすいといった利点がある制度でございます。
こうした確定拠出年金の導入は、雇用の流動化への対応など、我が国における経済社会の構造改革に資するものであるというふうに考えておりますし、委員からお話がありましたように、中小零細企業、あるいは雇用の流動化が高まる企業の従業員など、多くの方々がある意味では待ち望んでおられるものではないかと思っております。
まさに、二十一世紀の一つの制度として、これからぜひとも、これをスタートとして、私はある意味ではこの制度を、これから我が国の国民が、委員から資産の運用ということについてはなれていないという御指摘もありましたけれども、まさに私は投資の勉強をしていただくという最大の機会ではないかなというふうに思っております。
そういう意味で、この確定拠出年金制度の早期導入に向けて、法案の一日も早い成立をお願いをしたいと考えているところでございます。
○福島委員 しかしながら、新しい制度でございます。アメリカにおいては早い時期から導入をされておりましたけれども、さまざまな点について不安がある、そしてまたよくわからない点があるということも事実でございまして、この委員会における審議におきましては、そうした点を一つ一つ明らかにして、この制度というものが必要な制度であるということを理解していただくよすがにすべきであるというふうに思っております。
まず初めに確認をさせていただきたいことは、先ほどもお話がございましたけれども、この確定拠出年金というのは確定給付型の企業年金で事業主が負っていたリスクというものを従業員に転嫁するのじゃないか。事業主の方は楽になるよ、従業員の方はリスクを負うから大変だよという考え方があるわけでございます。そしてまた、それは企業を最終的には救済するという目的でこういうものを導入したのではないか、そういうよからぬ意図があるのではないかというような御指摘もあるわけでございます。
ここのところは極めて大切なところでございますので、そういうものではないという明確な御答弁をいただきたいと思います。
○辻政府参考人 確定拠出年金の趣旨でございますけれども、現在の企業年金に比べまして、中小零細企業などにも普及しやすい、それからポータビリティーが確保されて、労働移動ということに対応しやすい、あるいは企業が倒産してもみずからの年金資産は必ず保護される、こういう、企業の従業員にとって多くの利点がある年金制度でもございます。このような確定拠出年金制度を、しかも、これは新たな選択肢として導入するものでございまして、決して企業救済が目的ではございません。
しかも、個々の企業における確定拠出年金の導入は、あくまでも労使合意によって行われるものである、合意がなければできないということでございますので、労使間での十分な協議を行うということを前提にしておりますので、ましてや、企業救済というような趣旨のものではないということでございます。
○福島委員 次の点は、先ほども申しましたように、日本国民というのは、なかなか自己責任での運用にはなれていない。そしてまた金融・証券市場もさまざまに改革がなされておりますけれども、いまだに不透明で、加入者というものは適切な運用がなかなかできないのではないか。そういうことを考えると、金融・証券市場の改革がさらに進み、そしてまた国民の知識が深まる、そういう時期を待って導入してはどうか、いまだ時期尚早であるという御指摘もあるわけでございます。
ただ、しかしながら、先ほども言いましたように、私自身は、こうしたものが導入されて初めてそこで意識というものは転換されるのであって、逆ではないだろうというふうに個人的には思いますけれども、この点についての御見解をお聞きしたいと思います。
○辻政府参考人 確かに、確定拠出年金は、加入者が自己責任で運用するという意味で、なじみは薄い新しい制度だということが言えるのでございますけれども、雇用の流動化や企業再編はどんどん進むというようなことで、経済の変化、時代が変化しております。こういう中で、確定拠出型の企業年金も必要となってきているという現状認識のもとで、今回の法案提出に至りました。
そして、まず、自己責任での運用にはなれていないので適切な運用ができないのではないか、こういう御懸念、時期尚早論があるわけでございますけれども、確かに、個人貯蓄の約六割が元本保証のある預貯金により運用されている我が国の実態を背景とした懸念であると思います。
確かに、貯蓄の多くが預貯金による運用である実態にかんがみまして、本法案におきましては、加入者への運用商品の提示においては、必ず元本確保型の商品を選択肢の中に入れることを義務づけている。また、今回の制度導入に伴い、企業等、すなわち実施する企業あるいはその運用をする運営管理機関は、運営管理機関に投資教育を委託するということがありますので、運営管理機関を含めまして資産運用の基礎知識、リスク、リターンの関係、長期投資、分散投資の考え方など、一般的な投資に関する資料を加入者に情報提供したり相談に応じるということにしておりまして、制度導入を契機として、運用に関する国民の関心、理解も深まっていくものと考えております。
また、我が国の金融・証券市場が不透明との指摘もあるわけでございますけれども、金融ビッグバンなど、これまでの一連の金融制度改革により透明性が向上してきているというふうに理解しておりまして、確定拠出年金制度上も、運営管理機関が加入者に運用商品について適切に情報提供を行うこととしております。
なお、少し長くなりますけれども、さらにもう一つ、アメリカとの関係などを申させていただきますと、アメリカにおいても、四〇一kの制度発足当初から、加入者が、現在株式投資に相当ウエートが高うございますけれども、現在のように株式などに投資を行っていたわけではございませんで、当初は、やはり預貯金や生保商品の割合が高かったと聞いております。これは、運用に関する理解が浸透して徐々に今日のような姿になったと承知しておりまして、このようなことから、このような見通しのもとで行うこの法案の導入につきましては、決して時期尚早ではないと考えております。
○福島委員 選択肢がさまざまにあって、初心者向けの選択肢もあるということはよくわかりました。
次に、金融・証券市場の透明性ということでございますけれども、金融ビッグバンということでさまざまな改革が進んでおります。また、本年四月には金融商品販売法が施行されまして、その透明性を高める措置がなされているわけでございますけれども、今後、さらに信頼を確立していくために、透明性の確保のための取り組みを進めていく必要があると思いますけれども、金融庁について、今後の取り組みについてのお考えをお聞きしたいと思います。
○三國谷政府参考人 お答え申し上げます。
金融につきましては、多様な商品、サービスが普及していく中で、利用者が安心して取引を行うためにも、市場の透明性の確保が重要なことと考えております。このため、御指摘のとおり、平成十年の金融システム改革法などによりまして、公正取引ルールの整備やディスクロージャーの充実など、その透明性の向上に取り組んでまいったところでございます。
会計基準につきましても、国際的調和の観点も踏まえながら、連結財務諸表の見直しや金融商品に係ります会計基準の設定など、数多くの基準について整備を行ってきたところでございます。また、これも御指摘のとおり、本年には、金融商品販売法が施行されまして、金融商品の有するリスクなどにつきまして説明義務が導入されているところでございます。
今後でございますが、この六月からは有価証券報告書などの提出、縦覧の電子化などを段階的に進め、企業情報へのアクセスの改善にも努めていきたいと考えております。私どもといたしましては、引き続きディスクロージャーの充実や、時代に対応した公正取引のルールの整備等に努めてまいりたいと考えております。
○福島委員 引き続き、よろしくお願いいたします。金融庁さんはもう結構でございます。
次に、先ほども宮澤委員から御指摘ございましたけれども、現在、非常に低金利でございます。低金利ですけれども、手数料はしっかり取られる。先ほど、手数料は大体〇・六%が目安だというようなお話がございましたけれども、運営管理機関の〇・六%の手数料というものを引かれてしまいますと、株式で運用してそれ以上収益が上がればいいですけれども、安全でということで定期預金のような形でこれを運用した場合には、逆ざやになってしまって、かえって目減りしてしまうんじゃないかという心配もあるわけでございます。ここの点について、わかりやすく御説明をいただければと思います。
○辻政府参考人 まず、比較の対象となる金融機関における一般の顧客向けの預金の利率でございますが、これは、一般の例えば銀行などで行う口座管理、通帳発行など、あるいは広報経費とか、もろもろの各種のコスト、これを控除した後に出せる利率を出していらっしゃる。ところが、確定拠出年金で提示される預金の利率につきましては、例えば企業型であれば多くの従業員が運営管理機関との間で大いに勉強して預貯金を選ぶということになるわけですが、この預貯金を選んだものを運営管理機関は一括して金融機関に預け入れるわけでございます。そして、その金融機関では、一般の金融機関のように、口座管理をしたり、通帳をつくったり、広報したり、そういう経費は一切なしにその預貯金を運用いたしますので、通常の金融機関における預貯金の金利よりも高い金利を出すことができるわけでございます。
しかしながら、確かに、運営管理機関でお一人お一人の口座管理はしなくちゃいけないので、その管理コストはかかりますけれども、今申しましたように、通常の一般の、今なら〇・一とか〇・三とか私どもがよく言っているような金利よりも相当高い金利が、もともと一括で運用しましてコストが低いことからできますので、仮に預貯金だけで確定拠出年金の運用を行ったとしても、元本割れといったことは絶対にありませんし、民間金融機関の方からも、そうした方向で考えているということを聞いております。
○福島委員 現在の超低金利でも元本割れがないということでございますので、今後、金利は恐らく上昇していくんでしょうから、多分大丈夫だろう、こう改めて確認をさせていただいた次第でございます。
次に、個々の仕組みについてお尋ねをしたいんですけれども、従業員等の上乗せ拠出の話でございます。
確定拠出年金には、企業が掛金を拠出する企業型年金と、加入者が掛金を拠出する個人型年金があるわけでございますけれども、企業型年金において従業員の上乗せ拠出、そしてまた個人型年金における企業の上乗せ拠出はできないというふうに分かれているわけでございます。
もともと、平成十一年ごろ検討しておられたときには、こういったことができるという話になっていたと思うんです。その方が厚みが増しますからよほどいいという話になっていたと思うんですけれども、しかし、最終的にできないということになってしまったわけでございますけれども、この点についての御見解をお聞きしたいと思います。
○辻政府参考人 まず、二つのタイプのうち、企業型についてでございますけれども、税制当局との論議等を経まして現在確立されました考え方は、やはり企業型は、現行の企業年金と同様に、事業主がまず拠出することが基本という考え方に立っております。
その場合、企業型年金における企業の従業員本人の拠出は、その拠出が付加的なものだ、そしてこれは、任意で拠出ということになりますと運用もみずから選択するということで、任意に拠出して運用も自分でする、これは貯蓄そのものということになるではないかということで、税制優遇措置が講じられるのは難しいということになりまして、したがって今回の法案では、従業員の上乗せ拠出はできないということになりました。
一方、個人型の年金でございますけれども、これにつきましては、今言いましたような事業主が拠出するのを基本とするという体系で、個人型のものを企業の従業員について認めるか認めないか、どこまで認めるかという議論が相当なされたと承知しております。
もともとこの制度は、中小企業を念頭に置いて導入を図るということでございますので、やはりこれは、何としても中小企業でそういうものが必要だ、具体的には、確定給付型の企業年金もない、それから確定拠出年金の企業型、事業主が確定拠出型をやってくださらない、こういう、恐らく中小企業でございますけれども、中小企業の従業員が確定拠出を持てないというのではいかがかということで、このような場合に限りまして、いわば年金制度の三階部分が全く得られないということはいかがかということで、その加入者個人の拠出はむしろ事業主の拠出に相当するものだ、そういう、事業主を基本とする体系にぎりぎり乗せて加入を図られた、こういった経過がございます。
このようなことから、いわば事業主拠出がない、事業主の支援がない場合のみに認められましたこの個人型年金で、企業の上乗せ拠出は現体系ではできない、こういった形になっております。
○福島委員 とにかく中小企業でも零細企業でも導入しやすいという形で御判断されたのだということがわかりました。
次に、拠出限度額についてお尋ねをいたしたいと思います。
拠出限度額は、既存の企業年金がない場合には月額三・六万円、そして既存の企業年金がある場合には月額一・八万円です。ただ一方、個人型年金に加入する企業の従業員の拠出限度額は月額一・五万円となっておるわけでございまして、ここには差があるわけでございます。同じような取り扱いにすべきではないかという考え方も当然あるわけでございまして、なぜこのような限度額になったのか、そこのところの考え方をお聞きしたいと思います。
○辻政府参考人 ただいま申しましたように、個人型年金は、企業の従業員に認められます場合は、厚生年金の被保険者と被用者であって、三階を何とか導入しようということでございますが、これは何の企業の支援もしてくださらないという方のみに限ったという経過でございます。
逆に、事業主拠出というものは体系上確立しやすいわけでございますけれども、個人拠出が、今言ったようなことで最低限の場合、どうしても必要だということを認められたという沿革から見まして、この限度額をどう考えるかということにつきましては、現実に企業が支援している実態、これとのバランスを考えなくちゃいけない。
そうなりますと、既存の制度である厚生年金基金における実態はどうかと申しますと、大部分の厚生年金基金においては、上乗せ部分の掛金として従業員が現に事業主から拠出していただいている部分、これは月一・五万円程度でございます。そのようなことから、これを踏まえて設定したものでございます。
○福島委員 次に、情報提供の件でございます。
加入者に対して、資産運用のあり方に関しての情報提供や運用商品の情報提供などをきちんと行うということは、この制度の根幹をなす部分であろうというふうに私は思っております。
この法案の中では、加入者に対しての資産運用のあり方に関しての情報提供は、事業主などの努力義務、努力すればいいという書き方になっているわけでございまして、ここのところもいろいろな意見があります。もっと厳しく規定しなきゃいかぬのじゃないか、でないと手を抜くんじゃないか、そういうふうに懸念される方もおるわけでございまして、この点についての考え方をお聞きしたいと思います。
○辻政府参考人 御指摘のとおり、加入者がみずからの責任で運用指図を行うという確定拠出年金制度におきまして、加入者自身が資産運用について適切な知識を持ち得るようにすることは極めて重要でございまして、この点についての事業主の役割は重いものと考えます。
資産運用に関する情報提供につきましては、各加入者によって資産運用に関する知識水準や老後の生活設計が異なりまして、どのような内容、どのような方法で、またどの程度まで行うべきか、これは一義的に決めるということは非常に難しく、義務規定となりますと、それがどこまでかというのが個々具体にすべて明らかでなくちゃいけませんけれども、実際上の制度運用の実務から見て義務づけは困難ということで、努力義務としたものでございます。
ちなみに、アメリカの四〇一kの運用におきまして、この投資教育はアメリカにおいても義務規定となっておりませんで、当然のことという理解かと存じますけれども、日本のように努力義務規定もございません。
そういう中で、企業がこの責務を適切に果たして、加入者が本当に必要な知識を持ち得るように、まず、確定拠出年金の特徴それから加入のメリットなど具体的な制度内容をしっかりと話をする。それから、リスクの内容やリターンとの関係など投資に関する基礎的な知識を得ていただく。もちろんリターンが高い株式についてはまた、俗っぽく言えば損する可能性があるんだということを含めてきちっとした基礎的な知識を言っていただく。そして、預貯金、投資信託、保険商品などの特徴やリスクとリターンなど主な、具体的な金融商品の特徴や仕組み、これらについて説明していただく。こういった最低限加入者に情報提供すべきことにつきまして通達等で明らかにすることとしておりますが、これを受けて、企業が個々の加入者の理解に応じてわかりやすくかつ丁寧な情報提供を行うことは当然の責務だと考えております。
また、資産運用のあり方に関する情報提供については、一般的には、企業が運営管理機関に委託することができますので、委託することが想定されます。この場合でも、運営管理機関は、最低限、今申しました事項を加入者に情報提供して、加入者が適切な知識を得た上で指図をされるということが行われることは当然のことであると考えております。
○福島委員 よくわかりました。
そしてまた、労使間でも、どういう形での情報提供をするのかということはしっかりと議論して、導入する場合には導入すべきだろうと私自身は思っております。
次に、受託者責任の件についてお聞きをしたいと思います。
米国のERISA法では四〇一kも含めた企業年金等に係る受託者責任を規定しておりますけれども、我が国のこの確定拠出年金法案で規定をしておるところの内容とERISA法と比べた場合にどう違うのか、どちらがすぐれているのか、この点についてお聞きをしたいと思います。
○辻政府参考人 米国のERISA法における受託者責任の規定は、まず、確定給付型、確定拠出型、いずれの企業年金にもERISA法が適用されております。ただ、個人を対象としたIRA、個人退職勘定と言われていますけれども、これはERISA法の対象ではありません。
一方、我が国の法律の体系といたしましては、御審議いただきましたように、確定給付企業年金につきましては確定給付企業年金法案において、それから、確定拠出年金については、確定拠出年金法案において企業型年金とアメリカではERISAの対象になっていない個人型年金と両方を対象とし、それぞれについて受託者責任を定めております。
これは、単に法体系が異なるということでございまして、受託者責任は同様に日本はかぶっておるということでございますが、その受託者責任の内容につきまして、米国におきましては次のようなことが基本になっております。
まず第一は、加入者のためにのみ忠実に業務を行うという忠実義務、それから運用商品の選定に際しての注意義務、利益相反行為の禁止などの義務、これが管理運営に携わる者に課されるとともに、少なくとも三種類のリスク、リターンが異なる運用商品を加入者に提示して、加入者がみずから運用方針を決定するといったようなことが書かれております。
一方、我が国の確定拠出年金法案におきましては、これらのERISA法に規定する責務に加えまして、加入者に対して、この三種類というのは同じでございますが、元本確保商品を一つ以上提示しなければならないという、むしろ、さらにかた目の規定が入っているということ。
それから、ERISA法におきましては、受託者が違反したときには民事責任のみが課され、罰則や行政処分はございません。これに対しまして、確定拠出年金法案では、関係者の違反については、民事責任のみならず行政処分や一部違反には罰則を科するということで、総じて、むしろアメリカのERISA法よりも付加されたものになっているというふうに考えております。
○福島委員 ただいま御説明ありましたように、アメリカのERISA法に比べても、受託者責任というものを我が国のこの法案においてはきちっと規定をするということが御理解いただけたのではないかと思います。
次に、確定給付型の企業年金から確定拠出型年金への資産の移換ということを取り上げたいと思います。
厚生年金基金などの確定給付型の企業年金や、また退職一時金から確定拠出年金に資産を移換することができるようになっている。ただ、これは、確定給付から確定拠出になるわけですから、むしろ受け取る側にとってみれば不利益な取り扱いになるのじゃないかという思いもするわけでございます。
ですから、企業が一方的に企業の都合でこういう移換をしてもらったら困るという意見が出てくるのは当然のことでございまして、この移換ということについて、どういう要件を満たせば移換ができるのか。そしてまた、今申しましたように、資産の移換に当たって従業員が不利益を受けないようにする必要があります。不利益を受けないようにするためにはどういうような手だてが講じられるのか、ここの点について明確にお聞きをしたいと思います。
○桝屋副大臣 確定給付型の企業年金あるいは退職一時金からの確定拠出年金への資産の移換の話でございます。確かに、委員御指摘のように、この要件ということが極めて大事だろうというふうに思っております。
まず、確定拠出年金に資産を移換することについて、これは当然の話でありますが、労使合意がきちっとなくてはならないということが一つあるだろう。それから、確定給付型の企業年金におきましては、積み立て不足がないということが大事でありまして、そうしたことを今考えているところであります。
委員御指摘のように、確定拠出年金への資産の移換に当たっては、従業員の受給権が不当に侵害されることがないよう、その権利保護に十分配慮することが必要だというふうに思っておりまして、そうした方向で今検討を進めているところでございます。
○福島委員 最後に、税制の問題をお聞きいたしたいと思います。
特別法人税の問題でございますが、平成十四年までは凍結をされておりますけれども、法律上は、企業が拠出する企業型年金だけでなく、加入者が拠出する個人型年金についても課税をすることとしている。厚生年金基金につきましては、一定水準まで課税がされません。また、国民年金基金でも、特別法人税というものは課税されない。
実態として個人が拠出するわけですから、同じ年金の制度で、それについて課税をするというのは平等ではないのじゃないかと思うわけでございます。凍結されておりますけれども、これは廃止すべきではないかと私は思っておりますが、この点について財務省の御見解をお聞きしたいと思います。
○木村政府参考人 お答え申し上げます。
今先生の方から、特別法人税につきましてお尋ねがございました。
先般の確定給付企業年金法の本委員会における御審議の際にも御説明をさせていただいたところでございますが、現行の適格退職年金契約等に係る退職年金と積立金につきましては、従業員の年金のために事業主が負担する掛金等につきまして、その段階でまず損金算入される。その一方で、従業員に対する所得課税は行っておりません。年金受給時までその課税を繰り延べるということでございまして、その遅延利息相当分の負担を求めるために特別法人税をお願いしているところで、これはもう先生よく御承知のとおりでございます。
今回の確定拠出年金制度でございますけれども、まず、企業型年金の事業主掛金につきましては、これはやはり支出時には全額を損金算入いたしまして、従業員に対する所得課税を行っておりません。それからまた、個人型年金の加入者掛金についてでございますが、これは全額、所得控除の対象としております。
したがって、掛金について見ますと、企業型年金の事業主掛金、個人型年金の加入者掛金、ともにその時点で課税されておりませんで、年金受給時までその課税が繰り延べされているという点では全く同様でございます。そういったことで、これにつきましても特別法人税をお願いするということにしているところでございます。
なお、今先生の方から、厚生年金基金と国民年金基金についてお尋ねがございました。
これは本当に先生のよく御承知のところでございますが、厚生年金基金につきましては、公的年金の代行部分がございます。それから、給付が終身、給付について法定の努力目標水準が存在する、そういったことを勘案いたしまして、税法上、その積立金に対する努力目標水準までは非課税としているところでございます。
また、国民年金につきましても、公的年金たる国民年金の付加年金の代行部分がございますし、また、死亡時を除きまして一時金支給は認められていない、そういったこと等から、現行法上は特別法人税の課税対象外としているところでございます。
○福島委員 大変に渋い御答弁でございましたが、引き続きお願いを続けたいというふうに思っております。
最後に大臣に一言お聞きしたいのですが、今も議論やりとりしましたが、なかなかに難しい話ばかりでございまして、一遍聞いてよく理解ができないという場合も多々あるのだろうと思います。
厚生年金にしましても、ただでさえなかなか難しいという高齢者の方は多いわけでございます。ですから、よほどこの企業年金、確定拠出年金にしましても、先般の確定給付年金にしましても、こういうことについて国民に対してよくよく理解をしていただくということは非常に大切だと思います。
そしてまた、この確定拠出年金につきましては、現在の高齢者が受け取るわけじゃありませんのであれでございますけれども、高齢者の方の年金についての相談というようなものも気軽に受けられるような仕組みも必要だろうと私は思っております。
この点について、最後に大臣の御見解をお聞きしたいと思います。
○坂口国務大臣 年金制度も大分いろいろの制度が錯綜してまいりました。
それで、公的年金だけでございますとわかりやすいわけでございますが、二階があり、三階があり、三階の方も拠出型があり、そしてまた供給型がありという、いろいろの形になってまいりまして、ここの専門委員会ですら時々間違うぐらい難しい制度になってきたわけでございますから、一般の皆さん方がこれを全部クリアカットにわかっていただくのは甚だ難しいことではないかというふうに私も思う次第でございます。
しかし、ここは大事な年金制度でございますから、皆さん方にここをよく理解をしていただいて、御参加をいただけるようにしないといけないわけであります。ここは、いかにわかりやすく皆さん方にこの内容を提示し、そしてわかっていただけるようにするかという提示の仕方、先日、小池先生からもお話をいただきましたが、名前そのものも難しい。専門的なものは、それはそれでいいといたしましても、国民の皆さん方に御提示しますときには、もう少しわかりやすい形で、なるほど、それかと一言でわかるような形にしないとちょっといけないのじゃないかというふうに思っているところでございます。
そうした形にしながら、そして内容をさらに充実していく。内容も、それぞれの制度によって余り違いがあり過ぎるというのもあれですから、できる限り共通項目があって、そして特殊事情としてこれはここだけが違うということで、わかりやすくするということが大事ではないかというふうに思っております。
もう一つ何か聞かれたような気がしますが、もうこれでよろしゅうございますか。
○福島委員 以上で、持ち時間が終わりましたので、質問を終わります。ありがとうございました。
○鈴木委員長 次に、小池百合子君。
○小池委員 保守党の小池百合子でございます。
ついに確定拠出型年金の審議に入ることができたわけでございます。
日本版四〇一kと言われるゆえんでございますが、基本的にはこの四〇一というのがそもそも内国歳入法の四百一条k項にある、つまり税なんですね。税のプラスがどれほどあるかということが一番大きなポイントになっているかと思います。
それから、何よりもこれは自己責任原則である。企業からしてみればちょっと都合がいいような話かと思いますけれども、これは与党三党の緊急経済対策にも組み込まれておりますように、ちょうどこれまでの銀行等々の金融機関を使っての間接金融から、これからは証券市場という形を通っての直接金融の世界に変えていこうということにまさにぴったりの年金のシステムでございます。それだけにこの法案の成立というのは、緊急でございますから、急がれる。
ただ、私は結論から申し上げますと、先ほど来、税の問題なども、特典の話も出ておりましたけれども、なかなかまだ株式市場というのは、バブルのときにやけどをされた方であるとか、証券会社が株屋という名前であらわされるように、まだまだ、大丈夫かな、だまされるんじゃないかなというような、そういった心理が働くこと、それから、そもそも学校教育の中で株の取引などということは日本人は習っていないなどということがあって、緊急経済対策の中には入っておりますけれども、急にこれですべてが動くとは思っておりません。
それだけに、いろいろな情報提供、そして加入者への教育、たくさん重要なことをしっかりと踏まえていかないと、これまた、今、年金基金が大変だと言っていて始まった新しい年金なのに、また違う話で、やはりおかしかったぞ、あれはやはり年金じゃないぞというようなことになってしまうというような意味で、非常に慎重にかつ大胆に始めていかなければならない新制度ではないかというふうに考えております。
この日本版の四〇一k年金の導入を見込んで、例えば人材派遣会社などでは、税のいわゆる優遇はないけれども、前もってそういったことも見越して既にシステムを始めているということを聞くわけでございますが、これは税の特典がないだけに、企業が自由にやっているから把握できないということなのかもしれませんが、一体この制度、確定拠出年金というものではないけれども、それに似たような形のものをどれぐらいの企業で既に導入されておられるのか、わかる範囲で教えてください。
○辻政府参考人 私ども、税制優遇措置を受けずに企業独自で、企業が拠出したものについて従業員が個人で運用するという確定拠出年金に類似する年金を実施しているという企業があるということを聞いておりますが、任意に実施しているいわゆる自社年金については、数字としては残念ながら把握しておりません。
○小池委員 私の知る範囲では、グローバルな企業、つまり日本の会社であってもアメリカやヨーロッパやそれぞれの国々にまたそれぞれの会社があって、その中で世界じゅうで人が移動をしているところというのは、既に共通の年金としてやっていかなければならないということで下地ができているというふうに聞いてもいるわけでございます。例えば電機関係の仕事であるとか、自動車会社が既に入っているかどうかわかりませんけれども、だんだんそちらの方向にシフトは、そういった国際的な市場、マーケットで活躍しているところは既に導入をし、また、今回のこの法案成立の暁にはそれを導入していこうという企業も幾つもあるというふうには伺っております。
ただ、アメリカの場合、あちらもやはりちょうど八〇年代ぐらいでしょうか、不況で、かつ、いわゆる企業年金が積み立て不足になって、そしてそこに対しての加入者の積み立ての方がこれまでの一気に何倍にもなったりする、または予定の利率よりもうんと低くなってしまう。そしてまた、何よりも会社、企業が倒産をしてしまう、MアンドAになってしまうというようなこと。それから、たしかアメリカでの会計制度が変わったのもそのころだったと思います。それとあと、産業が大きく変わって、ベンチャー企業などがどんどんできてきた、そういった時代背景、そして経済背景があったと思うのです。
その意味では、今の日本にそのまま当てはまるわけでございまして、この日本版の四〇一kが出てくる必然もあろうかというふうに思っております。そして、この確定拠出年金で株式市場に流れ込んだお金が、まさに直接金融の形でアメリカのベンチャー企業を多く育てた、血液の役割を果たしたということも事実だと思っております。
ただ、今アメリカの経済がかなりダウン、下落しておりまして、ナスダック、ダウ、それぞれかなりアメリカ経済も陰りが見えている。特にIT産業がきついというようなことでございまして、この四〇一kについての年金の運用先などもかなり株価が下落していると聞いております。ただ、年金でございますから、途中で株価が下がったから私は抜けますというと、アメリカの場合でもペナルティーがつくというような制度になっておりますので、なかなか抜けない、そういう制度にはなっておりますが、いかがでございましょうか。
最近のアメリカにおける証券市場の下落局面で、四〇一kに加入している方々がどのような行動をとっているのか。一斉に、もうこれはあかんと言って抜け出そうとしているのか、いやいや、制度がそうじゃないから、しっかりとむしろ株の下支えの役目をしているのか。そのあたり、最新の状況がわかりましたらお伝えください。
○辻政府参考人 米国における四〇一kの資産運用の実態でございますけれども、まず一般論として言えますことは、近年、急速に株式投資のウエートがふえてきた。そして、そのふえた内容というのは、若い世代ほど投資できる期間が長うございますので、少々リスクがぶれても長期的には収益性が確保できるということから、若い人ほど株式の組み入れ率が高く、受給年齢に近くなるに従って株式の組み入れ比率を落としていっている、こういう傾向がはっきりあるということを伝えられております。
そんな中で、今の米国の株の状況のもとでどのような変化が見られるかというお尋ねでございますが、直近のデータでは、今の株変動に基づいてどう動いているかという詳細なデータは私どもございませんが、専門誌等を見る限りにおきましては、現時点で資産運用において株式から債券等の安全性の高い資産に顕著なシフトが起きているというような話は伝えられておりません。
現時点の米国の株式相場の評価としましては、仰せのような変化が生じておりますけれども、ダウ平均などで見ますと相当上下動しておりますけれども、下げ相場と一概には言えないということでございますので、今後注視する必要があると考えております。
○小池委員 ゲームには参加したけれども抜けるに抜けられない。下落したときはなかなか、年金でありながらも胃が痛い思いをする。企業年金として運用を基金の方にお任せしていて、予定利率がどかんと下がってしまって結局大変予定が外れてしまうというのと、日々株価が出てきますから、しょっちゅう気にしていないといけなくて、はらはらどきどき、どっちがいいのかなというふうにも思うところでございます。
また、アメリカの場合、今もそうかもしれませんが、非常にある時期問題となったのは、四〇一kに参加している加入者の従業員で、会社に着くなり、まずコンピューターで自分の持っているパッケージのメニューの株価がどうなのかといって、もうそれにかかりっきりになっちゃって仕事が手につかないなどというようなこともあるというような話もございました。このあたり、いろいろと株式にある意味で疎い日本の加入者がこれからどのような行動を見せていくのか、若干心配ではございます。
さて、確定拠出年金を導入する際に一番問題となりましたのが、結局これは貯蓄じゃないかというようなことでございましたが、改めてこの制度とそれから貯蓄との違いを識別していただきたいと思います。
○辻政府参考人 まず、確定拠出年金は、老後の所得確保の一層の充実ということで、公的年金の上乗せの年金制度ということで、上乗せということでの新たな選択肢でございます。そのようなことから、貯蓄と異なるということでございます。
具体的には、今申しましたように、公的年金の上乗せでございますので、加入者は、厚生年金、国民年金の被保険者に限定して、加えて、国民年金につきましては保険料を納付していない者は掛金を拠出できない。したがって、公的年金の上に乗るという結果でなければ、これが有利だからといって貯蓄のためにこれだけを利用することはできないというのが一点目でございます。
それから、掛金につきましては、放らつに幾らでもというのではなくて拠出限度額を設けておりまして、高度障害や死亡の場合を除きまして、六十歳に到達するまで引き出しはできない。逆に言えば、今一喜一憂するというようなアメリカのお話がございましたが、六十歳まで引き出しができませんので、あくまでも長期的な視点に立って運用を行うということを前提に考えているというような形でございます。
このようなことから、税制においても一般の貯蓄とは異なった取り扱いがなされることができたと考えております。
○小池委員 それから、冒頭に申し上げました件でございますけれども、そもそも日本人は他国の国民と違って極めて貯蓄性向が高い。かつて日本銀行にも貯蓄増強委員会なんというのもあって、最近名前を変えたというふうに聞いております。
私は、今の日本経済というのはエコノミー症候群だと思っているんですね。ずうっとじいっと狭いいすに座っていたら血のめぐりが悪くなっちゃって血瘤ができて、そしてそれがひどいときには死に至るということなんです。日本は、資産はめちゃくちゃあるんですけれども、これはじいっとしているんですよね。そして今、血瘤すなわち不良債権が、体を、日本経済をむしばんでいるというようなことでございまして、この四〇一kというのも一つその突破口になるんじゃないかなということを期待もいたしておりますし、別の意味の、貯蓄ではないが、それが日本の経済全体、個々人は日本経済がどうのこうのなんて考えてはおられないと思いますけれども、結果的に日本経済の体のチャネルがふえていく。新しい選択肢というふうにおっしゃった、そういう形になっていくことを期待いたしているところでございます。
さて、ポイントになっております税額の控除でございますけれども、拠出段階、運用段階、給付段階といろいろございます。このあたり、設定の基準をお教えいただきたい、その理由についてお聞かせいただきたいと思います。
○辻政府参考人 まず、確定拠出年金制度、具体的には、今申しましたような貯蓄ではないという構成をとった上で、この確定拠出年金の枠組みに沿ったものについて拠出時に税制上の優遇措置を行うということで、拠出額が四つの形によって相当きめ細かく分けられております。そして、あと運用時においては課税、しかしながら現在は特別法人税が凍結中、給付段階においては公的年金等控除が適用される、こういう構造でございます。
拠出時における拠出限度額につきまして、これがこの制度の、それに応じて受け入れるということでございますから大変基本的な枠組みでございますが、これが四つの限度額が設定されておりますので、少し時間をいただきまして、それについて御説明させていただきたいと思います。
まず、確定拠出年金の拠出限度額につきましては、新しい選択肢を導入しますので、やはり現在の確定給付型の制度とのバランス、具体的には厚生年金基金や国民年金基金の税制とのバランスということを考慮して、公平の観点から設定しております。
まず、企業型年金、企業が従業員のために確定拠出の拠出金を支払うという企業型年金につきましては、そもそも確定給付型の年金である厚生年金基金がない企業についてもそれに相当する確定拠出型を導入できるように、確定給付が導入できない中小企業にということですから、確定給付の企業年金とのバランスが基本だ。
そうなりますと、現在、厚生年金基金におきまして、厚生年金保険の代行部分の一・七倍相当額を努力目標水準として設定しておりまして、これは厚生年金基金の一つの目標水準でございますが、これを掛金ベースに置きかえた額が年四十三・二万円、月三・六万円でございます。したがいまして、これとのバランス、これとの均衡ということで、既存の企業年金に加入していない、企業年金がなくてそのかわりにこれを選択するという中小企業が、中小企業の場合そのようなものが出るということを念頭に置いておりますが、その場合にこの額を拠出限度額とさせていただいた。
そして次に、では既存の企業年金に加入している者は確定拠出が選択できないのかということでございますが、いやしかし、やはりこれは多様な選択肢ですから、既存の企業年金、確定給付の企業年金に加入しておりかつ確定拠出も選択できるという道筋もございます。
これにつきましては、既存の企業年金に加入している者につきましては、今の加入していない者との均衡が今度は必要になるということになります。つまり、現在の厚生年金基金の上乗せ部分の実際の平均的な給付水準が、今申しました努力目標水準のおおむね半分となっております。既存の企業年金に加入している者につきましては、努力目標水準に対応する今の四十三・二万の半分二十一万六千円分については既にもう恩恵を受けておりますので、残り、今の四十三・二万円と二十一・六万円の差というものを認めれば、今の企業年金のない方々とのバランスでいえば大体同じぐらいになるのではないかということで、四十三・二万円の半分を控除した残りの半分二十一・六万円という形で企業型についてはバランスをしております。
そして、では今度は個人型でございますけれども、個人型は、自営業者等、それから何ら企業が年金について支援していないときの従業員、この二つでございます。
個人型のうちの自営業者につきましては、確定給付型の制度である国民年金基金の拠出限度額が既に八十一・六万円と定められております。ここに新たなものが入ってくるわけでございますが、これにつきましては、個人型年金においてもこの八十一・六万円というのを共通の枠といたしまして、これは全く自由な選択でございますので、これにつきましては、この八十一・六万円を限度額としまして、国民年金基金に加入している者については既に加入しているものを控除した額、逆に言えば国民年金基金と確定拠出年金と合わせて八十一・六万円まで、こういう整理でございます。
最後に、個人型年金のうちで企業が何ら支援をしていないものについての従業員の加入についてでございます。これは、個人型の拠出について構成が大変難しいという中で、結局、現在の厚生年金基金の加入者との均衡になりますので、この場合、現在の厚生年金基金の上乗せ部分の掛金額が大体平均一・五万円ぐらいでございます。そういうことで、今の厚生年金基金で現にいわば事業主が出している掛金に相当するものを限度とした。
細かい説明になりましたが、そのような形で構成されております。
○小池委員 個々人にとってみては、なかなかわかりにくい部分もあろうかと思います。このところも含めて、しっかりと教育というところをお願いしたいと思います。
いろいろな控除等々のやり方というのは、ほかの金融商品との比較ということもあったかと思います。それぞれ一人一人が、この場合にはこうなる、あの場合にはああなるといったようなわかりやすい、一人一人が自己責任でやっていただく限りは、それだけのことを知らしめる必要性があると思います。そのあたりを今後運用の面でもしっかりとやっていきたいものだと思っております。
それから、きょうも失業率が発表されました。悪化ということで、四・八でしたか。それから、有効求人倍率は若干改善をしているというふうに伝えられてはおりますが、やはり今は大変な時期でございまして、これまでずっと一生この会社にいるんだと思っていた人の人生設計が、がたがたと狂ってきているような状況でございます。
確定拠出年金の最大のポイントはやはりポータビリティーということにあるわけで、個々人が自分のリュックサックに自分の年金をしょって次のところに行き、そこをやめたらまた次のところにそのリュックサックをしょっていく、年金リュックをしょっていくというような形で、その中身がふえるか減るかは、ハイリスク・ハイリターンを考えるのか、ローリスク・ローリターンを考えるのかという個人のチョイスになってくるというわけでございます。
それで、最初ですから、せっかく確定拠出型に入られた方も、また、そのリュックをしょったけれども、次の会社に移ったときには、そこの会社には、そのリュックはうちのものではありませんということで受け入れられないとき、これは国民年金基金連合会、先ほど三番目に御説明があったケースだと思いますけれども、ここに一種預けるというような形になっていくわけでございますが、できるだけ多くの企業でこのシステムに参加をするということも、やはりポータビリティー確保のためには必要なことであるかと思います。
今後、まずこの拠出型を各企業に導入するということについての促進策について伺わせていただきたいと思います。
○辻政府参考人 まず、企業に導入をしていただく場合に、職員の方に、確定拠出型というのは、転職をしましたときということを含めて、一体どのようなものであるかという前提についての理解が必要かと思います。そのような意味で、ポータビリティーというのは非常に大切で、それがどうなっているかということの説明は非常に大切だと思いますが、基本的に、重ねて申し上げますけれども、相当ポータビリティーがしっかりしておる制度でございます。
まず、転職したときに、もう一つの企業がもともと確定拠出を持っておられれば、問題なく新しい企業の確定拠出につないで、自分の口座がずっと続いてまた入金がふえていくということになります。
今度は、確定拠出の制度がない企業に行きましたときに、企業年金もない、例えば確定給付の厚年基金といったものもないというときは、先ほど御説明申しましたように、もともと個人型に入れますので個人型に入って、そのときは、個人型でございますので、国民年金基金連合会が実施している個人型年金の資産口座に前のものも一緒に移しまして、そこでまた新たに今度は自分が、従業員の方が積み上げて、さらに続けることができる。
最後に、新たに勤めた企業が、厚生年金基金は持っているんだけれども、あるいは御審査いただきました新企業年金は持っているんだけれども、確定拠出の企業型を持っていない、要するに確定給付を持っているというところ、それで確定拠出を持っていない、そのときだけがつなげないわけでございます。
そのときだけはつなげないわけでございますが、ただ、そのときは、前の企業の企業型のものを国民年金基金に移しまして、その部分は残念ながら新たに積み増しはその間できないわけですけれども、ずっとまた指図をして、それをどのように運用するかということはその間もまた続けるという形で関与し続けるということで、運用は続けるけれども、その期間だけ新たに額がふえない。しかしながら、切れてはしまわないで六十歳までずっとそれを持っていける、こんな仕組みでございます。
なお、企業型年金への加入期間が三年未満の場合は、本人が希望すれば脱退一時金を選択するということはできますけれども、恐らく、六十歳まで続けられますので、一般的にはまた接続というものを考えていくということかと思います。
このようなことを相当丁寧に御説明いただければ、これは転職に当たってもこれから六十歳までしっかりとつなげる制度だという御理解をいただけると思いますので、私ども、まず企業関係者に、あるということだけではなくて、従業員にどのように説明いただいたらいいかということを丁寧にこれからPRしてまいりたいと思います。
○小池委員 そのPRが本当に重要だと思うんですね。情報開示というか、加入された方の現状はどうなっているんですよというようなこともそうですし、それから制度そのものが日本に初めてでございますから、これは非常にしっかりと教育をしていただきたいと思います。
実際に四〇一kの運用に当たっているアメリカの金融機関に聞きますと、やはり教育が一番大変なんですよということを重ねておっしゃっておられました。そして、いろいろなツールも見せていただいたんですけれども、個人個人がわかるように、こういうもののプレゼンテーションはアメリカはうまいですから、一人一人が幾ら掛けて、あなたが幾ら払ってというようなことにすると、大体こういう形になるメニューはこれですよ、Aですよ、だけれどももっと安心型はこれですよ。今どきですから何が安心なのかよくわかりませんけれども。そういった意味で、一人一人の加入者に、年金ですから、まさに将来の安心材料としての制度でございますから、そのあたりをきっちりと教えられるような。
また、たしか努力をするという話になっていますけれども、私はここはむしろ義務とした方がよかったんじゃないか、それぐらい思っているんですけれども、いかがでしょうか。
○辻政府参考人 御指摘のとおり、加入者がみずからの責任で運用指図をするということですから、加入者がどれだけこの運用について知識を持っているか、これは本当にこの制度の根本であると思います。そのような観点から、いわゆる投資教育というものは基本的に重要という認識に立ちまして構成されております。
ただ、義務となりますと、要するにどこまでをやったら義務を果たされるのか。個々人の年金に関する知識水準や生活設計はさまざまでございます。そのような中で、それに対してどれだけのことをどの程度までやったことが義務をクリアできるのか。いやしくも法定義務としますと、そこが大変制度運用から難しくて、義務づけが困難だということで努力義務といたしました。ちなみに、アメリカも義務規定ではございません。そのようなことでございますが、大切さということはもう全く変わりなく、私どもこのことをこの制度の勘どころだと考えております。
そういう観点から、通達におきまして、例えば、まず確定拠出年金の制度の特徴、加入のメリットなどの具体的制度内容、それからリスクの内容やリターンとの関係などの資産運用に関する基礎知識、ハイリターンにはハイリスクを伴うということを相当しっかりと知識を持っていただく、それから預貯金、投資信託、保険商品などの特徴やリスクとリターンなど、主な金融商品の特徴や仕組み、こういったことを通達で明らかにすることとしておりまして、これを受けて企業が個々の加入者に対して、わかりやすく、しかも個人のレベルに応じて情報提供を行うというのは当然の責務でございます。
ただ、現実問題としては、どうもアメリカもそのようなことかと聞いておりますが、恐らく運営管理機関がいわば企業の委託を受けて、あるいは企業自身に対しても運営管理機関がいろいろな情報提供をするということで、運営管理機関がこれらについて本当に懇切丁寧に、しかもまた逆に、企業が運営管理機関を選択いたしますときに、その点の誠実な運営管理機関というものを評価するように、こういった点の判断というものを企業はし、また、運営管理機関がまずそれをしっかりやるということがこの制度運用の大前提であると考えております。
○小池委員 その勘どころをぜひとも中途半端に終わらせないようにお願いしたいと思います。
義務規定を設けたとしても、往々にして、生命保険とか、あと海外旅行の切符の後ろ側なんか、虫眼鏡で見ないとわからないような、そんな約款が書いてあったりするのですけれども、これはやはり、今自分はどの位置にいるのだということをしっかりと知らせるということが義務に匹敵するほど重要だというふうに思っております。
それから、これはアメリカでも、またイギリスの個人年金でも問題になっているようでございますけれども、運用のコストということを明確な位置づけをしていく、また、できるだけ低廉なものに済ませていくという必要もあるかと思います。この運営管理コスト、そして資産運用コスト、この両方のコストの考え方についてお知らせください。
○辻政府参考人 まず、運営管理コスト、運用コストにつきまして、一つのモデルとしてアメリカの実情というものは目安になるとも考えております。
それで、米国労働省が一九九八年に公表した調査結果によりますと、米国の四〇一kでは、記録管理などの運営に関するいわば記録管理関連の手数料、これが年間平均で資産額の〇・六%、それから、運用報酬に係るものも含め全手数料を合算すると、年間平均で資産額の約一・三%というデータがございます。
翻って我が国の状況でございますが、現時点で各民間機関が準備中でございますし、民間自身が競争の中で決めるものでございますので、こうこうと私どもの責任で言えないわけでございますが、アメリカでのコストというものが一つの目安になっていると聞いております。例えば、記録管理などの運営に関する手数料は、この〇・六%を目安で民間の方も考えていらっしゃる。
それから、運用コストにつきましても、国内でさまざまな準備が行われておりますけれども、例えば預貯金につきましては、いわゆる運用コストを含めまして一般の民間の銀行等の預貯金における金利と同程度は出る。むしろ手数料ばかりかかって、預貯金のようなリターンの低いものは逆ざやになるのではないかという懸念があるわけですが、その点はそのようなことはない。あるいは投資信託類につきましても、既存の投資信託の手数料に比べれば、これを上回ることはないし、むしろこれより有利ではないか。こんなところが、私どもが現在認識している関係者の状況でございます。
○小池委員 法案の審議の際にこういった問題意識があったということも踏まえて、これからのコストの設定ということについて、コストに対する見方、認識について変わらぬようにお願いを申し上げたいと思います。
それから、これもアメリカの場合でございますけれども、伝統的産業、古い産業は、従業員もいろいろな世代の方がおられて、そして年金で支えられた退職された方々がもうおられる。片やベンチャーになりますと、二十代の若者ばかりで、まだ年金を受け取る世代の方は皆無であるというような企業では全く状況が違ってくる。
ドラッカーの本などを読んでおりましたら、GM、ゼネラル・モーターズの例などもいろいろ出ているわけでございますけれども、そういう古い産業のところに給付型と拠出型とが同居しているのですね。非常に簡単に考えますと、給付はみんなで支える、そして拠出は自分のためというので、どんどん拠出型にかわってしまうと給付を支える人がいなくなってしまうではないかというのが単純な発想でございます。実際はそういったことは起こらないとは聞いてはおりますけれども、今後日本で給付型と拠出型が併存する場合のポイントについて教えてください。
○辻政府参考人 まず、確定拠出年金の企業型、それから確定給付企業年金、これはそれぞれ従業員を対象としておりますので、いずれを選択するかということ、そのときに自由に選択できるのかというのがまず第一点でございます。
結論から申しますと、職種等に照らし、一部の集団については確定拠出年金を、他の集団については確定給付企業年金を実施するといったように、同一企業内の職種等によって集団を分けまして、二つ選ぶということは可能でございます。そして、それは基本的には労使の選択の問題だと考えております。
その考え方でございますけれども、確定給付型の企業年金というのは、一定の集団のもとで相互扶助の仕組みに基づく保険の仕組みでございますので、その集団の安定性というものがどんどん確定拠出へ抜けてなくなれば、これは確定給付年金が運営できないわけでございますので、私は今確定拠出に行きたいからということで任意で抜けるという仕組みは、これは制度としてはとり得ません。
したがいまして、集団単位で選択していくということで、例えば、研究職と営業職といったように、研究職の場合は研究職として企業を渡り歩くということは一般的に想定されますから、例えば、研究職は確定拠出に、営業職は確定給付にといったような基準に基づくことを条件にいたしまして、もとより労使が合意するというのは大前提でございますけれども、そのような形で二つの制度が同一企業に混在することは可能であるというふうに考えております。
○小池委員 ありがとうございました。
今この不況の中におきまして、そしてまた会計制度の大転換という時期にありまして、いろいろこういった年金に関連する数字が大きな、企業の存亡そのものにかかってくる。大げさな話ではなくて、もうまさにそういう状況が起こっているわけでございます。
そしてまた、それぞれの職域というか、企業の独自の年金基金、それからまたそれぞれ職能によって組合を組んでいらっしゃる、そういったところも積み立て不足で、それをどうやってみんなに返すのか、どうするのかといって、そういった例はもう年間に幾つもあるわけでございます。このあたりが、労使との間でどういうふうな話し合いになるのかが大変注目されるわけでございます。
これまですごく野方図に基金の運用をやってきた、ふたをあけてみたら、いや全然足りません、予定利率、全然足りません、もっとみんな払ってくださいなどというようなことで、話が違うじゃないか状態になってしまう。それをほったらかして、今度新しい四〇一kの方に目をそらすというようなことになると、責任の所在というか責任が明確でないまま今度は新しいものに目移りだけしてしまうということで、年金基金の運用に対してのある種の責任がなおざりになってしまう。この辺が一番今問題になっているところではないかと思います。
このあたりをどのように解決していくのか教えてください。
○辻政府参考人 具体的には、厚生年金基金から、確定給付企業年金から確定拠出年金に資産を移換するという要件といたしましては、これは労使合意が前提でございますが、確定拠出年金に資産を移換することについて、基金の代議員会においてまず意思決定が行われている、そのときに基金に積み立て不足がない、これが前提と考えております。
したがって、例えば、厚生年金基金に積み立て不足がある場合には、まず積み立て不足を解消した上で確定拠出年金に資産を移換するということになるものでございまして、いわば不足を放置したままかえてしまうということはあり得ないということでございます。
○小池委員 時間が参りました。
この確定拠出年金法につきましては、緊急経済対策の中でも、また、先ほど申し上げましたように、日本のエコノミー症候群の解決策の一つとしても、また、ある意味では日本のこれまでの貯蓄のライフスタイルを少しずつ変えていくという意味でも、非常に大きな転換点になるのではないかと思っております。
ただ、みんなで最後に痛い目に遭うというようなことのないように、確立するべきところはしっかりとやっていただく。そしてまた、この重要な法案を、密度を濃くそしてスピーディーに成立させていただくようにお願いを申し上げまして、終わらせていただきます。
ありがとうございました。
○鈴木委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
午後五時二十二分散会



















